代えがたいこの時を
まぁ、君がしたいようにしてくれればいいとオモッテルシ。君がそうしたいならそうすればいいと思ってるよ。え?僕はどうなんだって?そんなのどうでもいいじゃないか(笑)君のしたいようにしてくれればいいんだよ。
なーんてことを想像してるけど、今は君、勝手にどっかいっちゃったもんね。どこにいるかは知ってるけどさ、まぁ、会いに行けるわけないよね。そんなん気まずいし君が僕になんか会いたくないだろうし(笑)僕も別に会いたいとオモッテナイシ。これで良いんだよなぁ、これで、君にとっては最善の選択だったろう。よかったな、こんなやつから離れられて、よかったな、よかったな。
「まーた目死んでるよぉ?ダイジョブそ?夜ふかししたろ!夜ふかししちゃったんだろ!そーやって廃人が生まれていくのだよ!気をつけたまえ!」
下から覗き込んではすぐに上に消えて、言葉だけが聞こえてくる。元気なんだよなー、めっちゃ元気、こっちも元気もらえるけどもらいすぎて辛いな、他のやつにとっては煽りかもしれないけどね。そのあとに僕は顔を起こす。
「んで、お前は何時間睡眠だ今日」
こういうときにすぐギクッとした顔が出てくるんだ。すんげぇわかりやすい。
「いやぁ、あ、あの、6時間かな!6時間!とりあえず!そ、そんなのはどーでもいいのだよ!君が眠そうだし寝てるし、いっつも笑わないじゃん。私は君の笑顔が見たいだけなのだよ」
さっきより元気のない声で言っている、そんな声を聞いても僕の心は動かない。眠いっていう感情がでかすぎるんだよな。
「お前は良いよなぁ、なぁんで全然寝てないでそんなに元気でいられるんだよ」
「6時間寝てますけど?6時間ですよ!6時間!」
「ホントのところは?」
「2時間。うん。2時間です。」
こんな感じでバレっばれの嘘ついて、いっつも笑ってる。いっつも笑ってる。まぁ、判断能力は鈍ってると思う。だって、こんな寝てばっかりの僕にずっと話しかけてきて、他の友達には一切話しかけないで、話さないで、どこで間違えているかって聞かれたらもちろん、僕に話しかけたところから間違っていると答えたい。実のところを言うと普通にめんどくさイ。だから、たまになんで僕に話しかけるのか聞いても、なんとなくぅ〜で終わらせられる。まぁ、1ヶ月前までの話だけどね。この間もずっと話しかけてきてるけど言葉が右から左へと抜けていくなぁ、心地いい気がしてきた。このまままた寝てしまぉ
「ちょっと、話聞いてる?只今まぁまぁ大事な話をしていたと思うんだけど、どこからどこまで聞いていなかったのか教えてくれないかな??」
え、あー全部って言おうとしたのに、遮られる。
「もう一度いいます!ちゃんと聞いとけぇ!!」
今度は顔を近づかせて来たのでちょっと椅子を後ろに引く。そして僕はうなづく。
「やっぱ私じゃだめですかね〜…?(笑)」
…また、この話か、何度言ったら、いや、そんなに長い期間じゃないけど、もう、やめようぜ、こんなのに付き合うの、
「ほら〜私って、やっぱ結構さ、こー、明るくてさ?結構、楽しい思い出とかを作っていけるかな〜って思うんですよ…だ、からぁ〜」
笑顔が、明るい声がなくなっていく、遠くなる電車のような、大きい音が消えていく気がする。もう何度も言ってる、何度も言ってるんだ。何度繰り返せば良いんだ。
「僕は、別に君のことが嫌いなわけじゃないって言ってるだろ、でも、おれは無理なんだよ、今、そういう関係になるのが、怖いんだよ、だから、申し訳ないけどそっとしといてくれ。」
遠ざけるように、いや、遠ざかるような目で君を見つめる。なんで君はまだ、笑ってられるんだ。
「あぁ〜まぁ、怖いよねぇ、私も今怖いもん。こうなるのわかってるのに、期待しちゃうんだよね〜…」
やめてくれ、期待なんて言葉、使わないでくれ。お願いだ、お願いだ。
「やーやっぱ私だめだね、自分のことばっかり考えて、君のことを楽しませようとしてるのに、君のこと、苦しめてるよね、ごめん、ごめんね」
そんなことはない。そんなことないんだ。きっ、君は、自分のこと、自分の幸せを考えれば良いんだよ、こんな僕なんかよりもさ、もっといい人が………………いや、違うか、僕がバカなだけだ。
どんよりと周りが暗くなっていく、でもそれは現実での暗闇に走る太陽ではない。僕らの心だ。感情だ。僕ら互いに、互いに傷つけ合って…これもちがう、僕が勝手に…勝手に…な、のかな、どうしたら良いの、どうしたら
「あー、やっぱ忘れて、今君、めっちゃ困った顔してるよ、やっぱいいや、君よりもいい人見つけてやるから覚悟しとけよ!私を振ったこと後悔させてやる!(笑)」
…言葉が出ない、君と、君は、君も、いなくなってほしくないのに、僕をおいていってほしくないのに、なんで言えないんだ…なんで、言えないの…俺…
「ごめんね、じゃ、あの、また明日」
君はちっとも楽しそうじゃない、僕は、何も言えてないじゃないか、ずっと、こんなこと続けてきて、ずっとこんな事言われ続けると思ってたのに、全然、違うじゃん、君って、そんな、弱かったの?君ってそんなに臆病も…それもちがう、何もかも違う。僕が変われてないだけだ。僕がだめなんだよ、さっきも同じこと思ったじゃないか!!なんで、なんで、おれは…
教室のドアが閉まる、閉まる、静かに閉まる時、僕は、2、3分ぶりに声を発した。
「や、ごめん、色々、言えなくなった言葉が詰まって、ごめん、あの、ちゃんと言うよ、遅くなって、ごめん。」
3秒間時間が止まった。ドアの開く音がした。なぜか、その足音が軽いような気がした。
「そーですかっ!一体どんなことを聞かせてくれるんですかね!結構な間考え込んでたんだから、良い答えをちょうだいな」
「最初から言ってるように、僕はまぁ、あんまり恋愛はもうしたくないって思ってる。前のこともあるし、怖いから。」
「でも、君が自分の幸せのために、ずっと僕を諦めないでいるのも、いやだ。表現しづらいけど、なんかやなの。」
「だから、僕はずっと君の気持ちを否定するようなことを言ってきた。そして、君を突き放してきた。この1ヶ月くらい、でも君はずっと、僕に話しかけてくれて、やっぱ疲れたでしょ、怖かったでしょ、怖くないわけないもん。」
君は静かに頷いている。
「だから、ごめん。君の気持ちを考えなくて、ごめん。」
「そんなことない」
「そんなことないよ、形はちがくても、私のこと考えてくれてたじゃん。それに、人の気持ちなんてわかんないし、てか私も君の気持ちなんか考えずに突き進んで迷惑かけて、私こそほんとに謝るべきなんだけど(笑)」
「………そう、か」
「うん、そう。」
20秒、ゆっくり時間が、沈黙が過ぎていく。
「君は、まだ、僕のこと諦めてない?」
「当たり前じゃん」
「僕はまだ、君のことを好きってわけじゃない」
「知ってる」
「でも、君と居るのが楽しい、君が話しかけてくれるのが楽しい。君まで僕から遠ざかってほしくない」
「んふふ、ってことは?」
「君のこと、もっとよく見る、もっと大切にする」
「はい、どーも」
「絶対に好きになる」
「ほんと?」
「絶対に」
「そーですか、じゃあ、私のこの辛抱強さの勝ち?」
「そう、言うことになるね」
「んじゃあ、言ってよ、鈍感じゃ、ないでしょ?」
今度は3秒、ゆっくり息を整えて、
「僕と付き合ってくれませんか」
この間、放課後の教室、この二人以外誰もいない夕焼けに染まった10分間であった。




