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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
2章 ロザリアンヌにお任せ!

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結局昨夜と同じ浜辺に隠れ家を設置し、ロザリアンヌは改めて隠れ家の改装をした。

失敗したら作り直すまでだと、今朝増築した小屋の中に新しく空間を広げると意外な事に結構簡単にできた。


一度膨らませた細長い風船を息継ぎをしてさらに膨らませたイメージだったので、縦長に空間が広がったのが少しだけ計算外だったが何の問題も無く、新しく広がった空間にアリオスの部屋の他になんにでも使えるようにと部屋を2つ増築した。


そしてその勢いで狭い場所でも設置できる簡易テントも作る。

中の空間を広げ独立した部屋は作らずに雑魚寝方式で、狭いがトイレとシャワーも取り付けた。

一応防水加工も施し風に飛ばされないようにしっかりと工夫もしたので、取り敢えずこの先で寝る場所に困る事は無いと思われた。


そして次にアリオス用のポーターリュックを作った。

中の空間は広げずに、その代わり重さを軽減できるように浮遊魔法を施した。

簡易テントや水筒など冒険に必要と思われる最低の荷物や、アリオス自身の荷物は自分で持たせるつもりだ。


あくまでもお試しの仲間としていたし、まだアリオスの事を完全に信用した訳ではないので、やり過ぎるのは良くないだろうと考えていた。

キラルやレヴィアスの様に絆を感じる程繋がってもいない相手に、ロザリアンヌはどこまで心を許せるか分からない分正直不安も感じている。

自分で仲間として受け入れたというのに本当に複雑な心境だった。


あの時レヴィアスが慎重になっていたのは、きっとそんな事を考えての事もあったのだろうと今なら分かる。

初対面の人間をこうもあっさり受け入れた事を自分でも今さらながら驚いていた。


「ロザリー、ご飯にしないの?」


キラルに声を掛けられて気が付くと、辺りは真っ暗で既に夜もふけていた。


「ごめん、つい夢中になってた。何か食べたいものある?」


「昨夜のうに丼が美味しかった」


ロザリアンヌは今からウニを剥くのは面倒だなと考えながら「マグロ丼でも良い?」と既にマグロ丼の準備を始めていた。

マグロに似た魔物の切り身があったので味見をしたかったのが本音だったが、そう考えながら結局マグロとイカとウニの三色丼を作った。


これで飾りにイクラがあったならとか、付け合わせの生姜や大葉が欲しかったと考えて、次に作る時の為に生姜は甘酢に浸けた物も作るかと決めていた。

そしてさらにキムチなどの漬物や何か箸休めになりそうな料理にも、今度時間がある時にでも挑戦しようと思っていた。


「コレすっごく美味しいよ」


キラルが三色丼を頬張りながら幸せそうな顔をして喜んでいる。

マグロに似た魔物はトロや中トロといった感じではなく赤身だったが味が濃厚で旨味が強く、グラントクラーケンの刺身はねっとりとした食感と強い甘みが特徴的で、ウニも独特の風味と甘みが良い感じにマッチしていて間違いなく極上の幸せを感じさせてくれた。


「秘伝のタレを使ってるんだから当然よ」


前世で漁師だった祖父が生きていた頃に教えてくれた海鮮丼専用のタレで、丼の上から回しかけるタイプで個人的にはワサビ醤油で食べるより気に入っていた。

他にもイワシの刺身はワサビマヨネーズで食べると美味しいとか、カツオの刺身はガーリックマヨネーズが美味しいと教えてくれた祖父だった。


サメのあらいやマンボウの刺身、船の上で作ったというイカの塩辛などは今でも忘れられない思い出だが、もう二度と食べられないのだと思うと残念で仕方ない。

サメのあらいやマンボウの刺身は望んでも簡単に食べられるものではないし、塩辛は自分で作っても同じ味は出せないだろうとロザリアンヌは分かっている。


そうしてみると食にも一期一会があるのだろう。

この大陸でこれからどんな美味しい物に出会えるのかと期待しながら、ロザリアンヌはキラルに負けずに三色丼を頬張って食べ、幸せパワーを十分に補充して明日から始まる新しい冒険に備えた。


「おはよう~、今日からよろしく」


多分ロザリアンヌより年上だと思うが、ロザリアンヌは気にせずに気軽にアリオスに挨拶をした。


「おはよう」


アリオスは昨日はかなり熱心に色々と主張していた筈なのに、少し不機嫌な感じの素っ気ない挨拶を返してきた。

もしかして朝が苦手なタイプなのかと思いながらもロザリアンヌは構わずに話を進める。


「コレ君の為に作ってみたんだけど使って」


ロザリアンヌは自分が背負っていたサポーターリュックを渡すと、アリオスは怪訝な顔をする。


「作った?」


「そうよ、私は錬金術師ですからこの位は自分で作るの」


「ああ、そう言えば荷物持ちをするんだったな。仕方ない約束だからやるさ、だが俺の実力を見て驚くなよ」


不機嫌そうだったアリオスは今度は挑発的だった。

しかしロザリアンヌが錬金術師だと名乗っても何の反応も無い所を見ると、まったく興味が無いのだというのが分かった。

アリオスの挑発的な態度より、錬金術師をスルーされた事の方がロザリアンヌに少なからずダメージを与えていた。


(まぁ良いけどね)


「期待してるよ、頑張ってね」


挑発的なアリオスにキラルはいつものキラキラな笑顔で挨拶をした。


「フン」


レヴィアスはキラルとは正反対にアリオスを無視する様に腕を組みそっぽを向く。

ロザリアンヌはこんな調子で本当にこの先の冒険は大丈夫なのか心配になる。


「ダンジョンの場所や情報は本当に知っているのよね?冒険者ギルドに寄らなくても大丈夫?」


「心配するな、任せろ。この国にはダンジョンは3つある、そのうちの一つはあの山脈の麓にある」


アリオスが面倒くさそうに視線を投げた先は、遥か遠く地平線に近い場所に連なる山脈の方角だった。


「あの山脈のどの辺かはっきり示してくれないかな」


地平線を覆うかのような山脈なので、少しの方角の違いで距離もだいぶ変ると思われた。

ロザリアンヌとしては最短距離で向かう気でいたので、アリオスにはっきりとした場所を訪ねた。


「あの山脈の手前には人を寄せ付けない深い森がある。どのみちあの森を迂回するんだ関係無いだろう」


「迂回する必要なんてないでしょう。別に森が深かろうと、ダンジョン探索と変わらないなら突っ切るわよ」


「おまえは馬鹿か。それができるなら誰も苦労してないだろう」


ロザリアンヌは本来なら飛んで行けば楽なのにと思いながらもその事は口にせず、アリオスを連れて歩くにしてもやはり森の中を突っ切る方が早いだろうと考えていた。


「場所なら私がゴードンから聞いている。あの鋭く尖って見える山の麓だ」


レヴィアスが少しイライラした様子を隠そうともせずに口を挟んで来た。


「ダンジョンの傍に街はあるのかしら?」


「そんなものは無いらしい。もっとも隠れ里があるかも知れないがな」


レヴィアスはフフンと鼻で笑う様に話すので、本当に隠れ里でもあるのかと思ってしまう。


「街が無いなら尚更迂回する意味は無いよね?」


ダンジョンの傍に街があるなら情報収集の為にも寄る事も考えるが、街が無いのならダンジョンに向かって一直線だ。


「そうなるな」


ロザリアンヌとレヴィアスはアリオスを完全に無視して話を決める。


「ちょっと待て。だからそれができるなら苦労しないって言ってるだろう」


アリオスが叫ぶように言うのを無視して、ロザリアンヌ達は既に街道らしき道を逸れて歩き出していた。


「アリオス頑張って~」


キラルだけが能天気な様子でアリオスに寄り添う様に付き合っているが、ロザリアンヌとしては既にアリオスがここで脱退しても良いと思い始めていた。


錬金術師をスルーした事、レヴィアスには許しているが気軽におまえ呼ばわりした事、そして話も聞かず馬鹿呼ばわりした事、既に3回もロザリアンヌを適当に扱った事に腹を立て始めていた。

仏の顔も三度までと言うが、かなり軽く見られているのは確かだと感じ、逆にこちらの実力を見せてやろうじゃないのという気になっていた。


「付いて来られないならその荷物を置いて帰っても良いよ」


自分でも信じられない程冷たい声が出た事に驚いたが、ロザリアンヌはアリオスに対して態度を変える気は無くなっていた。



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― 新着の感想 ―
新参でパーティーの雰囲気を悪くして多分実力は最下位→排除でヨシ
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