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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
1章 プリンセス・ロザリアンロード

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一段落着きましたので、今日よりまた一日二回1:00と13;00に更新させていただきます。

サクサク話を進め、さっさと次の冒険へと旅立つ予定です。


宿に戻るとカトリーヌからの連絡をくれという言伝を貰った。

暫くこの街に滞在すると言ってあったのに、家族に予定を話していなかった。

当然今日はどうするのか気遣ってくれたのだろうと推察すると、ロザリアンヌは途端に後ろめたさを感じ始めていた。


そして昨夜のうちに今日は用があって出かけると伝えておけば良かったと後悔する。

一人で決めて行動するのに慣れ過ぎて、待っていてくれる人気遣ってくれる人を気遣う事をつい忘れてしまう。


「今から実家へ行ってみようと思うんだけど、キラルとレヴィアスはどうする?」


当然一緒に行くと言ってくれるものだと思いながらも、何故か二人に確認をしていた。

キラルとレヴィアスは顔を見合わせると「今夜は遠慮しておくよ、家族水入らずで楽しんでおいで」とキラルとは思えない返事が帰って来る。


「私も今日は疲れた、ゆっくりさせて貰おう」


レヴィアスは今日に限って言えば、別に疲れた事などしては居ないと思うよとは言えず、キラルもレヴィアスも気を遣ってくれているのだと感じて素直に返事をする。


「ありがとう、じゃあ今夜は一人で行ってくる。でも私が居ないからってあまり羽を伸ばし過ぎないでね」


「大丈夫だよ、出かけたとしても昨日の喫茶店くらいさ」


「ああ、あそこのコーヒーは美味かった」


「もう、私だってもう一度行きたいって思ってたのに」


「まぁいいから、早く行っておいでよ」


キラルに強引に送り出され、ロザリアンヌは実家へと急いだ。

そして実家に着くと兄ちゃんと小兄ちゃんが揃って出迎えてくれた。


「おまえ本当にあのロザリーか?」


「すっかり女みたいになっちまったな」


ロザリアンヌの幼い頃は兄達のおさがりを着る事が多かったので、良く男の子に間違われていた。

兄達はその事を弄っているのだろうとロザリアンヌは思った。


「兄ちゃん達はあんまり変わってないね」


少し男っぽくなっているが、ロザリアンヌの眼には昔のままの様に見えて懐かしかった。


「そんな事ないだろう。俺なんて女が煩くて困る位だ」


「それよりおまえ男連れで帰って来たんだろう。俺達には紹介しない気かよ」


「やだな、男連れって何よ。ただの弟子仲間だよ」


ロザリアンヌはキラルとレヴィアスをソフィアの弟子だと強調した。


「ただの弟子仲間を一緒に連れて来るって事はないだろう。怪しすぎるぞ」


「師匠が私を心配してくれたの。本当にそんなんじゃないから」


ロザリアンヌが否定すれば否定する程追及されそうで、正直兄達のノリに辟易していた。

キラルもレヴィアスもロザリアンヌが宿した精霊だと説明できれば楽なのにと、ロザリアンヌは思っていた。


「二人とも久しぶりに会えて嬉しいのは分かるけど、もうそれ位にしておきなさい。ロザリーご飯まだでしょう、一緒にいただきましょう」


カトリーヌが兄達にピシャリと言うと、ロザリアンヌをテーブルへと促した。


昨日よりも沢山のご馳走が並ぶテーブルにロザリアンヌは驚いていた。

それだけでこの家はロザリアンヌが居た時程の貧乏生活をしていない事が窺えた。


ソフィアがロザリアンヌの考えでお金を渡せと現金を預かったが、きっともう必要ないのではないかと思われた。

お金を渡したら却って負担になるのじゃないかと、ロザリアンヌはそんな風に考えていた。


そして明日にでもカトリーヌと二人で話し合って決めようと、ロザリアンヌは考えながら豪華な晩御飯を楽しんだ。


しかしキラルとレヴィアスと離れている事がどうも居心地が悪い感じで、頭のどこかでついどうしているのか考えてしまい、ロザリアンヌは早々に宿に戻る事にした。


「ごめんみんな、今日はもう宿に戻るね」


「ああ、そうか、分かった。気をつけて帰りなさい」


オットーがいち早く了承してくれた。


「しかたないなぁ、宿まで俺が送ってやるよ」


「そうだな、どうせ帰るついでだし、俺も送ってくよ」


兄ちゃんと小兄ちゃんと揃って言い出した事に、ロザリアンヌは正直驚いた。

少なくとも以前はそんな気遣いができる様な兄達では無かったと思う。

ロザリアンヌが少しは成長した様に、兄達も変わっているのだとそんな風に感じていた。


そうして宿まで兄達に送られたロザリアンヌはとても感激していた。


「元気そうな姿が見られて嬉しかった」


「ロザリーが一人で頑張ってるって聞いてたからな、俺達も負けてはいられない。でもあまり無理するなよ」


「そうだぞ、俺達じゃぁあまり頼りにならないだろうが、何かあったらいつでも帰って来いよ」


兄ちゃんと小兄ちゃんの温かい言葉が心に沁みて嬉しくなっていた。


「うん、ありがとう」


「じゃぁな」


「またな」


手を振りながら去って行く二人の背中を見送りながら、ロザリアンヌは無性に飛びたくて仕方なくなった。

キラルとレヴィアスの事が気になっていた筈なのに、ロザリアンヌは宿の陰に隠れ認識阻害を掛けると妖精の羽を装着し夜のモーリス上空を飛んでいた。


月の無い降って落ちそうな満天の星空の中をゆっくりと漂う様に飛んだり、上空からモーリスの街の明かりを眺めたりして気分は上々だった。

前世で初めて海に潜って見上げた水面に感動した時より気分が高揚していた。


家族揃って過ごした楽しい時間、そして兄達との思ってもいなかった再会で、何か分からないが心がほわほわして、身体中が熱くなっている様な気分だった。

ロザリアンヌは心と身体の熱を冷ます為に、しばらくの間泳ぐように夜空を飛び回ったのだった。



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