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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
2章 ロザリアンヌにお任せ!

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転移した先はどこかの神殿の室内の様な大理石で作られた部屋だった。

中央の台座には直径1mはあるだろう宝玉が置かれている。

ドラゴパパは宝玉を持ち帰れと言っていたが、ロザリアンヌの知識からしたらあれはこのダンジョンのコアで、多分停止させて持ち帰ったらきっとこのダンジョンが無くなってしまうだろうと考えていた。


「確認してみますか」


ロザリアンヌは宝玉へと近寄り触ってみる。

すると強制的にロザリアンヌの魔力が抜き取られて行くのを感じた。


『魔力を感知しました、ダンジョンマスターの登録を行いますか?』


「マスターの登録をするとどうなるの?」


『ダンジョンの設定を自由にできます』


ロザリアンヌはやっぱりねと自分の知識が正しかったことを確認していた。


「どんな設定ができるか教えて」


ロザリアンヌがそう言った途端、さらに魔力を抜かれる感覚があった。


『マスターと認定しました。設定は次の中から行ってください』


突然ロザリアンヌの目の前に透明なボードが現れ、ダンジョンの設定できる内容が浮かび上がって来た。


その中からまずはダンジョン内のフィールドの固定をオンにし、ダンジョン内の難易度設定も変え、魔物の強さや上位種の出現率も攻略し易いように変えた。

そして一番肝心と思われるダンジョン内の採取素材の設定を選んでいく。


(折角の洞窟タイプのダンジョンなんだから、ここはやはり貴重鉱石や金が採取できた方が良いよね)


ロザリアンヌはダンジョンの奥へ行く程に貴重な鉱石が採掘できる様に設定すると、またまたがっつりと魔力を抜き取られた感覚があった。

どうもダンジョン設定には魔力が必要な様だ。


「これで良い筈よ」


ロザリアンヌはすべての設定を終わらせるとみんなに向かって頷いて見せた。


「その宝玉を持って行かなくても良いの?」


「ドラゴパパが望んでいた結果は得られたから大丈夫。ドラゴパパには私から説明するわ」


キラルの疑問に答えていると「あの宝箱は開けなくて良いのか?」とレヴィアスが言う。


宝玉に気を取られまったく気付いていなかったが、部屋の隅には3つの装飾も見事な宝箱が並んでいた。


「何だか凄い宝が入っていそうね」


ロザリアンヌはその装飾の豪華さから中身を想像し途端にワクワクし、一つ目の宝箱を開けるとそこから出てきたのは大きな木の樽だった。


「樽だね」


「樽だな」


キラルとレヴィアスが顔を見合わせているが、それ以上に驚いたのはロザリアンヌだった。

どう見ても宝箱より大きな樽が出てきたのは納得するが、宝箱から樽が出てきた事はどう考えても納得しがたかった。


「もしかしたら凄い樽なのかも、ロザリー鑑定してみたら」


キラルに言われ鑑定してみるとなんと驚いた事に、中に入れた物を絶えず自動で補充してくれる樽らしい。


「それは凄いですね。中に飲み水を入れたら一生飲み水には困らないという事ですよね」


鑑定結果を聞いて一番食いつきが良かったのはジュードだった。

考えてみたら魔道具も無く水道設備も無いあの村では飲み水を確保するのも一苦労なのだろう。


他にも例えばお酒を入れたら一生お酒には困らないし、果物でもきっと同じ結果になるだろう。

それも腐る事も無いとなればその便利さはどれ程のものか。

それに考えたくは無いが金やお金を入れたらどうなるのか・・・


もしこれがロザリアンヌに錬成できたなら、世の中はどれ程変わってしまうのかと考えただけで恐ろしくなる。

下手したら人は何かを手に入れる為に働かなくても良くなるのだ。

きっとこの樽の存在が知られたら、マジックポーチどころの騒ぎじゃなくなるだろう。

ロザリアンヌはそこまで考えて、思わず生唾を飲み込んだ。


今目を輝かせ喜んでいるジュードは、何も考えずにマジックポーチを作った時のロザリアンヌと一緒だと思っていた。

それを手に入れた事で争いが起き、騒動に巻き込まれるなど考えてもいない。


「コレどうしよう?」


ロザリアンヌは思わずレヴィアスに聞いていた。


「人知れず使うか、秘匿するしかないだろうな」


「でも使っていたらいずれは誰かに知られるよね」


「人が出入りする場所で使えばそうなるだろうな」


レヴィアスの言い方でロザリアンヌはふと思う、例えば隠れ家内だったなら誰かに知られる心配はないだろうと。


「分かった良く考えてみる」


ロザリアンヌはそう返事をして次の宝箱を開けようとするが一瞬戸惑う。

一つ目の宝が見た目に反し物凄い物だっただけにこれ以上どんな凄い物が出てくるのか、大きな期待と少しの恐ろしさを感じながら恐る恐る宝箱を開ける。


中にあったのはひと際輝く野球ボールほどの水晶だった。

ロザリアンヌが手に取るとそれはあっという間に身体に溶け込んでいく。

そして≪自動回復≫と言うスキルを手に入れていた。

絶えずHPが自動で回復されるスキルらしい。

あまり魔物から攻撃を受ける事のないロザリアンヌからしたら、HPの回復より体力の回復の方が嬉しいのにと少しだけ肩を落としていると、体力も回復されると頭の中で追加の情報があった。


「何だったの?」


キラルに尋ねられロザリアンヌは簡単に「スキルだったみたい」とだけ説明した。

誰に相談する事も無く自分が手に入れてしまった後ろめたさもあったが、スキルの説明をしたら絶対にアリオスもジュードも欲しかったと思うに違いないと考えたからだ。


ロザリアンヌには歓喜する程嬉しい物でもなかったが、もしかしたらアリオスやジュードには喉から手が出るほど欲しい物かも知れない。

下手に内容を知らない方が余計なモヤモヤを抱かせる事は無いだろうと考えたからだった。


(お詫びに後で何か絶対に練成して渡すから)


ロザリアンヌは心の中でアリオスとジュードに謝った。


そうして3つ目の宝箱を開けるとひと際大きな魔晶石が入っていた。

宝箱の何倍あるのだという様な途轍もない大きさで、宝箱の中から取り出すのも一苦労だった。


「こんなに大きな魔晶石見た事も無いね」


誰もが驚き過ぎて声を上げる者がいない中、キラルが呆気に取られながらも一人で呟いていた。


「これもまた扱いが難しそうだね」


「いずれ使い道も思いつくかもしれんぞ、ロザリーコレもおまえが秘匿しておけ」


レヴィアスが当然のように言うと、アリオスとジュードに何かを言いたげに睨んだ。


「分かりました、誰にも言いません」


ジュードはレヴィアスの言いたい事を察したらしくいち早く背筋を正し返事をした。


「ああ、俺も忘れるよ」


アリオスもジュードにつられボソボソと呟く様に言う。


「結局一番凄かったのはこの樽って事だね」


「私はこの宝箱が欲しいわ。これって持ち帰れないものかしら」


キラルが樽に有難そうに手を置くのを横目に、ロザリアンヌは宝箱に手をやった。


「それも良いかも知れんな。ダンジョン踏破の証拠として領主に渡したら喜ぶだろう」


「持って帰れるの?」


「帰れるだろう」


レヴィアスにそう言われたロザリアンヌは、宝箱を収納すべくマジックポーチを開け念じてみると普通に収納された。

ダンジョン内の宝箱は持ち帰れないと勝手に思い込んでいただけだった。


多分中は収納箱と同じ機能を持っている様だし、装飾もとても立派で見栄えも良い。

レヴィアスが言う様にダンジョンを踏破した証拠としては充分だろうと思えたが、ロザリアンヌはレヴィアスが言う様に領主にただで渡す気など無かった。


今回ダンジョンを攻略し易い設定にしたとは言え、あの忘れ去られた村を再建させる企画がすぐに動くとは思えない。

これを領主にただで渡す位なら少しでもお金に換え、村の為に使って欲しいとロザリアンヌは考えていた。


「コレをただで領主に献上する気は無いわ」


ロザリアンヌはアリオスに向かって言う。


「ああ、分かっている」


アリオスは初めて力強い眼差しでロザリアンヌの瞳をしっかりと見詰め返して来た。


アリオスはダンジョン踏破する為に仮に仲間になった相手で、領主の息子だ。

取り敢えずアリオスの目的は果たされた。

ダンジョン踏破の名声を手に入れ、その後アリオスがどうしたいのかなどロザリアンヌにはまったく興味も無いが、少なくとも少し位は役に立って欲しいと願うばかりだった。



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― 新着の感想 ―
樽には世界樹のしずくみたいな、国宝どころじゃないものを入れたいですねぇ。 世界一高い食材とか、世界一高いお酒など、どこかの王が所持したら樽目当てで侵攻してくる国が出たりして。 誰にも狙われる事なく、孤…
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