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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
2章 ロザリアンヌにお任せ!

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誤字報告いつも本当にありがとうございます。

とても助かっております。


リュージンは寄りたい所ができたと言って、途中途中の村や街の上空をゆっくり旋回しそしてその国の王都らしい場所の近くに降り立った。

お陰でこの辺のマップを埋める手間も無くなり、かなりの村や街をしっかりと確認できた事でロザリアンヌが転移できる場所もかなり増えた。


「ここへ来たかったの?」


「お主も王都には興味があるのじゃろう。何なら何日かゆっくりしても構わぬぞ」


リュージンはロザリアンヌが魔導書店や錬金術店などに興味がある事をしっかり知っている様だ。

それに確かに各国の王都を色々と見て回るのも楽しいかも知れない。


「リュージンはどうするの?」


「お主がゆっくりするのなら、儂らも色々と楽しむとしようかのぉドラゴ」


「クゥ~ン」


「そう言えばドラゴと一緒でも大丈夫なのかな?」


「フン、この儂に逆らえる者などおると思うか」


「魔物を従える者が居る事は知られているらしいぞ、多分大丈夫なのだろう」


レヴィアスが補足してくれたが、そう言えばトーガの街でも別に何も言われなかった事を思い出す。

もっともあの街ではアリオスも一緒だったし、ギルマスの顔があって何も言われなかった可能性もある気はするが…


「それじゃ今日と明日はここでゆっくりしようか」


「僕は賛成ー、何か美味しい物を探そうよ」


「私もそれで構わない。少し別行動させて貰うがな」


ロザリアンヌの提案に、キラルもレヴィアスもいつも通りの返事だった。


「私はロザリー様とご一緒させていただいても宜しいですか?」


相変わらずのジュードの敬語と態度の硬さがロザリアンヌは少々窮屈になって来た。


「構わないけど、それよりジュードも遠慮せずに自分の意見を言っても良いんだからね」


「自分の意見でございますか?」


「そうよキラルの様に何が食べたいとか、レヴィアスの様に何がしたいとかよ」


「そうは言われましても、すべてが初めての事なので自分が何をしたいかも良く分かりません」


ロザリアンヌはジュードの言う事に納得はしたが、何だか言い負かされた気がして少しだけ悔しさを覚えた。


「キラル、ジュードを任せても良い?何が楽しいか教えてあげて」


ロザリアンヌは自分では手を焼く気がして、ジュードをキラルに任せる事にした。


「僕の弟子って事で良いの?」


「そうね、キラルの弟子って事で楽しい事をいっぱい教えてあげて。そしてその堅苦しい態度と敬語をいい加減改めさせて欲しいの」


「了解!僕に任せておいて」


キラルはとても気軽に返事をするとジュードに「よろしくね」と微笑んでいた。

その笑顔はこの間見せた笑顔とも浄化の作用のある笑顔ともまた違うものだったので、ロザリアンヌは何故か少しだけ不安を感じていた。


そしてここ最近キラルのいつもと違う顔を色々と見せられている事で、少しだけキラルを遠くに感じ寂しくなった。


「キラルってば変わったりしないよね?」


ロザリアンヌは思わずキラルに聞いていた。


「何を言ってるの?」


「何だかキラルが遠くに行ってしまう気がしたのよ」


「そんな事ある訳ないじゃん。僕はずっとロザリーと一緒だよ安心して」


そう言って笑った笑顔はいつものキラルだった。


「話が決まったならそろそろ行くぞ」


レヴィアスに促され、ロザリアンヌ達は王都へと向かい歩き始める。

そしてもうすぐ王都に着くかと言うところで大勢の兵士とすれ違った。

ロザリアンヌが何事かと警戒していると「リュージンを探しに出たのだろう」とレヴィアスが解説してくれる。


「リュージンを討伐でもする気なのかしら?」


「あの程度の輩に儂をどうにかできると考えているとは、儂も随分と侮られた物じゃのう」


人間に化けたリュージンが大きく溜息を吐いていた。


「おまえ達この先にドラゴンが降り立ったのを見なかったのか?何が起こるか分からんのだぞ、早く避難するが良い」


兵士の隊長と見える男がロザリアンヌ達に話しかけて来た。


「ドラゴンですか?」


ロザリアンヌはここに居るのがそのドラゴンですよとも言えず、取り敢えずとぼけてみせた。

それに言い伝えを知っていたら、ドラゴンが人に化けて人里に降りる事を考えて予測もできるだろうにと思っていた。

それだけリュージンは身近な存在ではなく、既におとぎ話にでもなっているのだろう。


「ああ信じられない程の大きさだったが、本当におまえ達は何も気づかなかったのか?」


少し訝しむ様子を見せた隊長だったが、「はい」と答えると「田舎者が」と馬鹿にする様にして遠ざかって行った。


「もしかして王都の人達ってみんなあんな感じなのかしら?」


「「どうだろうな」」


レヴィアスとリュージンの言葉が重なった。


「みんながそうだとは限らないよロザリー、行ってみれば分かるんじゃないかな」


キラルに背中を押されロザリアンヌは王都へと足を速めていた。

そして間近から見る王都は、小説で読む様な城壁や門などまったく見当たらず、ただ漠然と建造物がひしめき合い広がっていた。


そして多分王都の中央だと思われる付近にやたらと大きく高く建てられたお城があった。

豪華で煌びやかと言う雰囲気ではなく、城塞と言った感じの堅苦しいイメージのお城で、まるであのお城さえ守られれば十分と言わんばかりだった。


「何だかこの街がどんな街か見当がつくね」


ロザリアンヌは思わずそう呟いていた。

王都の外れであり街道からも外れるロザリアンヌが今足を踏み入れた場所は、建物も立派とは到底言えずスラム街と言うか低層階級の人々が住む場所だと想像できた。

そして多分行政も治安も行き届いていないだろう事が伺えた。


「入る場所を間違えたか」


「そうでもないだろう。これもこの街の一面じゃ。ロザリーよ、お主も良く見ておくがよい」


リュージンはロザリアンヌに何を見せたかったのか知らないが、ここの人々の貧しさを目にしたからと言ってロザリアンヌに何ができるかなど考えもつかなかった。

ロザリアンヌの私財をなげうって施す程度の事では何も変わらないだろう事はロザリアンヌにも理解できるが、リュージンがロザリアンヌに何を言いたいのかもまるで分からなかった。


「それはどういう意味?私にここの人々を助けろって事?」


「そうは言わん。この儂とて人の営みをどうにかできると思ってもおらん。ただ賑やかさだけを目にしては分からぬこともあるという事じゃ」


「だからリュージンは私に何を理解しろと言っているのか分からないってば」


ロザリアンヌは自分がリュージンの意図を何も思いつかない苛立ちをそのままリュージンにぶつけていた。


「ロザリー、僕達はただ通り過ぎるだけの旅人だろう?」


キラルが全身全霊の浄化の笑顔をロザリアンヌにしてみせた。


「そうだ。通り過ぎるだけの街にはこういう人々も居るのだという事を言いたいだけだろう」


レヴィアスも珍しくロザリアンヌの頭に手を置いて落ち着けと言ってくれている様だった。


「そうじゃぞ。どうせ見るのならうわべだけでは何も理解できないからのう。それは何にでも当てはまると思わんか?」


ロザリアンヌの心はキラルとレヴィアスのお陰ですっかり落ち着き、そしてリュージンが何を言いたかったのかを漸く少し分かった気がした。


この街の、いや、この国やこの大陸と言うか、この世界のうわべだけを楽しみ、すべてを知った気になるなと言いたかったのだろう。

楽しい事だけを体験して立ち去るならそれはただの観光だ。

ロザリアンヌはこの大陸に観光に来ているのではないと悟らせたかったのだろうと理解できた。


だからと言ってロザリアンヌに何かができるかなど思えないが、何かできる事があったならその時は迷わずに実行しようと素直に思えた。


「分かりました。忘れずに心に留めておきます」


ロザリアンヌはリュージンにそう答えていた。



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