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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
2章 ロザリアンヌにお任せ!

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結局夜遅くまでお祭り騒ぎは続き、リュージンは朝方近くまで飲んでいた様だった。

ロザリアンヌがテントから顔を出すと、既にキラルとジュードが起き出していてロザリアンヌが起きるのを待っていた。


「おはよう」


何だか色んな意味で疲れた昨夜はぐっすり眠った筈なのに、身体にはまだ少し怠さが残っていた。


「ロザリー、今日は街中へ出かけるんでしょう。もう、待ちくたびれちゃったよ」


「ごめん、起こしてくれても良かったのに」


「僕はそうしても良かったんだけど、ジュードがダメだって言うから」


「そうです、疲れはちゃんと取らないとダメです。休める時はしっかり休むべきです」


師匠になった筈のキラルも形無しで、なんだかんだ言ってキラルとジュードは良いコンビかも知れないと思いながら二人の様子を見ていた。


「急いで支度するね」


「それよりロザリー、朝食は用意してあるからちゃんと食べてね」


「キラルが作ってくれたの?」


「勿論そうだよ」


自慢気なキラルにロザリアンヌはお礼を言って、色んな食材が煮込まれたスープとパンを食べた。

明らかに昨夜の残りを再利用した感じだったが、身体も心もとても温まり疲れが取れて行く様で味よりも心遣いが嬉しかった。


「ありがとう、とっても美味しい」


「喜んでもらえるって嬉しいね。これからも僕が料理をしようかな」


ロザリアンヌはまさかキラルがここまで料理に喜びを感じるとは思っていなかった。

自分の食べたい物は自分で作れるようになれば便利かと考えただけだったが、料理を振舞う楽しさまで覚えたらしい事にロザリアンヌも嬉しさを感じていた。


「そうね、時々はお願いね」


「新しいレシピも探さなくちゃ」


「今日は食べ歩きじゃなくて、ロザリー様のご用を済ませるのではありませんでしたか?」


ジュードのツッコミは的確だった様で、キラルは言葉も無く顔を少し曇らせていた。


「私は別行動でも構わないわよ。街中はそんなに危険も無いだろうし」


「そんな訳に行かないよ。僕はロザリーを守らなくちゃならないからね」


「大丈夫よ。何かあったら念話で伝えるし、何だったら認識阻害で街中を歩くわ」


「絶対にダメ。僕がロザリーと一緒じゃないと楽しめないの」


「分かったわ、じゃあ早い所用事を済ませて食べ歩きをしましょう」


「賛成ー!」


やっぱり無邪気に喜ぶキラルの姿はどう見ても弟の様で保護対象者にしか思えないが、ロザリアンヌは決めつける事も拘る事も無いかと普段通りに接していた。

そうして食事を済ませ起き出して来たリュージンに出かけると挨拶をすると、リュージンはこの場にしばらく留まるつもりらしかった。


「留守は任せておけ」


(留守って言われても…)


ロザリアンヌはここを拠点にする気は無かったが、いつの間にか決定されていた様なので仕方なく従った。


「行ってきます」


この街はメイアンの様に明確な区画分けがされてなく、魔導書店や錬金術店を探し回っても一カ所に集まっている様子も無く、また魔導書や錬金術の店という明確な店も無かった。

どうやらひっくるめて魔道具も扱う道具屋もあるといった感じで、道具屋によって何を扱っているか違いがあった。


店の数もかなりあるらしく、ロザリアンヌはその一軒一軒を覗いて歩くのは楽しくもあったが、段々とどうでもよくなっていた。

まったく目新しさが無いというか、掘り出し物の一つも見つけられず、この大陸の文化レベルの低さを身をもって感じ始めていた。


ジュードから話を聞いて少しばかり魔導書に期待をしてみたが、そもそもこの大陸に魔導書の存在自体無い様だった。


「食べ歩きをして帰ろうか」


ロザリアンヌはこの大陸はさっさとダンジョン攻略を済ませ、別の大陸に行くという当初の目的を改めて思い出していた。


それから足りなくなった調味料や食材を買い込みながら食べ歩きをしてみたが、やはり目新しい料理や美味しい調理に出会う事も無く一日が終わった。

寧ろ取り扱っていない食材やハーブ類が多く、ロザリアンヌはこんな大きな街でも手に入らない物があるのだと実感していた。


そしてリュージンが居る街の外れに戻ってみると、またもやお祭り騒ぎが始まっていた。

確かにリュージンのマジックポーチにも魔物の食材がまだまだあるとは言え、それだけで良いのかとロザリアンヌは驚いていた。


昨夜はロザリアンヌが必死に料理を作っていたが、今日はリュージンが食材を提供するだけでこの地の人達が甲斐甲斐しく動き働いていた。

たいした調味料も使わないただ焼いただけの様な料理でもみな嬉しそうに食べているのを見て、結局料理って誰と楽しく食べるかが重要なんだろうと感じていた。


「ただいま」


「おお、遅いから先に始めてしまったぞ」


リュージンは既にお酒を飲み始めていた。


「今日は私もお客様になろうかな」


「そうするが良い。ロザリーも少し飲んでみるか?」


リュージンはロザリアンヌにお酒を勧めて来るが、前世でもあまり飲んだ事のないロザリアンヌは首を振って断った。


「それよりダンジョン攻略を早い所進めようと思うのだけど、この先も協力して貰えるかしら?」


「約束じゃからの協力は惜しまぬぞ。儂をいつでも呼ぶが良い」


ジュードが飛べれば話は別なのだが、ロザリアンヌはダンジョン間の移動をリュージンに任せるつもりでいた。


「今度はちゃんと近い順でお願いするわね。何しろこの大陸にあるすべてのダンジョンを踏破しなくちゃならないから時間が無いの。そこの所忘れずによろしく」


ロザリアンヌはリュージンにきっちりと念を押す。


「分かっておるわ。儂も本腰を入れてドラゴを鍛えるつもりじゃしの。任せておけ」


そうしてロザリアンヌとリュージンは改めて予定をすり合わせ、明日からのダンジョン攻略に向けてその日は早めにお祭り騒ぎを切り上げたのだった。



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