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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
2章 ロザリアンヌにお任せ!

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「アリオスを抱えて飛べないものかしら?」


道なき道を進む大変さをロザリアンヌも感じ始めていた。

なるべく歩きやすい場所を選んで歩くのもなかなかに面倒で、何よりアリオスのペースに合わせなければならないのがとても大変だった。


「それじゃぁ、大人しくあいつの言う様に街道を移動すれば良いだろう」


レヴィアスはいち早く自分にその気は無いという意思表示をする。


「僕も誰かを抱えて飛ぶなんて嫌だよ。手が塞がっていたら肝心の時にロザリーを守れないじゃないか」


キラルも当然のように嫌がった。


「そうなんだけどね」


ロザリアンヌにだってアリオスを抱えて飛ぶなんてできそうもなく、仕方なく溜息を吐いて諦める。

気球の様に箱に乗せたアリオスを3人で引っ張って飛べないかと考えたのだけれど、到底それを提案できる雰囲気ではなかった。


「魔導艇がどの位の大きさか知らないけど早くできあがってくれないかなぁ」


ロザリアンヌは思わず呟いていた。


「魔導船ならもう少しで出来上がるぞ。先に受け取りに戻るか?」


レヴィアスが遠く離れた筈のメイアンの情報を持っている事にロザリアンヌは驚いた。


「どうして知ってるの?」


「この街に着いた時に一度戻って確認して来たからな」


考えてみればロザリアンヌに使える闇魔法はレヴィアスにも使えて当然だった。

大賢者様が使っていたとされる時空転移魔法は、結局闇属性の魔法だったという事なのだろう。


「今魔導船を受け取っても航海する予定は無いよ。それに欲しいのはアリオスを飛ばす方法だよ」


「魔道具として作った妖精の羽でも手に入れるか?」


「それも良いけど、アリオスは認識阻害を使えないから誰かに見られたら厄介でしょう?」


結局何一つ良い案が浮かばないまま、まっすぐ飛んだら一日も掛からないだろう距離を3日も歩いて漸く大森林の近くまで辿り着いた。


「近くまで来るとやっぱり想像以上に広そうね」


「強そうな魔物の気配もあるね」


「問題ない」


「ところでアリオスは大型の魔物の解体もできるの?」


「トーガの冒険者ギルドで扱った事のある魔物なら任せろ」


(要するにこの大森林の魔物の解体は無理って事かな?)


「それよりここまでの間俺はウサギの解体しかしてないが、思った以上に魔物っていないもんなんだな。この大森林も言う程魔物なんて居ないんじゃないのか」


アリオスは初日とは違い少し歩くのにも慣れたのか、今頃になってそんな疑問を口にした。


「雑魚はね。ロザリーの気配を怖がって逃げてたけど、この大森林に居る強敵は多分逆に寄ってくるだろうから、ここからが本番だって思う方が良いよ」


レヴィアスは返事をする気も無かったのか顔を背けたが、キラルが丁寧に説明していた。

でもロザリアンヌは実はそれだけじゃ無い事を知っていた。

キラルもレヴィアスも、ロザリアンヌ達に近づこうとする無謀な魔物を目立たないように倒していたのだ。


アリオスにペースを合わせる間の暇つぶしか、それともロザリアンヌに余計な気を遣わせたくなかったのか二人とも口には出さないが、ロザリアンヌは勝手にそう解釈していた。

倒した魔物の素材の事が少しだけ気になったが、キラルとレヴィアスの気づかいに合わせ知らん振りをしていた。


「こんな女のどんな気配を怖がって魔物が逃げるって言うんだよ。おまえら本当に情けないな。女を庇うだけが男の役目じゃないぞ。錬金術だか何だか知らないが、奇妙な術を使えるからっていい気になってるだけだろうが」


アリオスの言いたい放題にレヴィアスがキレるかと思ったが、顔を背けたまま相手にする様子もなく、代わりにキラルが信じられない程冷たい視線を投げつけた。

放って置いたら手まで出しそうな雰囲気に、ロザリアンヌは慌ててキラルを止めた。


「キラルダメよ。キラルはいつものように笑ってて、私はキラルの笑顔に救われるの」


正直ロザリアンヌはもうアリオスがどういう態度に出ようが平気だった。

慣れたというか、男尊女卑が強いこの国の風習が、そして貴族のお坊ちゃまという育ちと立場が言わせているのだろうと受け流せた。


笑えるほど心は広くも無く余裕も無かったが、この3日間一緒に過ごしてみて、けしてアリオスだけの問題では無いのだと理解できる様になった。


「じゃあいつもの役割分担で良いよね」


キラルが何を言い出したのか一瞬分からなかったが、夜の海で魔物を倒した時の事を言っているのだと理解した。

キラルが気配探知をしロザリアンヌが魔物を倒し、レヴィアスが魔物を回収したあの時の事を言っているのだと。


「それで構わないわ」


「じゃあこのリュックはレヴィアスに預けるよ」


大型魔物も余裕で収納できる様にと作ったマジックリュックを、キラルはレヴィアスに差し出した。

しかしロザリアンヌにはレヴィアスがリュックを背負う想像ができなかった。似合わなすぎるというか・・・


「断る」


案の定と言うか、レヴィアスもロザリアンヌと同じことを考えたのか即刻断っていた。


「え~、なんでぇ~」


納得がいかないとばかりに愚図るキラルも意外だったが、これ以上無益な言い合いに時間を取られるのも面倒なのでロザリアンヌが提案する。


「大賢者様の収納袋使う?それともレヴィアス専用のバッグでも作る?」


「そうだな私専用のを作ってくれ」


まさかレヴィアスが自分専用のバッグを欲しがるとは考えても居なかったので、ロザリアンヌは少しだけ驚いた。

でも考えてみたらキラルとアリオスにはリュックを作ったのに、レヴィアスにはスーツ装備以外何も作っていなかった。


「分かった。じゃあ大森林は明日からにして、今日は久しぶりに隠れ家でゆっくりしようか」


「ロザリーはゆっくりできないじゃないか」


ロザリアンヌの提案にキラルは少し不服そうだったが、ロザリアンヌは構わずにキラルに指示を出す。


「私は錬金ができるだけで気分が変わるわ。お願いキラル、隠れ家を設置できそうな場所を探してくれる?」


「仕方ないな、ちょっと待ってて」


そう言うとキラルはあっという間に姿を消した。

多分上空から周りの様子を確認しているのだろう。

突然目の前から姿を消したキラルにアリオスは驚きの声を上げた。


「何だよ、いったい何をしたんだ。いい加減俺にも分かるように話をしろよ」


「ごめんね、話をするより実際に見た方が早いと思って。けして無視した訳じゃないのよ」


ロザリアンヌはアリオスに説明するが、実際アリオスはロザリアンヌが口で何を言っても納得しないだろうと思っていた。

そして実際に見せても納得できなかったら慣れて貰うしかないと半ば諦めてもいた。

ロザリアンヌと一緒に行動するという事はそういうものなのだと。


しばらくしてまた姿を現したキラルが「あっちの方にあった」とロザリアンヌ達を案内する。

案内された場所に隠れ家を設置するとロザリアンヌは、キッチンのテーブルに簡単な料理をいくつか並べた。

そしてアリオスの事はお願いとキラルとレヴィアスに声をかけ錬金室へと籠った。


もう既にレヴィアスにどんなバッグを作ろうかと、頭はデザインの事でいっぱいだった。

手に持つタイプは論外だからショルダーバッグが良いかとも思うが、ビジネスタイプのリュックも捨てがたい。


しかし三人揃ってリュックと言うのも芸が無さ過ぎる気もする。

ロザリアンヌはしばらく悩んで斜め掛けタイプのボディーバッグを作る事にした。


考えてみたら見た目の大きさは関係無く、問題は似合うかどうかだ。

肩に担いでも良いし、リュックの様に後ろに回しても前で掛けても良い様なデザインにした。


一番高級そうに見える魔物の革を選び、アクセントにポケットも付けたデザインをイメージしながら時空魔法を使い、バッグの中の空間をできる限り広げていく。

失敗しないように慎重にゆっくり丁寧に練成する。


そしてまた魔力と気力と体力の限界を感じる寸前まで頑張って作りあげた。

キラルのマジックリュック同様、ロザリアンヌの今の限界を注ぎ込んでできたレヴィアス専用のボディーバッグだ。


ロザリアンヌは一人満足し、そしてまたベッドへと倒れ込んだのだった。



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