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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
1章 プリンセス・ロザリアンロード

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「これ新しい魔導書よ」


ロザリアンヌがアンナの所を訪ねてすぐに手渡された魔導書に、ロザリアンヌは首を傾げていた。


「ウィルと作った無属性魔法の魔導書よ」


意味が分からないと首を傾げたままのロザリアンヌに、アンナは説明する。


「新しい精霊の目覚めたお祝いよ。それと昨日貰ったポーション母にはとても良く効いたわ、そのお礼も兼ねていると思って」


ロザリアンヌは魔導書が高い物だと知っているので受け取る事を一瞬躊躇したが、お祝いと言われた事が何だか嬉しくて受け取っていた。


「それでこの魔導書はどんな魔法が使える様になるんですか?」


ロザリアンヌは心をワクワクさせながらアンナに聞いていた。


「空間魔法よ」


得意げに答えるアンナの顔を見詰めながら、ロザリアンヌは空間魔法とまたまた首を傾げた。

ロザリアンヌは空間魔法を知らなかった訳では無く、空間魔法はとても貴重な魔法の筈なので当然値段も高いだろう事から、そんなに簡単に貰って良い物かと考えたのだ。


「古の大賢者様がこの地にダンジョンを集めた時に使ったとされるのが空間魔法よ。でも同じ空間魔法でもこの魔導書にはそこまでの威力は無いわ、だから威力に関しても使い方に関してもすべてはロザリー次第だと思って頂戴」


アンナに簡単にそう説明されたが、ロザリアンヌにはイマイチ理解が及ばなかった。


空間魔法ってファンタジー物の定番的に考えると、新たな空間を作って自分だけの世界を作ったり、マジックバッグに利用したり、空間を繋げて転移する方法なんてのがあったが、本当にこの魔導書一つで自分にもそんな事ができる様になるのかと疑問を抱いた。


そもそも魔導書で覚えた魔法の威力が変わるなどとは考えてもいなかった。


「ファイヤーボールは誰が使ってもファイヤーボールなんじゃ無いの?」


「そんな事ないわよ、同じファイヤーボールでも炎の大きさも温度の高さも発動する人の魔力や熟練度次第で随分と変わるものよ。それにファイヤーボールを使い続け熟練度を上げると、次の上級魔法を習得出来たりもするでしょう。それと同じで空間魔法も多分色々と派生するんじゃないかと私は思っているわよ」


アンナの説明にこの空間魔法があれば、自分でマジックバッグが作れるかも知れないとアンナがくれた可能性に途端に心を躍らせた。


やはり転生を果たした以上マジックバックは必須のアイテムだろう。

もうすぐ鑑定も手に入る。鑑定とマジックバックと転移はファンタジーの三種の神器と言っても過言ではではない。

ダンジョン攻略にも冒険にも大活躍のマジックバックを自分で作れるものなら絶対に欲しい。


「ありがとうございます。頑張って使いこなしてみせます」


ロザリアンヌの心はマジックバッグの作成に向かっていた。

なので折角出されたお茶も今日はゆっくり飲んでいる気分ではなくなり、頭の中であれこれと試行錯誤し始めていた。


「それよりね、今日は大事な話があるのよ」


アンナに突然思考を中断させられたロザリアンヌは、大事な話って何ぞやと警戒心も無く思わず間の抜けた顔を晒してしまう。


それは昨日聞いた光の精霊を宿した事を人に知られるなという注意の話の続き。

アンナが魔法学校を中退した理由。それはロザリアンヌも知らなかった理由。

ロザリアンヌはそれよりもアンナが予知夢を見ていたという話の方が驚きだった。


多分王家は今現在それ程光の精霊に執着はしていないだろうが、教会はまだ諦めていないだろうとアンナは言う。

あくまでもアンナの推測だけれど、きっと王家より強い権力を教会が望んでいるのではないかと言うのだ。


【プリンセス・ロザリアンロード】の中ではそんな大人達のドロドロとした思惑など描かれていなかったが、現実の世界ではそんな事もあり得るのだろうと何故か素直に頷けた。


「だからねもう一度言うけど、絶対に人前で光の精霊を顕現させてはダメよ。誰かに知られたらロザリーの身に危険が迫ると思って頂戴」


何度も念を押すアンナに「分かりました」と答えるロザリアンヌ。


自分でもその危険は既に理解していたつもりだったが、アンナに何度も念を押された事でさらに気を付けなくてはと改めて心に誓うロザリアンヌだった。


「それからね、この話とは別にロザリーにはお願いがあるの」


今度は表情も柔らかに話し始めるアンナ。


ロザリアンヌはいったい何事かと思い少し身構える様に聞くと、これからロザリアンヌが覚えるだろう光属性魔法の魔導書を作る手助けをして欲しいと言う。


アンナが使えていた光属性魔法の魔導書は既に何冊か作り上げているが、その先の魔導書もできれば作りたいとアンナは考えていた。

しかし既にアンナにはその先を覚える事が叶わない事から、こればかりはロザリアンヌに協力して貰うしかないと切に願われた。


そもそも魔力が少なければ魔導書で覚えた魔法でも使いこなすのは難しかったりするが、魔導書があると言う事実だけでも魔法の有用性や魔術師の向上心に繋がると考えているそうだ。


「この先のダンジョン攻略にも絶対に必要になると思うの」


アンナは実は魔法によるこの世界の利便性よりもダンジョン攻略、果てはいまだに踏破されていないダンジョンを踏破し、ダンジョンの謎が解き明かされる事を願っているらしかった。


「魔法学校であんなことさえなかったら、私は探検家になってダンジョン攻略を進めていたかも知れないわよ」


聖女として大人達に利用され縛られる未来から逃れたアンナは、自分でダンジョン攻略をする夢を諦めざるを得なくなり裏方に回る事を選んだそうだ。


ロザリアンヌはアンナの話を聞き、当時のアンナの葛藤を思うと胸が痛んだ。


そしてまた魔法学校中退というバッドエンディングには大人の事情も隠されていたのだと知り、ロザリアンヌは気分が憂鬱になって行く様だった。


トゥルーエンドに攻略対象者エンド、それにバッドエンディングとそれぞれのエンディングをただのイベントとしてこなしていたけれど、その後の人生がどんな風に続くかなど考えた事もなかった。


ロザリアンヌは改めてここが現実の世界で、人生が続いて行くのだと実感させられるのだった。



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