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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
2章 ロザリアンヌにお任せ!

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ロザリアンヌが初めて足を踏み入れる国だろうがやる事は変わらず、冒険者ギルドが把握しているダンジョンはレヴィアスの指示通りの設定に変え、未発見や未登録のダンジョンはロザリアンヌの思う様の設定を続けた。


ただ変わった事と言えば、ドロップ品を売り捌くために見かける街に立ち寄る事が多くなった。

お陰でマジックポーチの中をこまめに整理でき、持っている素材の把握をし易くなったのは有り難かった。


それにただ闇雲にダンジョンを攻略するだけでなく、街に寄る事で生活にメリハリができ、その地の空気をじっくり感じる事もできたし、回復系の魔法熟練度の為のポーション作りも地道に続ける事ができていた。


ユーリからは今はどこで何をしているという様な報告の手紙が定期的に届いていが、今ではロザリアンヌも街に着いたタイミングでできるだけ返事を書くようにしていた。

言ってしまえばアンナや師匠に手紙を送るついでの様なものだったのだが『返事がもらえて感激だ』とか『いずれは君が見た景色を私も見たい』とか『この地は君の言う様にとても素敵な所だ』などという返事を、傍に居ないけれど何か共通の話題で繋がっている様で何処かくすぐったく感じていた。


手紙のやり取りはユーリという特定の誰かではなく、時間や距離という概念を超え、ここに居ない誰かに話しかけている感じがとても楽しくロザリアンヌを優しい気持ちさせていた。


そしていよいよ大陸中にあったすべてのダンジョンの攻略を終え、後はリュージンが言っていたどこかの島にあるというダンジョンと海底のダンジョンを残すところとなり、ロザリアンヌは悩んでいた。


「リュージンを呼ぼうか?」


「どこで何してるんだろうね~」


「自力で探しても構わないがな」


今もドワーフの村に居て楽しんでいるのか、それともドラゴを連れ修行をしているのか定かでないので、簡単に呼び出して良いものかと迷っていた。


「自力で探している時間も勿体ないでしょう、ここは協力して貰おうよ」


「決めているなら同意を求めるな」


ロザリアンヌはレヴィアスにピシャリと言われ少しだけ反省した。


「決めていたけど、他にも何か案があればと思って…」


確かに自分の中で結論は出てはいたけれど、みんなの総意という事で責任から逃れたかったのだと気付いた。

リュージンを呼び出し迷惑がられた時の言い訳を考えたのかも知れない。

ロザリアンヌは覚悟を決め、リュージンから預かった笛を吹いてみる。


ピィィィーーーーー


高い音が鳴り響くかと予想されたのに反し、空気を振動させる程度の微かな音が飛んで行く。


「何だか犬笛みたい」


「犬笛?」


ロザリアンヌの呟きをキラルが拾うが、この世界にあるかも分からない物の説明のしようがないので知らんふりをした。


「本当にリュージンに届いたと思う?」


「でもこれで呼んだらいつでも来るって言ってたよね」


「飛んで来るにしても近くに居ないのなら時間が掛かるだろう」


「じゃあお茶でもして待つ?」


「そうしようっか」


キラルの提案にロザリアンヌも賛成する。

そう言えば綺麗な場所を見つけたらお茶をしようと決めていた筈なのに、いつの間にかわざわざお茶をする事が少なくなっていた。

この場所だって見慣れた雰囲気ではあるが、遠くに海も望め適度に木々に囲まれた空気も良い穏やかな場所だ。


「僕久しぶりにロザリーの作ってくれたフルーツタルトが食べたい!」


「良いわね。じゃあアフタヌーンティーっぽく楽しもうか」


ロザリアンヌは久しぶりに甘いもの三昧を楽しもうとスイーツを沢山作り、次々とテーブルの上に並べて行く。

お茶はキラルが淹れてくれた。

そうしていざお茶を楽しみ始めようとみんなで席に着くと「来たな」とレヴィアスが言った。


「ホント狙った様なタイミングね」


もしかして笛の音が届いていないかもという不安もあったが、問題は無かった様だ。

リュージンはこの場に降りる事ができなかったのか、上空で旋回したあと別の場所に降り立ち歩いて来る気配を感じていた。

勿論ドラゴも一緒の様だ。


「待たせたかのぉ」


悠然と歩くリュージンに反し、ドラゴはロザリアンヌの姿を確認すると駆け寄り、懐かし気に鼻先でロザリアンヌの身体を擽りだした。


「ドラゴも元気そうね」


ドラゴの身体を撫でてやると嬉しそうにしている。


「あれからどうしてたの?」


ロザリアンヌはリュージンに尋ねた。


「ドワーフの村にあった酒を飲みつくしてしまったのでな、申し訳ないから酒の買い出しを手伝っている」


「お酒の買い出し?」


「ああ、狩った獣やダンジョンのドロップ品を売り捌いて酒に変えては村に届けている」


「楽しそうで良かったわ」


「確かに喜ばれているな」


ロザリアンヌはそのうちリュージンがドワーフのお使いの様な事を始め、ドワーフと人間の懸け橋になるのかも知れないと思っていた。

あの場所は歩きやすい道も無く飛ぶか転移でも使えない限り、なかなか簡単にたどり着けそうも無い場所だ。

リュージンが間に入るなら揉め事を起こす事も無く平和な交流が行われるかも知れない。

先の事など何の確証も無いが、そういう未来も楽しいかも知れないとロザリアンヌは考えていた。


「折角だからリュージンも一緒にお茶をする?」


「それより用があって呼んだのだろう、用件を早く言え」


リュージンは忙しいのかロザリアンヌを急かして来る。


「いつか教えてくれた島にあるダンジョンと海底のダンジョンがある場所を教えて欲しいの」


「場所を教えるだけで良いのか?それなら簡単だ。では行くぞ」


「何をそんなに急いでいるの」


何十年も森林に留まっていたリュージンとは思えない変わりようにロザリアンヌは少し戸惑っていた。


「ドワーフどもに旨い酒を見つけてやると約束をしたのだ。グズグズしている場合ではないだろう」


「あぁ~」


ロザリアンヌはなるほどと納得しながらも中途半端な返事をしてしまった。

要するにドワーフと飲んだお酒がよほど楽しくて、もっと美味しいお酒を飲みたくなったのだろう。


「リュージン、その問題なら私が解決してあげられるかも知れないわよ」


「本当か!」


「ええ」


ロザリアンヌは任せておけとばかりにリュージンに大きく頷いて見せたのだった。



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