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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
3章 雪と夜の国

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階段を下りるとそこは一面に広がる樹氷とダイヤモンドダストの世界だった。

少し小高い山の上から見下ろすような感じの高所からの景色は、キラキラと輝き息をのむ美しさだった。


ロザリアンヌは前世でも雪に触れた経験は数える程度なので、雪国の辛さ大変さなど考えることなくその絶景に素直に魅入られ感動していた。


「綺麗……」


「立ち止まっている暇はないぞ」


レヴィアスに指摘され気を引き締めると、雪に溶け込むかのような銀色の狼の群れがこちらに向かって走って来る。


近づくにつれはっきりと目に付くしなやかな動き、なのにその大きさは牛程もありそうだ。

そして統率されている様子からして手強そうに思えたが、ロザリアンヌ達に近づく前にレヴィアスの銃とテンダーの弓で倒されて行く。


「私だってやる時はやるんです!」


いやに自慢気にして見せるテンダーだが、その実力の半分以上はその弓の性能だよねとは言わずにいた。


「こうも木が多いと上空からでは階段を見失うかも知れないな」


「仕方ないわね地上ギリギリを移動しますか」


レヴィアスの懸念に素直に頷き、ロザリアンヌは足跡を残さない程度の高度を保ち移動した。

木を根城にしているらしい小動物のような魔物は極力無視して移動し、銀色狼だけを相手にしながら次の階層へと続く階段を探した。


そうしてマップ全域を埋め終わる頃に漸くそこを見つける。

薄水色の小さな花が一面に咲くとても美しい場所だった。

周りは雪に埋もれているのにその場所だけがまるで神聖な場所だとでも言うように花で埋もれている。


「とても可愛い花だねー」


キラルは溜息を吐く様に優し気に呟いた。


「雪に咲く花とはまた珍しい」


見ると本当に雪の中から葉や茎をのばし花を咲かせていた。


「何か意味がある場所なのかしら?」


ロザリアンヌがその花園に一歩近づいた時だった。

眩いほどの光を放つ激しい雷がロザリアンヌを襲ったが、完全防御の結界がいち早くブローチから発動しロザリアンヌを守る。


咄嗟の攻撃にロザリアンヌは驚き辺りを見回し確認すると、ロザリアンヌ達の後ろに姿を現したのは銀色狼のボスかといった感じのさらに大きな狼だった。

毛並みの美しさと気高さを感じさせるその顔つきと体躯にロザリアンヌは目を奪われた。


「我の攻撃を防ぐとはあっぱれだ」


リュージンで既に経験済みだったロザリアンヌは、今さら目の前の狼が言葉を話そうが驚きはしなかったが、それでも疑問を感じない訳にはいかなかった。

何故なら今の今までその気配をまったく探知できずにいたからだ。


「この花園を守っているの?」


「その場に足を踏み入れたら容赦はせんぞ」


「無暗に花を踏み荒らす事はしないわ。でもこの場所に何か意味があるのかは知りたいわね」


「教える義理など無いがおまえ達がここへ来たという事はそういう事なのだろう。ダンジョンを一つ解放した。好きにするが良い」


「何それ? ここはダンジョンじゃないの?」


「ここはダンジョンとは少しばかり違う世界だ。聖獣が住む場所だとでも思えば良い。本来は手合わせをしないといけないが、そなたらの実力は既に分かっておる。故に我の護るダンジョンを解放する。好きにするが良い」


「聖獣ですって!?」


「そうだ。我が名はフェンリル。北の大地を護る者」


「他にも後七つの扉があったけど、それぞれに聖獣が住んでいるって事なのね」


「そう言う事だ。そしてその聖獣に認められればそれぞれが護るダンジョンが解放される」


「ダンジョンコアでダンジョンを好きに設定できるとか、そんな機能があったりするのかしら?」


「何を言っている? ダンジョンは成長して行くものだ、設定など必要ないだろう」


「成長するの? ダンジョンが!?」


ロザリアンヌは思ってもいなかった話に少しばかり驚き声が大きくなってしまった。


「そうだ」


「ちなみにどんな風に成長するのか聞いても良いかしら」


「我の護るダンジョンは大地を開墾しただけ拡大して行くようになっている。故に好きにすると良いと言っている」


「開墾って…。でも魔物も出るんでしょう?」


「当然だ。地上も同じではないか。ダンジョン内は気候が安定しているだけ良いと思うがな。無理に開墾しろとは言っていない。だがこの地に住む人間には必要だと考えて我はそうしたまでだ」


「という事は聖獣によって考えが変わるのね」


「当然だ。皆それぞれに考え方があり護るものも違う」


「分かったわ。それでそのダンジョンはどこにあるの?」


「ここよりさらに北にある。そなたらなら辿り着くのも容易いだろう」


「さしずめこの地の楽園って事かしら? でも簡単にたどり着けないのなら簡単に開墾もできないだろうし意味がないと思うわよ」


「苦労せずして手に入るものは簡単には身につかずすぐに手放すことになるだろう。諦めるならそれまでだ」


「じゃあ手を貸し過ぎるのは良くないって事ね」


「我の考えをそなたに押付ける気は無い」


ロザリアンヌは北にあるダンジョンを見つけ踏破したら、この地に住む人達にフェンリルの考えを教えるだけでなく開墾も手伝う気だったが、良く考えたらこの地の人達がそれを望むかどうかすら今はまだ分からないのだ。


行き当たりばったりではないが先走る所だったとロザリアンヌは反省した。

そしてまずはダンジョンの解放と踏破を目指すのが先決なのだと思うのだった。



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