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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
2章 ロザリアンヌにお任せ!

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ロザリアンヌが自分がたてた大きなお腹の音で目を覚ますと、日付は翌日になっていた。

マジックリュックの練成に3時間以上かかったとはいえ、丸一日以上眠っていた計算になる。


「ヤバっ、こんなに眠ったの久しぶりだよ」


ロザリアンヌが慌てて飛び起きると、キラルが部屋を覗き込む。


「おはよ~ロザリー、随分良く寝てたね。僕もお腹空いたよ」


食べなくても平気な筈の精霊でもお腹が空くのだと、ついマジマジとキラルの顔を見てしまう。


「そう言えばレヴィアスはどうしたの?」


「冒険者ギルドに居るからロザリーも目が覚めたら顔を出してってさ」


どうやら解体作業は済んでいる様だった。


「じゃあ何か食べたら行こうか」


「うん、そうしよう」


キラルの元気な返事につられ、ロザリアンヌもベッドから起き出してご飯の支度をする。

とは言ってもレヴィアスをあまり待たせるのも申し訳ないので、簡単に食べられるサンドイッチで軽く済ませて隠れ家を出た。


「このリュックはこれからキラルが背負ってくれる?」


ロザリアンヌが作りあげたばかりのマジックリュックをキラルに差し出すと、キラルはそれを喜んで受け取った。


「良いの?僕も欲しかったんだこういうバッグ」


荷物持ちをさせてしまう事になるので少し後ろめたさを感じていたが、想像していた以上にキラルが喜んでくれたのでロザリアンヌは安心した。


二人は隠れ家を収納袋に仕舞うと、冒険者ギルドを目指し急いだ。

この場所を見つける時は認識阻害を使い飛んでいたので感じなかったが、辺りの景色を確認しながら改めて飛ぶと思った以上に街から離れていた。


街の近くまで飛び地上に降り立つと、うっすらと夜が明け始めていた。

街の高台の頂を抜け港へと続く坂道の上に立つと180度以上展開する水平線が街並みの向こうに見えた。


海面はとても穏やかで、そして丁度朝日が昇り始めていた。

オレンジ色に染まる水平線上にひと際明るく輝く光が現れ始める様子は、まるで後光が差している様な神々しさがありロザリアンヌは思わず足を止め見入ってしまう。


「綺麗だね」


「うん」


キラルと並んで日がゆっくり昇って行く様子を見ながら、この大陸での冒険の始まりを感じていた。


「急ごうか」


ロザリアンヌは自分で足を止めておきながら、日が昇りきるのを見届けキラルを急かした。

冒険者ギルドのスイングドアを潜ると既に冒険者の姿も複数あり、冒険者達の一日が始まっている事を実際に感じていた。


ロザリアンヌは迷わずにカウンターに向かって歩くと、ロザリアンヌの姿を見つけたユーヤンが先に駆け寄って来る。


「お待ちしておりました。ご案内いたします」


初めての時とは随分と対応が違うものだと思いながら、ロザリアンヌは黙って後をついて歩くと二階の個室に案内された。

扉にはマスター室とある事から、ギルドマスターの部屋だとロザリアンヌはすぐに分かった。

ユーヤンはノックをし、中からの返事を待ち扉を開ける。


「お連れ致しました」


そう言って扉を明けきるとロザリアンヌに中に入るように促す。

ロザリアンヌはユーヤンに軽く頭を下げ中へと入ると、レヴィアスと屈強そうなオヤジが対面になりソファーに座っていた。


「まあ遠慮せずに座ってくれ」


ロザリアンヌはオヤジに促されるままレヴィアスの隣に座るとキラルもその隣に座った。


「儂はこのギルドでマスターをしているゴードンだ、よろしく頼む」


右手を差し出され、ロザリアンヌは「ロザリーです」とだけ名乗り握手をするとキラルもそれに続いた。


「ウィンラナイから来た事はこちらの旦那に聞いた。あちらでは最高ランク冒険者だと言う話だが、儂の権限だけで最高ランクの冒険者登録は無理だ。まだそちらの冒険者ギルドと提携が取れていない、それだけは先に言っておく」


「分かってます。私もそれを望んでいるのではなく、この大陸を冒険する上で冒険者登録をした方が活動がし易いかと考えただけですから」


冒険者登録すればダンジョンの情報やその地の情報なども手に入り易いと考えただけで、ロザリアンヌとしては別に冒険者ランクにはこだわりは無かった。

というより、あまり高ランクの冒険者になるのも面倒事が増えそうだと考えている。


「ダンジョンに入りたいとの事だが、この国に限らずこの大陸のダンジョンに入るには領主の承諾がいるのだよ。なので当然高ランクの冒険者でなければ入れないのはご存じなかったようですな」


豪快な笑い声をあげるゴードンにロザリアンヌはびっくりした。

笑い声の大きさにも驚いたが、ダンジョンに入るのに領主の許可がいる等考えても居なかったからだ。


「どうしてですか?」


ロザリアンヌは掴みかからん勢いでゴードンの笑い声を遮った。


「ダンジョンは入る度にその形を変えているのだよ。そちらの国のダンジョンはそうではないらしいな。儂も話を聞いて驚いたわ」


「形を変えるって?」


「ダンジョンは生きている。多分だが一定時間経過で地形を変えるのだろう。だからまずは地図がまったく役に立たない。その上階層ごとに出現する魔物と一緒に出現する上級種やレア種の出現率も変わるので、冒険者の推奨ランクが付けづらい。そんな事から確実にダンジョンの素材を持って帰れると判断できる冒険者にしか許可を出さない方針になったのだ」


ロザリアンヌはダンジョンの説明を聞いて、前世で子供の頃そんなゲームを楽しんだ事を思い出していた。

入る度に地形が変わっていて、カビの生えたパン齧りながら攻略したみたいなダンジョンゲームを数種類遊んだ覚えがあった。

まさかここでそんな設定が持ち出されるとは考えてもいなかった。

でも多分だが一定時間の経過ではなく、入る度に地形を変えるのだろうと推察できた。


そうなると転移魔法は使えるのかというのがまず疑問に浮かんだ。

転移魔法は一度行った場所なら転移できるとなっているが、それってかなり確実にあの場所っていうイメージを頭に思い浮かべるので、地形が変わってしまっている場合はそれでも有効なんだろうか?


もし転移魔法が使えないとなると、ダンジョン最深部まで一気に攻略しなくてはならなくなる。

それって何日泊まり込む事になるのだろうか?

ロザリアンヌがあれこれと考えているとゴードンからさらに話があった。


「そんな理由から踏破されたダンジョンがいまだに一つも無いのが現状。もしダンジョンを踏破してくれるというのなら、儂の方から領主様に特別な許可を貰える様に手配する。勿論冒険者ランクもどうにかする。収納袋を持つお主等なら当然可能だと儂は考えているがどうだ」


「この大陸にある全部のダンジョンを踏破するのが私の目標です。だからその要望には応えられると思ってますが、面倒くさい事に巻き込まれるのは避けたいです。ですので騒がれないように配慮していただけるならこちらから是非お願いします」


「おお、そうかそうか、引き受けてくれるか。せめてダンジョンが何層あるのか、どんな魔物が出るのかは情報として是非とも欲しい。その辺の情報をしっかり持ち帰ってくれるのなら、儂もできる限りの要望に応える事を約束する。任せておけ」


ロザリアンヌはゴードンと約束の内容を纏めた後、解体された魔物の素材を回収し、売る物売らない物に分けた。

食料となる部位はマジックリュックにすべて収納し、自分では使いきれないだろう素材を売った。


勿論かなりの大きさがあった魔晶石はどんなに高値を付けられようが売らなかった。

欲しくなればまた魔物を倒せば良いだけの話だが、あまりに熱心で執拗な申し出に多分この先で別の活用方法がある気がしたのだ。

たとえば何かの交渉事に使うとか、本当にお金に困った時に売るとか、今じゃなくても良いだろうという予感が。


そうして結局冒険者登録は領主の返事待ちで明日にという話になり、また出直す事になってしまった。

しかしかなりのダルーを確保できたので、ロザリアンヌは当初の予定通り街の散策をする事にしたのだった。



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