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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
3章 雪と夜の国

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「ただいま~」


少し懐かしく感じ始めた錬金術店の自分の部屋へと転移すると、そのまま店に顔を出し師匠に声をかける。


「お帰り。随分といい顔をしてる。元気そうじゃないか。もうそろそろ冒険は終わりかい?」


ソフィアには珍しい口数の多さにロザリアンヌは少し驚いた。若返った分性格的にも何かが変わったのかとそんな風に勝手に解釈する。


「違う違う。新しい大陸の冒険を始める前にちょっと休憩しにきたんだ」


「師匠。一緒に豪華なご飯食べに行こう!」


キラルは挨拶もそこそこにソフィアに抱きつく。


「豪華なご飯もいいがそれより見ない顔が増えてるね。私に紹介してくれないか」


「そうだった。彼はテンダー。新しく仲間になったエルフだよ。テンダー。この人は私の祖母だけど偉大な錬金術師で私の師匠よ」


「ソフィアだ。随分と美人さんなんだね。これ大変そうだ」


「テンダーです。こちらこそこれからよろしくお願いいたします」


緊張しているテンダーの少しぎこちない挨拶をソフィアは微笑ましく見守るようだった。


「そういえばリリとダリは?」


ソフィアとカトリーヌが仲直りして店は少しは賑やかになっていると思っていたのに、双子の姿どころかカトリーヌの姿もなく、また何かあったのかとロザリアンヌは少しだけ心配になる。


「相変わらず錬金術の修行を続けているよ。今はダンジョンに行ってるね」


「そういえばお母さんが店を手伝ってるって聞いたけど・・・」


「カトリーヌなら買い出しに行ってるよ。今日は市の立つ日だからね」


「市! 行きたい! 僕も行きたい~」


キラルは屋台の買い食い目当てなのだろうことがはっきり分かるくらい目を輝かせ強請る。

しかしロザリアンヌには市に行くよりやりたい事が沢山あった。


アンナの魔導書店にも顔を出したかったし、折角採取した素材の管理リストも作りたかった。

あとはマジックポーチの中を整理し足りない食材の把握もしておきたい。

咄嗟にそう考えてみたが、それらすべてを後回しにしてキラルに付き合う事にする。


なぜならアンナの結婚式の招待状が届いていたのを思い出したからだ。

結婚式まであと一月足らず。何度も行き来するよりも、アンナの結婚式が終わるまでゆっくりするのも悪くないと思い始めていた。

それに今はやらなくちゃならない事よりも休暇を心から楽しむ事を優先しようと考えたのだ。


「折角だからテンダーにもメイアンの市の楽しさを教えなくちゃね」


「やった~!」


その気になればキラルはもう一人で出かける事もできるのに、今でもこうして一緒に出かけようと言ってくれるのがロザリアンヌにはなにより嬉しかった。


そうして久しぶりにメイアンの街を歩き、テンダーを案内しながら市をおもいきり楽しんだ。

相変わらず美味しそうな屋台を見つけると片っ端から食べて回り、珍しいものを見つけると覗いて歩き、その度に目を丸くするテンダーの反応も面白くて久しぶりに心から楽しい時間を過ごしていた。


「こんなに沢山の人混みは初めてで本当に驚きました。それに・・・」


「どうかした?」


「何やらやたらとジロジロと見られている気がするのですが気のせいでしょうか?」


エルフと人間の見た目の違いはその色の白さと尖った耳だけの筈で、今は髪で耳を隠しているから種族的には目立っていないと思う。

なのに注目されるのはやはり元々のテンダーの麗しさのせいで、それにロザリアンヌの錬成したカンフー服風の装備も見慣れないから尚更なのだろう。


「テンダーが綺麗だからだよ。一人で歩いたら大変な事になりそうだね」


キラルがテンダーを揶揄うように言う。


「どう大変な事になるのですか?」


「きっと沢山の女の人に囲まれるよ。テンダーはどんな反応をするのかな。僕ちょっと楽しみかも」


「そ、それは困ります・・・」


テンダーが急に顔色を悪くする。何かトラウマでもあるのだろうかと考えてしまうほどの狼狽えぶりだ。


「キラル、あまり揶揄うものじゃないわ。テンダー大丈夫よ。私が何か手段を考えるわ」


「本当ですか!?」


ロザリアンヌはキラルを窘めながらテンダーには認識阻害の装備品が必要だと考えていた。

ロザリアンヌとキラルとレヴィアスは普通に認識阻害が使えるからまったく必要なかったが、こうなってはテンダーにも絶対に必要だろう。

完全な認識阻害が無理でもせめて少しでも目立たなくさせる何か・・・。


それから新しいポーションに水中を高速で移動できる何か。あとはあの亀の聖獣のような物理も魔法も効かない強敵に対抗する手段。


この休暇の間に開発したいあれやこれやを考えて、一月近い休暇を長いと思っていたが時間が足りるだろうかと考えるのだった。



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