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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
2章 ロザリアンヌにお任せ!

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ドラゴパパはロザリアンヌが設置した隠れ家に本当に興味津々だった。

畑の様子も驚くほど真剣に見て回り「なるほど」と時おり呟いたりもしていた。

そうして漸く家の中に入ったかと思うと「これは素晴らしい」と、大賢者様が残した資料の数々を手に取りだしている。


ロザリアンヌにも覚えがあるが、こうなった人は気が済むまで放っておくしかないとドラゴパパの事はその場に放置し、ロザリアンヌは自分がやるべきことを考え始めた。


「ロザリー、僕のご飯の事だけは忘れないでよ」


キラルが家をどうやって作ろうかと考え始めたロザリアンヌに話しかける。


「ごめん、そうだよね」


最近のキラルはロザリアンヌの練成中付きっ切りで見守る事は少なくなった。

どこで何をしているのか話してくれる事もあるが、一人で行動する事も増えていた。

とは言っても、ロザリアンヌが練成中の話であって、普段は基本ロザリアンヌに付きっきりなのは変わりない。


ロザリアンヌは早速キラルの為にご飯の用意をする。

キラルに何が良いかを聞くと大抵ハンバーグと答えが返ってくる事が多いので、最近は余程でない限りその時のロザリアンヌの気分で作っていた。


「キラルも料理を覚えたら良いのに。そうすれば自分の食べたい物をいつでも作れるよ」


「僕にもその練成鍋が使えるなら挑戦してみたいな」


「使えるんじゃないの?だって、キラルは私より魔力量も多いし、問題はイメージだから」


材料さえ揃っていれば後はイメージの問題で、材料を切り揃えたり火加減の調整なんて難しく面倒な事は何もいらないのだから。


「じゃあ僕も錬金術師の仲間入りするよ。ロザリーの弟子って事で良い?」


「キラルはもうとうの昔に師匠の弟子って事になっているじゃない。だから私とは兄弟弟子よ」


「そう言えばそうだった」


ロザリアンヌは早速キラルに練成鍋の使い方を伝授して行った。

とは言っても、料理のレシピというか必要材料を教えるだけだったが…


「本当に便利だな。それは他の者には使えないのか?」


「どうだろう、魔力も必要だしコツもいるけど一番の問題は受け入れられるかって事だと思う」


いつの間にか現れていたドラゴパパが、ロザリアンヌとキラルの練成調理を見ながら質問をしてきた。

ロザリアンヌの考えとしては、アリオスが得体の知れない物と反応した様に、練成鍋を受け入れられない人の方が多い気がしていた。


「儂から見たらとても便利そうで、儂も欲しいくらいじゃのにな」


ドラゴパパは人間に変化しているせいか、ロザリアンヌ達と同じものを同じくらいの量食べて喜んでいた。

ロザリアンヌにしたらそちらの方が不思議だった。

もっともあの場に留まり続けた間、食事などはいったいどうしていたのかと言う疑問もある。


「儂はこの辺りの魔素を吸収する事で如何にか生き永らえられるのじゃ」


「ドラゴンって凄いね」


ドラゴンは絶対に肉食だと思っていたロザリアンヌは、思わず感嘆の声を上げる。


「戯けが、ドラゴンがみなそうできる訳じゃないわ。儂だからできる事じゃ」


ロザリアンヌはドラゴパパに叱られた様な気がして一気に身が竦む。


「ごめんなさい…」


「フフ、儂はそこの精霊と一緒で記憶を受け継ぎ再生を繰り返せる唯一の存在じゃ。昔は神と崇められたものじゃ」


ドラゴパパはキラルの正体に気付いていたらしい。


「今は違うの?」


「武力を持って挑んでくる輩もおるの」


「何それ!」


「なんで?」


ドラゴパパの話にロザリアンヌとキラルは同時に声を上げていた。


「どうしてなのじゃろうな、儂が知りたいわ」


「でもあの村のお爺さんは、ドラゴパパが人間に化けているって分かったって言ってたよ。気付かない振りしてもてなすのが礼儀だって」


「ならば語り継がれている村も少なくなったという事じゃろう」


ロザリアンヌはなるほどと思わず納得してしまう。


「じゃあ今ドラゴパパがそのオーラを撒き散らして人里に現れたら、いったいどんな騒ぎになるんだろうね」


「そんなに撒き散らしておるのか?」


ドラゴパパは自分が人型に化けながらも、かなりのオーラを放出している事に気付いていないらしい。


「うん、一目瞭然。多分知らない人が見たら恐れを抱くくらい」


「それは問題じゃ。それでは気軽に人里に遊びに行けぬではないか」


ドラゴパパはロザリアンヌが驚くほど狼狽え出した。


「人里に遊びに行ってどうするの?」


ロザリアンヌはドラゴパパのあまりの狼狽え振りに、ドラゴンが人里にどんな用があってそんなに遊びに行きたがるのか普通に疑問を抱いた。


「お主は馬鹿か!旨い酒を飲めて旨いさかなも食えるじゃろうが。何より人の営みは見ていて面白い。ねぐらに一人引き籠る生活の何が楽しいものか」


ロザリアンヌはドラゴパパが人間の様な事を言ったのには本当に驚きだった。

しかし気の遠くなるような年月を一人で生きて来たのだと聞かされると、それも当然かと思う。

それにそうして困っている人々に時々は手を貸して来たのだろうと想像していた。


「これからも人里で遊びたいのなら、そのオーラをどうにかするしかないんじゃない。でもそうしたら、気付かない振りしてもてなしてくれる人も居ないかも知れないけどね」


ロザリアンヌは現実問題をドラゴパパに突き付けた。


「それは困った。儂はどうしたらいいんじゃ」


「オーラを抑えれば良いんだよ。コツなら僕が教えられるよ」


キラルはドラゴパパ相手にまるで先輩の様な態度で助言と言う提案をしていた。


「しかしじゃな、もてなしをされなくなると金が必要になるのじゃないか?」


「お金なんてどうにでもなるものだよ」


現金の心配をするドラゴパパに、キラルは浄化作用のある笑顔とは別の笑顔をしてみせる。

ロザリアンヌはそれがとてもショックで、呆気に取られ何も言えなかった。

そしてこのままキラルが穢れてしまったらと不安を抱くのだった。



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― 新着の感想 ―
そりゃ、生え変わった鱗の一枚でも持ち込めばあっという間に金貨に化けるからね
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