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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
2章 ロザリアンヌにお任せ!

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「待ってたよ。でも思ったより早い到着だったかな」


初めて聞いた時の少年の様な声とは違い、少し落ち着いた男の声が響く。

ロザリアンヌも二度目ともなれば慌てる事も無く、大陸によって守護者が違うという事実を確認していた。


「願いを叶えて貰えると聞いているけど間違いはないのかしら?」


「間違いでは無いよ。何が望みかな」


「守護者たちの私への強制力を無くして欲しいの!」


ロザリアンヌはずっと考えていた一番の願いを口にしていた。


「それは無理だね」


しかし大陸の守護者はロザリアンヌにはっきりきっぱりと言い放つ。


「どうして?なんでも願いを叶えてくれるんじゃないの!?」


ロザリアンヌは大陸の守護者の返事にどうしても納得がいかず思わず大声を出していた。


「強制力は私達守護者の唯一の能力とも言って良いからね。この世界を維持する為にもその願いを叶えるのは難しいね。それに君は何か勘違いをしているよ。私は君に対して何一つ強制力など発動してはいないよ」


「そんな事信じられ……」


信じられないと言おうとしてロザリアンヌは言い切る事ができなかった。

実際に起こる出来事のすべてを強制力の影響と考える事もできるし、そうでないかも知れないと思う事もできる。

本当のところどうなのかロザリアンヌには判断がつかない以上大陸の守護者の言う事を信じるしかない。


「私に対して強制力を発動してないというだけで、他の今まで出会った人やそうだリュージンなんかには強制力が影響しているんじゃないんですか?」


信じるしかないと思いながらもロザリアンヌは尚も食い下がる。


「だから私はそんな事に力を使ったりしないよ。多分他の守護者もそうだと思うな。だいたいさぁ、そんなにマメに働いたら疲れるだけだろう」


「???……。でも前にあった守護者は強制するって……」


「それは君が駄々をこねたからだろう。冒険しないって。この世界は君が行動しないと発達しないんだからさぁ、そこは理解してくれないとそうなるんじゃない。もっと自覚を持って欲しいよ。だいたい強制力を発動させるにはかなりの力を使うんだよ。下手したら私なんてどれだけの時間力を使えなくなるか…。はぁー」


「そんな事を言うけど、私はこの大陸にあまり関わってはいないですよ。何かが発達したとは思えないです」


「君って無自覚鈍感系なの?それともただの馬鹿?もしかしたら私に持ち上げられたくてとぼけてるって事も考えられるね。その場合君かなり性格悪いよ」


ロザリアンヌは性格が悪いと言われて思わずムッとする。


「どうせ私はただの馬鹿です!!」


「まあそんなに興奮しないで、この大陸がどの様に発展していくのかは私も楽しみになっているんだ。だからこれでも一応感謝しているのさ。君の疑心暗鬼になる気持ちは理解したからその辺は他の守護者にも伝えておくよ。という事で、君の願いを改めて聞こうか」


ロザリアンヌは自分に強制力は働いていないと信じ、改めて願いを聞かれると次に考えていた願いをすぐに口にする。


「レヴィアスと大賢者様をもう一度会わせてあげる事はできないですか?」


「君って本当に難しい願いをするよね。だいたいさぁ輪廻の輪に戻った魂と精霊をどうやったら会わせる事ができると思うの?私にできるとすれば、輪廻の輪に入った魂を留めて置くくらいかな。だからその精霊が魂に戻れば会う事ができる。それでいいの?」


「それってレヴィアスが死ななくちゃ無理って事?……」


「精霊の場合は死ぬんじゃなくて再生って言うんじゃないかな。再生の際に魂に戻った瞬間なら可能だという事だね」


レヴィアスと大賢者様を会わせたいと思ったのはロザリアンヌの勝手な願望で、レヴィアスにその意思を確かめた事も無い。

なのにこのまま返事をしてもいいものかと思い悩む。


それに何より折角一緒に居てくれるレヴィアスの再生を願う気持ちを、ロザリアンヌはまだ持ち合わせていない。

第一レヴィアスが居なくなるなんて想像もできないし、そうなったら絶対に困る。

レヴィアスと大賢者様を会わせたいと願った大前提には、これからもレヴィアスがロザリアンヌと一緒に居るという事実があってこそだ。


「そんなに悩むんならもう少し考えてからでもいいんじゃないかな?もっとも早くしないと転生してしまうけれどね」


「転生するまでにどの位の猶予があるんですか?」


多分望めばレヴィアスが再生するまで大賢者様の魂を留めて置く事も可能だろうが、転生をして次こそ幸せな人生を歩んで欲しいとも思いロザリアンヌは弱気になる。


「それはその魂の格によっても違うから一概には何とも言えないね。一応魂は浄化しなくちゃならない事になっているしね。それにその大賢者とやらに強い意志があれば転生後に記憶を持って出会える可能性もゼロではないよ。君が何を願いどうしたいのかは知らないが、その二人の生に君の正義を押付け関わるのは良くないと思うな」


「……」


ロザリアンヌは後頭部をガツンと殴られた様な衝撃を受けた。

レヴィアスと大賢者様を会わせたいという願いも言ってみればロザリアンヌのただの自己満足でしかない。

悲惨な人生を歩んだ二人の話を聞き同情してそして勝手に思い込み願っただけのもので、そこに二人の意志や価値感に考えや感情なんて何一つ関係してはいなかった。

ロザリアンヌは自分がいかに思いあがっていたかを理解させられ反省した。


「二人の運命に任せた方がいいって事ですね…」


ロザリアンヌは転生し新たな生を歩み始めた大賢者様とレヴィアスが出会う事を想像し、何だかとても温かい気持ちになり微笑みを浮かべていた。

そしてそんな未来を信じて夢見るのもいいかも知れないと自分を納得させた。


「じゃあ魂を留めて置かなくてもいいんだね?」


「はい」


「はあぁーーー。それじゃ改めて願い事を聞いてもいいかなぁ」


かなり投げやりになっている守護者の雰囲気を感じ取り、ロザリアンヌは少し焦り始めていた。

考えてみたらその他に願いなど何も考えていなかったからだ。


「保留って訳にはいきませんか?」


「私も暇じゃないんだよ。困るよね」


何だか今にも会話を打ち切ろうとしているように感じ、ロザリアンヌはさらに焦りを募らせ咄嗟に思いついた事を口にしていた。


「リバイアサンを解体してください」


ドロップ品として回収したは良いが、あんなに大きなリバイアサンをどうやって解体したらいいのかという考えが頭にずっとあったようだ。


「リバイアサンの解体だね。分かった。じゃあそう言う事で君の次の大陸での活躍を期待しているよ」


大陸の守護者のその言葉を最後にロザリアンヌはまたふっとした浮遊感を感じたのだった。



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リバイアサン『』 リバイアサン『大陸のダンジョン制覇の報酬が私の解体なんて、ちょっと私に光栄すぎないかしら?』 何の素材になるのかなあ
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