表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
1章 プリンセス・ロザリアンロード

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/303

17


ロザリアンヌの作るマジックポーチはまた少し改良されていた。


と言っても安定してもう少し容量の大きなものを作れる様になっただけで、機能的にはさした違いは無かったが、3000ℓの大きさのマジックポーチも別売りされる様になった。


「これで時間停止機能が付けられたら完璧なんだけどなぁ、やっぱりそれには時間魔法が必要だよね」


ロザリアンヌは自分の前世での小説やアニメの情報から、時間遅延や停止機能は絶対に付けたいと考えていた。

しかしその為には時間魔法が必要だと考えるが、ロザリアンヌにはその魔法を自力で覚えられる気がしない。


「アンナさんに相談してみようか」


ロザリアンヌは錬金術の修行時間であったにも拘らず、珍しくアンナの所へと足を運ぶ事にした。

空間魔法を作れたアンナなら、もしかしたら時間魔法も作れるのじゃないかと考えたのだ。


普段はダンジョン攻略が早めに済んだ時や、師匠に頼まれてお使いに出た時などに顔を出していたのだが、今日は相談があるのだから良いだろうと自分に言い訳をする。


「こんにちは~」


ロザリアンヌはいつもの様に元気に挨拶をしながら、いつもの様に慣れた手順で魔導書店の扉を開けた。


するとまた珍しい事にお客の応対をしているアンナが、ロザリアンヌに一瞬視線を送り合図をする様に軽く会釈をしてまた元に戻した。


ロザリアンヌはこの店でお客を見かける事が少なかったので少し驚いたが、考えてみたらお客が来ない店では商売が成り立つ訳がない。

慌てて軽く頷く様に合図を返すと、店の中をウロウロして時間を潰す事にした。


魔導書とは言っても御大層な装本がされている重厚な本ではなく、明らかに手作り感満載の紐で綴られた古書の様な作りだった。


これから覚えるのがどんな魔法でどんな効果があるなどの説明の後、最後のページに書かれた魔法陣に触れるとその魔法陣はかき消され魔法を覚える事ができた。


しかし魔導書にも説明がある通り、適性が無いと思った様な効果が発動出来なかったり、魔力量によっては何度も発動出来なかったりするので、人によっては一種の賭けの様なものだった。

魔導書を使えば魔法を覚えるのは簡単だが、その魔法を使いこなせるかは本人次第だった。


勿論一度使われた魔導書は使い回しはおろか取り消しもできないので、思った効果が得られないからと難癖をつけに来るお客も少なくは無いといつかアンナは言っていた。


やっぱりどんな商売も大変なのだなとその時は何となく聞いていたが、今まさにそのやり取りを聞いているロザリアンヌはどうして良いか分からずに、店の中の陳列棚に身を隠す様にしていた。


「俺が買った魔導書に欠陥があったんじゃないだろうな」


「ですから先程から何度も申しておりますが、魔導書の欠陥ではなくあなたの適性の問題なのです」


「そんな話で納得いくと思うのか」


男は手に持ったポーチの様な物をアンナに突き付けた。


「このポーチの容量は大きめなバッグになった程度だ。コレじゃ到底売り物にもできない。同じ魔法なら同じ様に作れるのが当然じゃないのか!」


激昂MAXと言わんばかりに大声を出しアンナに詰め寄る男。

話の内容から察するに、ソフィアからレシピを買ってマジックポーチを作ってみたが、思った様に空間を広げられなかったのだろう。


ロザリアンヌは広げた空間の乱雑さからくる使いづらさを心配していたが、そもそもそこまで空間を広げられなかったのだと知り、自分の心配は杞憂だったのだと思っていた。


しかしその苦情をジュリオが仲立ちした事で錬金術店に持ち込む事ができないから、アンナに難癖をつけているのだと思い至り少し腹が立ってきた。


かと言ってここでロザリアンヌが口を挟めば話はさらにややこしくなりそうで、迂闊な事はできないと陳列棚の陰で悶々としていた。


「そもそもですね、空間魔法で空間を作るには相当量の魔力が必要なんです。その事は充分にご説明申し上げましたよね」


「しかしあんな幼い子供が簡単に作っているんだぞ、それをこの私にはできないというのは可笑しいだろう」


「可笑しいかどうかは私には分かりませんが、簡単に作っている訳では無いと思いますよ。それに魔力量は個人の資質ですので大人や子供という判断では測れないのではないですか」


アンナにぴしゃりと言われても尚納得がいかないのか、男はさらに顔を赤くして何かを言おうとしていた。


ロザリアンヌはこの先まさか暴力沙汰になる様な事は無いよねと、険悪になって行く雰囲気に思わず身を硬くした。


「失礼する」


空気を読んだのか読まなかったのか、大きな声での挨拶と共に突然勢い良く店の扉が開いた。


その突然の騒がしい登場にアンナだけでなく、最高潮に盛り上がっていたお客もロザリアンヌまでもが刮目する形となった。


店の中に一瞬の沈黙が広がったかと思うと騒々しく店に入って来た男は固唾を呑みそして「アンナ」と呟いて固まった。


見れば名前を呼ばれたアンナも固まったまま呆然としていた。

どういう訳か突然店に入って来たその男はマークスだった。

二人の様子から、アンナが魔法学校を中退してから久しぶりの再会と思われた。

しかしアンナが魔法学校を中退した事実からみて、バッドエンディングなのは確かだ。


だとしたら攻略対象が誰であろうと恋愛イベントはそう進んでいない筈。

いくら久しぶりの再会とは言え、ここでアンナとマークスの二人が固まってしまった理由がロザリアンヌにはまったく想像できなかった。



感想・評価・ブックマーク・いいね等本当にありがとうございます。

頑張る力を頂いております。

皆さまも益々暑くなる中どうぞ健康を崩されませんように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ