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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
2章 ロザリアンヌにお任せ!

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ビューーーン!!


もの凄い速さで矢が飛んで来るのを察知し、ロザリアンヌは全員を覆い尽くす様に結界を張る。

もっともここに居るみんなは、この程度の攻撃など躱す必要も無いだろう事は分かっていたが、攻撃を仕掛けてきた相手に力を誇示する為に張った結界だった。


しかしわざわざ張った結界から飛び出し、キラルはその飛んできた矢を片手に軽々と掴む。

立て続けに放たれていた矢も、レヴィアスとジュードが同じ様に掴んで行く。


「ロザリーを狙って来るなんて許せない!」


「反撃だな」


「ロザリー様、大丈夫でしたか!」


珍しい事にキラルも怒りを露わにし、レヴィアスは問答無用で矢を闇魔法を使い投げ返し、ジュードはロザリアンヌを庇う様にロザリアンヌの前に背を向けて立ちはだかる。


(結界の意味がまったく無かったじゃない…)


ロザリアンヌは三人の反応に、内心で溜息交じりに呟いていた。


「取り敢えず降りて話をしましょう」


接触を先延ばしにしたが、矢を放って来た事から相手はほぼエルフで間違いないだろうとロザリアンヌは考えていた。

だとしたらきっとここはエルフの生息する森。もっと言えばエルフの国とも言えるだろう。

そんな場所のダンジョンを踏破しようとしているのに、できる事ならこれ以上の揉め事は避けたいところだ。


まぁ最悪認識阻害で姿を消し、無断でダンジョンを踏破すると言う選択肢もあるが、ロザリアンヌはエルフの街(?)がどんなものなのか正直気になっていた。

もしかしたら世界樹があって、それを守っているのかも知れないという想像もエルフに会ってみたい理由になっていた。


「ロザリーがそう言うなら僕は構わないよ」


「そう言う事は反撃をする前に言って欲しかったな」


「ロザリー様をこれ以上危険に晒す訳には参りません」


気が付けばレヴィアスは射かけられた矢をその魔力で投げ返し、まだはっきりと姿の見えていない相手に深手を負わせた様で、ジュードは珍しくロザリアンヌの意見に反対の様だった。

それにジュードの言葉がどこかのお姫様を守る騎士の様でもあり、何故かロザリアンヌに少しばかりのいたずら心が湧いた。


「見たでしょう、相手は私が脅威を抱く程でもないわよ。それに万が一にはジュードが守ってくれるのでしょう?」


「お任せください。この私が必ずや守ってみせます」


ジュードの跪きそうな勢いの様子をキラルは微笑ましく眺め、レヴィアスは興味無さそうに横目でチラリと確認する程度なので、ロザリアンヌはそれぞれのその反応を少し可笑しく感じていた。

不謹慎な話だが、ジュードと何処かありふれた三文芝居を演じている様な気分になり、それに対し観客とも言えるキラルとレヴィアスの反応が面白かったのだ。


「じゃあ急ぎましょう」


ロザリアンヌは三文芝居をそのまま続け右手を差し出すと、ジュードはお姫様をエスコートする騎士の様にその手を取るので、二人はそのまま地上に降り立った。

勿論キラルとレヴィアスもそれに付き従う様に付いて来る。


地上に居るだろうエルフ達を完璧に無視した行動だったが、地上に降りると忽ち囲まれたのは気配で分かった。

いまだに木の陰に身を隠しているが、殺気を隠そうともしないのでどこにいるかは気配を読まずともまる分かりだ。


さてこれからどうしようかと考えていると、もの凄いスピードでこちらに向かって来る気配を感じ、一気に警戒を強めその気配の到着を待った。


すると音も無くロザリアンヌの前に現れたのは、やはりロザリアンヌが想像した通りのエルフだった。

耳が尖り長い髪をサイドを三つ編みにして後ろで一つに纏めた透き通るような美形のエルフ。

ロザリアンヌの前世の知識にしっかり残っているエルフの姿に、もはや驚きも無かった。


「同胞が失礼な事をしでかした様ですが何卒ご容赦を。何しろこの森は人間が足を踏み入れる事も無い地。初めての事に対処を誤った未熟者達でございます。どうかお許しを」


かなり麗しいエルフに頭を下げられ、ロザリアンヌは対処に悩んでいたので寧ろ助けられた様な気がしていた。

しかしさっきまで殺気を漲らせ隠れていたエルフ達がその姿を見せる。


「テンダー様何故そんな奴らに頭を下げる」


「そうですよ。無断でこの森に侵入してきたのですよ、排除するのは当然です」


「こちらは3人も怪我人を出しているんです。許せる訳がないでしょう」


「おまえ達はだから未熟だと言われるんだ。相手の力量も測れずに数で勝てるとでも思ったか。私が駆け付けねばおまえ達は全員死んでいたと思い知れ!」


年若く見えるエルフ達にテンダー様と呼ばれた麗しのエルフは顔を曇らせ声を荒げると、ざっと見て10人は居るだろうエルフ達が一斉に黙った。


ロザリアンヌは目の前に揃ったエルフを眺めながら、やはりエルフは美形揃いなのだと納得していた。

そしてその中でも群を抜いて美形のテンダーの不穏な言葉にロザリアンヌは慌てて反論する。


「理由も無く殺したりしませんよ」


「こちらから先に手出しをした以上、当然理由になり得る筈です」


「しかしテンダー様、そいつらが本当にそんなに強いとは思えません」


「そうですよ。反撃されたとはいえこちらはかすり傷程度。私達を殺せたとは到底信じられません」


既に自分達で傷を治したのか、怪我を負っているエルフは見当たらなかった。


「おまえ達は……」


超絶美形のテンダーの顔に怒りを帯びて行くのを目の前にして、ロザリアンヌは震える思いだった。

美形が怒ると冷酷で無慈悲な雰囲気まで纏うので、ロザリアンヌは本当に恐ろしく感じ余計な口出しなどできず固唾を飲んだ。


「手加減をしてあげたんだよねー。レヴィアスは」


「ロザリーを狙った時点で問答無用であったのだがな」


「ロザリー様を困らせる訳には参りません。しかしお望みならこのジュードがお相手を致しましょう」


「いやいやいや、キラルはいつもの様にテンダーさんの怒りを静めて。レヴィアスもジュードも挑発しない」


キラルもレヴィアスもジュードもテンダーの怒り顔に全く動じる風もないので、ロザリアンヌは慌てて三人を抑えた。

そもそもいつもなら様子を窺うだけの三人が何故かやたらと好戦的な事に驚き、これ以上の揉め事を避け先に進むにはどうしたら良いのかと頭悩ませるのだった。



2025/05/13女性エルフエリゼを男性エルフテンダーに変えました。

ちなみに作者の中でのモデルは岡田将生さんだったりします。

書籍化に当たりあれこれ設定を変えた事や更新を再開するに当たり先の展開を考え悩んだ末の決断です。

読者様にはご迷惑をおかけすることをお詫びいたします。

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