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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
2章 ロザリアンヌにお任せ!

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「どこへ行こうというの?」


何の説明も無く急ぐリュージンにロザリアンヌは問いかけた。


「あの貴重な鉱石がまた採掘できる様にしてくれぬか」


「構わないけれど…」


ロザリアンヌが何となく予測していた要望にやっぱりかと思う。


「最高難易度に変更すれば出現する魔物も強くなるのよ、その事もちゃんと理解できているのよね?」


リュージンの頼みなら聞くのは仕方ないと思いながらも心に引っ掛かるものを感じていた。


「大丈夫だ、説明はした」


「説明はされたけど理解できていないって事もあるよね?後で文句を言われるのも気分が良いものじゃないよ」


ロザリアンヌはダンジョンでマッツォからされた使えない発言を思い出していた。

良かれと思って協力したつもりが、相手にしてみたら利用できると考えただけの様で気分が悪かった。

敬えとかお礼を言えとかそこまでは望まないが、見下される意味が分からなかったし面白くなかった。


「しかしだな、あの鉱石を使って武器が作れれば更なる発展が見込めるのだぞ、儂はこの世界の発展を望んでいるんじゃ」


「でもあの鉱石はそう簡単に扱えないかも知れないよ?」


ロザリアンヌは自分が錬成で苦労した事から、きっと鍛冶でも同じなんじゃないかと思っていた。


「そうじゃのぉ、儂もそこまでは責任が持てんが、奴らの望みの一つ位は叶えてやりたいのじゃ」


「楽しいお酒をご馳走になったのね」


この何日かお祭り騒ぎでもてなされ、気分を良くしたリュージンが安請け合いでもしたのだろうと考えていた。


「まあそう言うな」


頭を掻きながら肩をすくめるリュージンにロザリアンヌは降参する。

きっとそれだけじゃないんだろうと思いたかったし、ロザリアンヌが面倒事に巻き込まれる訳じゃないのなら良いかとも思っていた。


「分かったわ、難易度を変えるけど責任は持てないわよ」


「おお、有難い。さすが儂のロザリーじゃ」


リュージンはロザリアンヌの手を取り大袈裟に喜んで見せた。


「僕達も一緒に行くよ」


いつの間に戻って来ていたのか、キラルがジュードを従え当然の様に言う。


「私もお願いがあります。もう一度あの蜘蛛部屋に挑ませては貰えませんか」


「別に構わないけど、難易度はどうするの?」


「今のままでお願い。ジュードはスパルタが好きみたいなんだ、この辺の魔物じゃ物足りないんだってさ」


「物足りないなら難易度を上げた方が良いんじゃないの?」


ジュードに代わって返事をしたキラルにロザリアンヌは聞き返す。


「強さじゃなくてさ、武器に慣れる為の運動にもならない物足りなさって事だよ。僕ももう少し身体を動かしたいし良いでしょう?」


上目遣いで強請るように言うキラルにロザリアンヌはつい笑ってしまう。

他のお姉様方ならイチコロだろうが、キラルの素性を知っているロザリアンヌに通用すると本気で思っているのだろうか?

それとも敢えて分かってやっているのか?


そんな事を考えながら、随分と器用にあけすけになったものだと感心していた。

賢く成長した弟を見ている様でどこか憎めずに、なんとも言えない嬉しさが込み上げていた。


「それじゃ今回私は魔法を自粛すれば良いの?」


「ロザリーも倒してくれて良いけど、自重してね」


「分かったわ、親蜘蛛と卵に専念するわね」


話し合いも終わり、ロザリアンヌ一行はそのまま蜘蛛部屋へと転移した。

ロザリアンヌは小さなライトをいくつか発動し、部屋のあちこちに浮遊させる。

一斉に駆け出したキラルとレヴィアスとジュード、それにリュージンの気配を確認しながらロザリアンヌはシャイニングスピアを親蜘蛛に向かって発動させた。


同時混合発動スキルを使い、親蜘蛛だけを狙い同時に多重発動させたシャイニングスピアが親蜘蛛に次々と突き刺さる。

ドスドスドスと音を立て突き刺さるシャイニングスピアはいつもより太く長くなっていて、それだけで絶命させる事ができた。

魔力循環の訓練のお陰かレベルアップの恩恵なのか、シャイニングスピアの威力もかなり高くなっていた。


ロザリアンヌはその後オーラの色が見えるようになったお陰か、気配探知で個人を識別できる様になっていた事もあり、みんなを避けて子蜘蛛単体に魔法を当てて行く。

シャイニングスピアの威力を確認したので、普段使い慣れない魔法の練習をと思い、思いつく魔法を片っ端から使って行った。


(魔法の熟練度上げにも丁度いいわね)


ジュードの武器訓練のついでに、ロザリアンヌも魔法の熟練度上げの為にもう何度か蜘蛛部屋に挑んでみようかと考えていた。

一番初めに躊躇したゾワゾワした感じはもうどこにもなく、レベル上げ熟練度上げの手段にしか見えなくなった蜘蛛の大軍を前に、虫の魔物も意外に平気かも知れないと思っていた。

難点といえば単体相手なので攻略に時間が掛かるといったところだろう。


そう思っていたロザリアンヌは、次々と蜘蛛の気配が消えていく速さに目を見張った。

ロザリアンヌが次の子蜘蛛に狙いを定め魔法を発動させるより早く、次々と子蜘蛛の気配を消していくのは多分ジュードだ。

気配探知でオーラの色がそのまま探知できる様になったのは本当に有難かった。


魔物は禍々しい黒に近いグレー、レヴィアスが藍色に近い蒼、そして限りなく白に近い金色がキラル、翡翠に近い緑がきっとジュードで、暗く渋い深蘇芳の様な赤がリュージンだろう。


素早い動きで次々と子蜘蛛を仕留めて行く様子を改めてその目で確認し、ジュードにナックル手甲を作ったのは間違いなかったと安心していた。

そうして蜘蛛部屋の蜘蛛を全滅させ、ロザリアンヌが一息ついているとジュードが凄い勢いで駆け寄ってくる。


「ロザリー様、この武器はやはり伝説級です。馴染みが良いだけでなく扱いやすく、面白いように魔物を粉砕できます。本当にありがとうございます。一生大事に致します。この御恩に必ずや報いて見せます」


「……」


その後もすっかり興奮して話すジュードに言葉を挟む事もできず、ロザリアンヌは黙ってジュードの気が済むまで話を聞いていた。

そして苦労して作りあげた甲斐があったと報われた気持ちを感じていた。

しかし初めは照れくさく聞いていた話も、段々とそこまでかという気分になりロザリアンヌは片手でジュードの言葉を制す。


「雑魚相手に何を言ってるのよ。感想は強敵を相手にしてからにして」


「そ、そうですね…」


「もうロザリーってば、賛辞は素直に受け取るべきだよ」


ガックリと肩を落とすジュードを庇う為か、キラルはロザリアンヌを窘める様に少し冷たい笑顔を投げてくる。


「ジュード、ありがとう。喜んでくれて嬉しかった。でもあまり言われ過ぎるのは照れるの。ごめんなさい」


ロザリアンヌは自分の態度を反省し、ジュードに改めて自分の気持ちを話した。


「じゃあ次は強敵を倒すんだよね」


キラルは冷たい笑顔のままキラリと瞳を輝かせた。


「えっと…」


「難易度を変えるのだろう。その後また挑もうという事だろう」


キラルの考えをレヴィアスが解説してくれる。

もう何度かこの蜘蛛部屋に挑みたいと確かに思った。

しかしそれは考えていただけでとは言えず、ロザリアンヌは時間が掛かる単体攻撃での蜘蛛部屋にまたも挑む事になったのを喜ぶべきなのかと考えていた。



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