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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
2章 ロザリアンヌにお任せ!

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「やっぱりキラルとレヴィアスの部屋も必要だよね」


ベッドが一つしかない大賢者様の隠れ家はやはりどう考えても不便さがあった。

キッチンやトイレや風呂は申し分ないし錬金室があるのはとても便利で、拠点としては使い勝手が良いのだが簡易的に使用するには畑などもあり少々場所を取る。

なのでダンジョンの様な地形のはっきりしない所では、設置できる場所を選ばなくてはならないのが難点だ。


それにこうして人目の気になる所は結界の他に隠蔽も掛けなくてはならないし、もう少しコンパクトなものも必要だろう。


「この際だから少し手を入れてみようかな」


冒険者ギルドへは忙しさが一段落するだろう昼頃に顔を出すと約束していた。

はっきりと何時という約束ではなかったので、ロザリアンヌはそれまでに隠れ家の改良を試みる事にした。


しかし大賢者様が小屋の中に広げた空間をさらに広げる事はできるのだろうか?

少なくともキラルとレヴィアスの部屋を作りたいのだが、どうすれば良いのだろうか?

素直に今ある空間に空間を付け足すイメージでできるものだろうか?

やってみて失敗したらこの小屋はダメになったりしないだろうか?

色んな疑問が浮かんだが結局普通に小屋に一部屋増築し扉を作り繋げ、新しく作った部屋に空間を広げキラルの部屋とレヴィアスの部屋を作った。


隠れ家から小屋の扉を開けると中を廊下が続き、新しく増築した方の小屋の出入り口へと続いていて、そちらからも出入りできる様にした。

初めての挑戦だったがこの位の大きさの簡単な丸太小屋程度なら、錬金道具が無くても錬成できる様になっていた。

できる気がしたからやってみたのだが、失敗しなくて良かったとロザリアンヌは心から成功を喜んだ。


「後は家具を揃えるだけね。今から買いに行こうか?」


「それで買った家具はここへ運んでもらうのか?」


レヴィアスに冷たい視線で睨まれ、ロザリアンヌはマジックポーチの存在を隠している事を思い出した。


「そうだよね、大きな家具をどうやって運ぼうか?」


「僕はロザリーが作ってくれるのが良いな」


ロザリアンヌはキラルに素直なキラキラした目で見詰められ、仕方なく家具の練成にも挑戦する事にした。


キラルの部屋にはベッドとテーブルとソファー。レヴィアスの部屋はベッドと本棚とサイドテーブルに簡単な椅子。どれもこれも本当にシンプルなデザインでしか作れなかったが、二人が満足してくれたので取り合えずロザリアンヌも安心した。


「小物は自分達で好きなのを揃えてね」


「分かっている。当然だ」


「ロザリーありがとう。後で一緒に買い物に行こう」


キラルもレヴィアスもそれぞれの反応ではあったが、喜んでくれているのは伝わって来た。


「しかしここに隠れ家を設置したままにはできないだろう」


「そうだよね、できる事ならこの街は早い所出発してダンジョンに行きたいし、何か野宿に便利な簡易テントみたいなものも考えてみるよ」


「それが良いだろう」


ロザリアンヌはやっぱりそっちの方が先だったかと思いながら、そろそろ約束の頃合いになっていた事もあり冒険者ギルドへと向かう事にした。

隠れ家を収納袋へ収納し、ジュリオ達と出会う事を避けるために認識阻害を使い冒険者ギルドまで急いだ。


「そう言えばジュリオ達は今頃どうしてるんだろう?」


「ここの領主に挨拶をした後、今回は王都へは行かずに隣国へと向かうという話だったな」


いつの間にそんな情報を得ていたのか、レヴィアスが平然とした顔で教えてくれた。


「じゃあ当然もう旅立っているよね」


「どうだろうな、隣国との予定のすり合わせや護衛の話がどうなるかが問題だろう」


「王子様一行ともなると色々大変なんだね」


ロザリアンヌは他人事の様に呟いた。


「ああ、だから今下手に顔を合わせる事があれば、当然護衛を頼まれる事になるかも知れないな」


レヴィアスに言われ、ロザリアンヌは竦みあがった。

レヴィアスが口にする位だからきっとそんな話も出ていたのは確かなのかもしれない。


「ジュリオの護衛なんてしている暇はないわよ」


「だから関わらないのが一番だ。用心するに越した事はない」


「大丈夫でしょう。その為にレヴィアスがあれこれ調べてくれたんだし、さっきから気配探知を切らさないじゃないか」


「奴らの気配ならどうにか覚えた、まぁ任せておけ」


レヴィアスが珍しく照れくさそうな表情を見せた事より、ロザリアンヌはここへ来てもまだ影であれこれしてくれていた事に驚きそして感謝した。


「ありがとうレヴィアス。それにキラルもいつも守ってくれてるよね、ありがとう。私は本当に幸せ者だわ」


ロザリアンヌの心からの感謝の言葉だった。


「当然でしょう。僕はロザリーを絶対に守るって誓ったからね」


「私も私にできる事なら何でもするつもりだ」


「うん、本当にありがとう。これからも迷惑かけるかも知れないけどよろしくね」


ロザリアンヌは熱くなって行く胸と目頭を押さえながら俯いた。


「任せておいて」


キラルはロザリアンヌの手を取りそしてその手を繋いだ。

レヴィアスは何故かロザリアンヌの頭を優しく撫でた。


「気にするな、おまえのやりたい様にすればいい。私は手助けをするだけだ」


キラルとレヴィアスから新たに歩みだす気力を貰い、ロザリアンヌは思いっきり顔を上げる。


「ギルマスを待たせちゃうわね、急ぎましょう」


そう言ってトーガの街中を冒険者ギルドへと向かい、いつもより強い足取りで歩き始めていた。

この二人がいれば何があっても怖くないと心から思えた。

そして何があっても乗り越えられると確信していた。



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