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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
2章 ロザリアンヌにお任せ!

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守護木の洞が余程気に入っているのか、ロザリアンヌ達が食事を始めてもこの森の精霊はそこから出てくる事は無かった。


「良かったら一緒に食べない?」


「私には必要無いよ。それに今は魔力を馴染ませている所だから」


「煩くない?ここに居て大丈夫?」


「大丈夫」


「結界の感じとか、魔晶石の影響に不具合が無いと良いんだけど」


「大丈夫」


精霊の素っ気ない返事にエルフ同様マイペースなんだろうかとロザリアンヌは考えて、大人しく引き下がる事にした。


「気にしなくて良いんだよ」


精霊に相手にされず少しがっかりした気持ちを抱えているロザリアンヌを気遣う様にキラルが言う。


「もう少し意思の疎通ができるかと思ったんだけどね」


「環境も違えば考え方も性格も違うんだよ。分かり合うには時間も掛かるよ」


「精霊も色々って事だね」


「そうだね。僕達とはまた違う使命があるんだから仕方ない事さ」


無条件で精霊に好かれると考えていた訳じゃないけれど、精霊と守護木を救ったんだから少し位は仲良くなれるかもと考えていたのは確かだった。


そしてロザリアンヌはキラルの言葉にドワーフやエルフの事が頭に浮かんだ。

種族も違えば環境も違うし培ってきたものもまったく違う。

長命で少数種族の彼等には自分達の世界を守る為の正義がきっとあるのだろう。

ロザリアンヌとは価値観も考え方も違うからすぐには仲良くなれそうも無いが、しかし彼らが絶対の悪という訳じゃない。

お互いに歩み寄る気持ちがあれば、いずれは譲り合い理解し合える事もあるのかも知れないと思えた。


もっとも今はそこに時間をかける事ができないのが少しだけ残念だ。

だからもし明日本当に弟子にしてくれというエルフが現れたなら、その時はちゃんと仲間として受け入れようと考えていた。

しかしレヴィアスの言った通り、時間になってもエルフが現れる事は無かった。


「行くぞ!」


ロザリアンヌが何となく後ろ髪を引かれる思いでいるとレヴィアスが切り捨てる様に強く言う。


「次は新しい国だね」


この大陸に来てまだ行った事のない国のダンジョンへ挑み始める事になっている。

今度の国はどんな国なのか、ロザリアンヌは少しだけワクワクしていた。


「この大陸にある国など関係無い。冒険者ギルドも商人ギルドも既に掌握している。ロザリーの手下の様なものだ。何かあるなら動かす事は簡単だ」


「え、えぇぇ~~~。何言ってんのぉ~」


レヴィアスの発言に驚き過ぎてロザリアンヌは奇妙な声を上げていた。


「奴らの欲しい情報も素材も提供できるのは今のところロザリーだけだ。その上ダンジョンの設定まで握っているのだから当然だ」


「でも、だって……。言う程の事はしてないと思うよ?」


「あれだけの量の貴重なドロップ品を提供しておいてそれは無いだろう。ロザリーが望むなら医療薬師ギルドの掌握も可能だがどうする?」


「医療薬師ギルドって…」


「教会に対抗している組織だから知名度は低いがしっかりとしたギルドだぞ。ロザリーが絡めば教会を潰す事も可能だろう」


「いやいやいや、私そこまで関われないし。それにそんなことしていたらまるでこの大陸の陰の王みたいじゃない」


「みたいじゃなくて既に影の王だ」


「それはレヴィアスあなたでしょう!!」


ロザリアンヌの知らない所でいったいどんな話がされ何が動いているのか不安になる。


「私はロザリーの守護精霊だ。ロザリーの望まない事はしない」


「私だって影の王なんて望んでいないわよ」


レヴィアスと何か考えの行き違いがあるように思え、ロザリアンヌはきっぱりと否定しておく。


「そう言えばかの国に革命が起こったな。あの国の王や追随する貴族どもが処刑されるのも間近だろう」


「えっ、アリオスは大丈夫なの?」


「ああ大丈夫だ。ロザリーが望むなら奴を王にする事も可能だが?」


「アリオスを王にしてどうするのよ!」


「神輿は軽い方が良いというぞ。意外に適材かも知れん」


「えっと、それって……」


ロザリアンヌは今度の王はお飾りだと言っているのだと気が付いた。

そこに誰のどんな思惑が絡んでいるのかと考え、ロザリアンヌはレヴィアスの顔を探る様にじっと見る。


「猶予は与えた。もう十分だろう行くぞ」


レヴィアスは薄っすらした笑みを浮かべロザリアンヌを促した。

ロザリアンヌの後ろ髪を引かれる思いに気付いたレヴィアスが、少しだけエルフを待つ猶予与える為に今こんな会話を始めたのだと理解した。


多分何も無かったらレヴィアスは話さなかったかもしれないし、ロザリアンヌは何も気付く事も無く普段通りに自分の事だけを考えていただろう。


しかし自分がこの大陸のいろんな国に影響を及ぼす存在になっているのだと知り、ロザリアンヌはとても複雑な思いを抱く。

ロザリアンヌにしてみればこの大陸のすべてのダンジョンを踏破し、強制力の解除を望む事だけを考えていたのに、ロザリアンヌの言動によっては何かが簡単に変えられてしまうのかと少しだけ怖くなる。


この大陸の人が少しでも豊かに平和に過ごしてくれればとは思うが、その考え方も価値観も人によって違うと理解したばかりだ。

ロザリアンヌの正義が絶対ではないと分かった今、誰かの正義を曲げる事もあるのかと思うと発言一つにも責任が伴うのだと理解したつもりだ。

これからは迂闊に気分だけで何かを発言するのは気をつけようと心に強く刻む。


「そうだね。縁があればまた会えるだろうしね」


多分今ロザリアンヌの目の前に示されている選択肢は幾つかあるが、これ以上エルフを待つのは諦めそして自分のやるべき事を優先させると心に決め、新たな土地に向かい上空へと飛び立った。


「余裕ができたらまた会いに来ようか?」


「それも良いわね」


隣を飛ぶキラルの誰にという指定の無い提案に、ロザリアンヌもさり気なく同意していた。



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