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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
1章 プリンセス・ロザリアンロード

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里帰りを決意するとそこからは早かった。

自動翻訳機は10台と言われていたが気分が良かったのでその倍の20台を作り上げ、後はユーリに渡すだけにしてマジックポーチに仕舞った。


次にソフィアと相談しながら家族へのお土産を色々と用意した。

父と母にはロザリアンヌが錬成したポーション数種、兄弟達にはメイアンでしか買えないだろうお菓子を買った。


お土産を用意しようと考えて家族の好みすら知らない事に気付き、貴族ご用達の高級品をちょっと奮発してみた。

ロザリアンヌでさえ食べた事の無い美味しそうな焼き菓子とバームクーヘンで、家族と一緒に食べるのをロザリアンヌも今から楽しみにしていた。


「この位は持っておきな」


ソフィアはロザリアンヌに現金を差し出して来た。

ロザリアンヌが普段見ていた現金は銅貨か銀貨が多く、さすがに金貨を目にするのは初めてだった。


テーブルの上に山積みされた金貨は、前世での金額に換算すると100万円くらいはあるだろうか。

ロザリアンヌは今まで見た事の無い金貨の山に思わず固唾を飲んだ。


「お金ならまだ貰った残りがあるから、さすがにこんなには必要無いと思うよ」


ロザリーは日々ソフィアから貰っていたお小遣いや、お使い賃の残りなどを貯めた物を当然持っていた。


「これはロザリーが自分で稼いだお金の一部だ。これからは自分で管理する事も覚えると良い。後はおまえ達にも渡しておこう。今までのお給料だと思って取っておきな」


そう言うとキラルとレヴィアスにも現金を渡していた。


「やったー、本当に良いの?」


「私はマスターが残したものを持っているから大丈夫だ」


キラルとレヴィアスの反応はまちまちだったが、それでもロザリアンヌはソフィアがそれぞれに現金を渡して来た事に特別な物を感じ何だか急に不安になっていた。


「これを受け取ったらお別れだとか縁が切れるとか言い出さないよね?」


「何を言ってるんだいこの子は、そんな訳ないだろう。第一ロザリーの資産はまだまだ沢山預かっているんだよ。何ならすべてを渡しても良いが、さすがにそれはまだ早いと思ったんだが、ロザリーが大丈夫だというならすべて渡すよ」


「いえ、遠慮しておきます」


以前に帳簿を見せられた時はただの数字だったので、あまり何かを感じる事も考える事も無かった。

そしてこうして目の前に金貨を山積みにされても何処か現実味が薄いというか、前世でお札が当たり前の感覚に慣れていたので、大金=札束のイメージがいまだに強かった。


なので金貨を目にするとお金というより資産運用の為の金の様で、はっきり現金としての感覚を持つ事が難しかった。

だからまだまだあると言われ金貨の山を想像してみたら、海賊の隠し財宝や徳川の埋蔵金が思い浮かびさらに現実味が無くなった。


「カトリーヌにロザリーが錬金術で稼いでいる事を自分の口で報告しておいで。そして生活の様子を見て自分で適正だと思うお金をその中から渡して来ると良いよ。私はロザリーが旅立ったら、カトリーヌへの送金は止めるつもりだ。いつまでも当てにする様になってはカトリーヌの為にならないし、ロザリーにも負担になるだろうからね。その事は私からもはっきりと言うつもりだが、ロザリーの口からきちんと報告しておいで」


ロザリアンヌはソフィアが渡して来た金貨の山の理由が分かり少し安心した。

しかしカトリーヌに旅立つ事を報告し、自分で決めて現金を渡すとなるとそれはそれで気が重かった。


ロザリアンヌが実家にいた頃はけして裕福な生活はできていなかった。

街の中の生活水準から考えたら貧乏な部類だったと思う。

そんな所に一時的に大金を与えるのはきっと焼け石に水で、贅沢な生活を覚え返ってマイナスになるかも知れない。


かと言って他の大陸に旅立ってしまったら、今以上に家族の事を気に掛ける事も無くなるかも知れない。

継続できない援助はただの施しになってしまうと思うと、ロザリアンヌの責任問題にも繋がる気がした。

しかし今ここでいくら考えても答えが出そうも無く、ロザリアンヌは本当に難しい課題を突然突き付けられた様に感じていた。


「師匠、私には難しすぎる問題です」


「私が出した課題に気が付いただけ優秀だ。答えは好きにすると良いよ。ロザリーがたとえ間違えても私が責任を持つから気楽にいきな」


「ありがとうございます。師匠に迷惑を掛けないようにきちんと考えてみます」


ロザリアンヌはソフィアの偉大さを改めて感じ、ソフィアに返事をすると金貨の山をマジックポーチに仕舞った。


「何にしてもゆっくり楽しんでおいで」


「はい、そうします。それじゃあ行ってきます」


ロザリアンヌはソフィアに出発の挨拶をすると、キラルとレヴィアスを伴って路線魔導車乗り場へと向かった。


本当なら認識阻害を使い妖精の羽で飛んで帰ればそんなに時間も掛からないのだが、今回は折角なので魔導車移動を選んでみた。


個人用の魔導車は貴族等の富裕層しか持っていないので乗れないが、路線魔導車ならロザリアンヌでも乗る事ができる。


ロザリアンヌがメイアンの街に来た時は、父親のオットーに連れられ歩きだった。半日以上歩いて疲れ果てたのを覚えている。

なので是非一度くらいは乗りたいとずっと考えていたし、その乗り心地や車窓から見える景色なども楽しみたいと思っていた。


「魔導車楽しみだね」


「僕も楽しみー」


「フン、まるで子供のようだな」


ロザリアンヌと一緒にはしゃぐキラルと、妙に冷めた雰囲気のレヴィアス一行はバスの形に似た路線魔導車の最前列に陣取り発車の時間を待っていた。



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