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私は強くてニューゲーム~レア素材を求めて仲間たちと最強錬金旅はじめます~  作者: 橘可憐
1章 プリンセス・ロザリアンロード

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『待たせた』


ロザリアンヌはレヴィアスがあまりに早く戻って来た事に驚いた。

レヴィアスがジュリオの部屋に向かってから、まだ1時間位しか経っていない。

ロザリアンヌはもっと話が長引くものだと思っていた。


『もう良いの?』


キラルはレヴィアスへと駆けだし抱き付いていた。


『ああ』


レヴィアスは心なしかスッキリとした表情を見せていたので、ロザリアンヌはどこかホッとしていたが、何があったかはレヴィアスが話してくれるまでは聞かないと決めていたので、何と声を掛けて良いか迷っていた。


レヴィアスはそんなロザリアンヌの元へと歩み寄ると、何故かロザリアンヌの頭にポンとその大きな掌を乗せクシャクシャと動かした。

ロザリアンヌはその動作で、少しだけレヴィアスの心が軽く明るくなったのだと感じていた。


『帰るぞ』


とても優しいレヴィアスの声が響いた。


『随分と早かったんじゃない?』


『そうだな、本当に許せなかったのは自分自身なのだと気が付いた。私はきっともう一度マスターに会いたかったんだな』


レヴィアスは詳しくは話してくれなかったが、レヴィアスの気持ちは痛い程伝わって来た。

復讐心にかられる事も無く自己解決できたのだろうが、心の中はきっと複雑なんだろうと思えた。

ロザリアンヌはその気持ちを受け取り、漠然と大陸の守護者に願ったら叶うのかもと考えていた。


確かあの声だけの男は、各大陸の守護者はロザリアンヌの願いを叶えてくれると言っていた。

ならばレヴィアスと大賢者様をもう一度合わせ、話をさせるという願いも彼等になら可能なんじゃないかと。


(だとしたら益々グズグズしては居られない)


ロザリアンヌは大陸の守護者に願いたい事が一気に二つもできた事で、次の大陸へと気持ちが逸りだした。

さっさと大陸にあるすべてのダンジョンを踏破して、大陸の守護者に会い願いを叶えて貰おうと。


『別の大陸へ行くわよ!』


『唐突にどうした』


ロザリアンヌは自分の決めた気持ちが揺らがないように言葉を大にしてみたが、レヴィアスにしてみれば本当に唐突な話だっただろう。


『まぁ、取り合えず帰ろう』


ロザリアンヌはまずはソフィアに話をしなくてはと、逸る気持ちを抑え歩き始めた。



店に帰ってロザリアンヌは驚いた。

ソフィアが朝会った時よりさらに若返って見え、背筋までシャンとしてどこかの元宝塚歌劇団のスターさんの様だった。


お肌もツルツルツヤツヤで若々しく、おばあちゃんとは呼べない雰囲気。

実際の年齢を知っている人はきっとどんな化粧品を使っているのか聞くのだろうが、初めて会う人は年齢を聞いたら驚くレベル。


ロザリアンヌはもしかしてこのまま若返り続けるのだろうかと、とても不安になった。

このまま若返り続け子供に戻ったソフィアなんて想像できないし、そんな事になったらとロザリアンヌは急に怖くなった。


「師匠、本当にごめんなさい。大丈夫ですか?」


ロザリアンヌが万能薬を飲ませたばかりに、ソフィアに罪を負わせたような気になり思わず謝っていた。


「何を謝ってるんだい?」


慌てて駆けよるロザリアンヌにソフィアは、いつもの様に冷淡に見える表情で言葉を発した。


「だって、万能薬のせいだよね?」


焦るロザリアンヌにソフィアは一気に表情を崩し呆れ顔になる。


「まったくこの子は、あれは万能薬と言うのかい。あれの効果が素晴らしかったからね。私も少しでも誤魔化せるものをと思ってね。久しぶりに閃いて化粧品を作ってみたんだが、どうだい効果抜群だろう。新しいレシピを閃いたのも随分と久しぶりだ。きっとこの化粧品は売れるね。ロザリー私はおまえにお礼を言うのを忘れていたよ。こんな気持ちにさせてくれて本当に感謝しているよ。ありがとう」


ロザリアンヌはソフィアにお礼を言われ、心から安心するとともに嬉しさが込み上げてきた。

ソフィアが朝よりさらに若返って見えたのは万能薬のせいじゃなくて、ソフィアが錬成した化粧品の成果のようだ。


それでもソフィアが若返り錬金術師としてまだまだやる気を見せてくれた事が嬉しいし、何より元気に生き生きとした感じが伝わってくるのがとても嬉しかった。

万能薬を内緒で飲ませたことが、少なくとも悪い結果にはならなかった事に心から感謝した。


「皺まで綺麗に消えてお肌ツヤツヤですよ。本当に驚きです。売れすぎて困るんじゃないですかソレ」


「言っとくが、コレのレシピはおまえにはまだ教えないよ。まぁ、おまえなら自力で作る事もできるだろうから頑張りな」


ソフィアは意地悪っぽく言っているが、ロザリアンヌにこういう物が本当にみんなに喜ばれるのだと教えているのだと感じていた。


それにきっと、ロザリアンヌの作った万能薬が誰かにバレる事の無いように、必死になってくれたのだろうとも分かっていた。


本当にロザリアンヌには勿体ない位の素晴らしい師匠で、ロザリアンヌをとても愛してくれる祖母だと心から感謝していた。


「ええ、いつか必ず師匠を超えてみせます」


「ああ、楽しみにしているよ」


ロザリアンヌはソフィアの気持ちを受け取り、改めてソフィアを超える偉大な錬金術師になるのだと誓った。



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― 新着の感想 ―
でも本人を知っていた人からすると、あまりの変化に疑念を抱きそう。化粧で同じ程度変化させるのは不可能だろうし、万能薬を飲ませた相手を知っている人にも色々な人種が居るだろうから、その効果の原因を調査し始め…
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