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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
2章 ロザリアンヌにお任せ!

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「責任はすべてこの私にございます。極刑というのなら何卒この私一人の身でご勘弁ください」


「「「「「「「「「「テンダー様!!」」」」」」」」」」


「だからそんな必要は無いですって。私達はただこの森にあるダンジョンを踏破しに来ただけで、こちらこそ勘違いさせてしまったのは申し訳ないです。だからそんな事はもうやめてください」


ロザリアンヌはテンダーと穏便な会話を試みる為に、この森に来た用件を口にしてみた。


「ダンジョン踏破ですか?」


「この森にありますよね?」


「ええ、確かにありますが、あのダンジョンは里の猛者達でもその奥深くを見る事ができずにいるのですよ。踏破となると何年掛かるか…」


「大丈夫ですよ」


ロザリアンヌはテンダーにニッコリと微笑んで見せる。


「しかしですね、もう何百年も武術や魔法の研鑽に励みダンジョンに挑んでいる者達がいまだに踏破できずにいるのですよ。確かにお強いのは気配で分かりますがそう簡単にいくとは思えません」


「案内さえして頂ければ後はお任せください」


「ですから……。はぁ~。分かりました、ご案内いたします」


テンダーは言い淀み溜息を吐くと、最後には諦めた様に了承してくれる。

そして森の中を移動しながら色々と話してくれた事によると、エルフは総じて長命の為意外に無欲で自分の興味のあるもの以外にあまり執着しない者が多いそうだ。


武芸の腕を磨く者、魔術の研鑽に励む者、薬草の研究に励む者、そして森の環境に魅入られた者など本当にそれぞれ色々らしい。

しかしそのせいか種族人口が減る一方なのを問題にする様になり、慌てて対策を講じ多少人口を増やしたがその教育が追い付かずにいた為テンダーが年若い者を集め武術の指導に励んでいるとの事。


「この森の浅い場所ならば修行を積むのには最適だと思っていたのですが…」


まさか人間であるロザリアンヌ達が森に入って来るなど考えてもいなかった様だ。


「それじゃ私達が修行の邪魔をしたんですね。すみませんでした」


「いえ、そろそろ自分達の道を考えさせる時期だと思っていたのです。あなた達の強さを知ればあいつらにもいい刺激になるとは思っています。ですが…」


「ダンジョンは踏破してみせます」


テンダーはロザリアンヌにダンジョン踏破して欲しいのか欲しくないのか、何だか複雑な心境を抱いている様な口振りだった。


それからロザリアンヌ達の後をぞろぞろと付いて来るエルフ達は、キラルとレヴィアスとジュードの殺気にも近い威圧の気配を漸く感じ取れたのか、顔を青くして大人しくしている。

ロザリアンヌはその威圧を止めさせようかとも思ったが、キラル達にも何か考えがあっての事なのだろうと放って置く事にした。


「ところで森の中心が霞んで見えるのはやはり結界か何かですか?」


「えっ…」


テンダーはロザリアンヌが森の結界を見破るとは思ってもいなかった様で、心から驚いた様に目を見張り息を飲んだ。

多分あの結界の中にエルフの里があるか、もしかしたら世界樹があるのじゃないかとロザリアンヌは考えていた。

そうでなければ上空まで霞む様な結界など必要ないだろうと思っていた。


「それにしても見事な結界ですよね。私でもあんなに広範囲に結界を張れるか自信がありません」


「どうして結界だと?」


「どうしてって、見れば…」


ロザリアンヌは微妙に噛み合わない会話に頭を捻る。


「里の者でもあの結界を認識できる者は少ないのですよ…。あれは四長老様方の渾身の……」


「…」


テンダーの驚きの表情とは似合わない小声での呟きに、ロザリアンヌも驚き言葉も無かった。

後ろについて来ているエルフに聞こえてはマズいのか?

そうなると同族のエルフ達にも隠さなくてはならない事って?


「やはり結界の中には入れないのですか?」


カキーーーン!!


ロザリアンヌの思わずの問いかけに、テンダーは咄嗟に短剣を振るいロザリアンヌを攻撃したが、その攻撃はロザリアンヌの装備品の自動機能で張られた結界によって弾かれた。


「ダンジョンの踏破などと謀り、やはり探りにでも来たか」


冷酷な表情で見つめるテンダーに、キラルとレヴィアスが反応し無言でオーラを大きく放ち、ジュードがロザリアンヌを庇う様にした。

しかしロザリアンヌも不用意に探る様な事を口にしたと反省していたので、慌てて取り繕う様に笑顔を作る。


「ダンジョン踏破が目的なのは事実よ。ただ何をそんなに隠しているのかちょっと気になっただけ。聞いてはいけない事だったなら謝るわ。ごめんなさい」


「おまえの本心など分かる筈も無い」


「別に分かって貰わなくても良いんだけどね~」


ロザリアンヌの代わりにキラルが皮肉を込めた笑顔を向けテンダーに答える。


「ロザリー様、反撃のお許しを」


「ダンジョンの場所は分かった。放って置け行くぞ」


臨戦態勢を整えるジュードを止めたのはレヴィアスだった。

気付けば確かにダンジョンの場所を探知できる距離に来ていた。


ロザリアンヌは既に飛び立ったレヴィアスの後を追い上空へと飛ぶと、キラルとジュードもそれに続く。

咄嗟だったとは言え逃げるように飛び立った事を少し後悔したが、これ以上の無駄な諍いを避けたと考える事にした。


しかし後を追って来るテンダーの気配に、問題をただ後回しにしただけなのだと気付きロザリアンヌは溜息を吐く。


「はぁぁーー。どうしたら良いのよ」


「どうもこうも無い。ダンジョンを踏破するだけだろう」


「そうそう。さっさとダンジョン踏破して、こんな森は早く抜ければ良いんだよ」


やはりいつもと違うキラルの反応にロザリアンヌは疑問を抱くが、深く聞く余裕も無くテンダーをまく様に速度を上げて移動するのだった。



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― 新着の感想 ―
短剣とは珍しい気がする。武芸を極めたマッチョなエルフに期待
こんばんは。 この世界のエルフは面倒臭い系ですか~…。 まぁ目の前でダンジョン踏破して実力の差を見せつける→それでも絡んで来たら半殺しにすれば二度と関わって来ないでしょ。
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