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RE:異世界ラーメン無双奇譚・シン 〜まずはスープを作ろうとしたら、豚がいなかった_| ̄|○ il||li オークやらコカトリスやらをスーブにしようと思ったんだけど、とりまダンジョン攻略頑張るぜ!!〜  作者: 酸化酸素
第四章 ラーメン無双の愉快な仲間たち

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28話 愛して哀し、藍に染まってる頃

「なぁ、女神さん……」


 やぁ、みんな俺だぜ。山形次郎だ。ここまで俺の話しを聞いてくれて、ありがとうな。


 ところでなんだけどよ……やっぱり、ラーメン作るのは簡単じゃねぇぜ!なんせ中国四千年の歴史だもんな!四千年を俺一人で作るのは無理ってモンだぜ!


 でもま、俺一人だったら本当に無理だったかもしれねぇけど、俺には4人の娘達とアリスがいる。俺を含めたら6人だ!四千を6で割ったら666くらいだろ?それくらいだったら、なんとかなりそうだろ?

 えっ?ならない?それ以前に意味が分からない?


 大丈夫だ、問題ねぇよ!だって、俺にも意味が分かってねぇから!

 大事なのは、考える事じゃなくてだな……感じる事さッ!



-・-・-・-・-・-・-



「母さん、おかえりなさい。今日は早かったのね……あれ?お客様?」


「貴女がマシマシ(マシマッシ)ちゃんね。アテクシは美と食を司る女神ラ・メン。ところで、あの野菜ってマシマシ(マシマッシ)ちゃんが作ってるんですって?一体、どうやったら、あんなに芳醇なマナをたくさん得られるの?」



「ジロウ……やっぱりアレ……強がって現実逃避してるようにしか見えないわよね?それにあの女神は美は司ってなかった気がするんだけど……ごにょごにょ」


「そうか?俺にはけっこう楽しんでるようにしか見えねぇけど?まぁ、女神さんが何を司ってるかなんて、俺には関係無ぇしな」


 家に着くなり、女神さんはマシマシ(マシマッシ)と楽しそうに話しをして盛り上がっていた。まぁ、話しているのはマシマシ(マシマッシ)の本体じゃあねぇが、そんな事はお構い無しの様子だ。



 家に着くまでの間……女神さんは、俺が望みを言わない事に対して、何やらブツブツ言ってたし駄々っ子のように抵抗していたが、女神像から余り離れられないらしくて、結局グチグチズルズルネチネチと付いて来たって訳だ。

 いや、付いて来たって言うよりは本当に文字通りに首根っこ掴まれて、引き摺られてたって感じだったとも言えるかもしれねぇ。




「凄い!凄い凄い凄い!何これ美味しい!これも!それも!あれも、全部美味しい!!あぁ、口の中に広がる濃厚で芳醇な香り……喉を突き抜けて頭を揺れ動かす清涼感……身体が次から次へと欲しがっても尚、満たされない高揚感……あぁん、なんて、なんてッなんて事ッ!こんなにも身体が欲しがってるなんてッ」


「まま、女神様って普段から美味しい物を食べてないんだね?」


「とんこっつ……多分、ここの食事が特別なだけよ?こんな料理、私だって王都でも食べた事ないし、恐らく女王陛下でも食べた事ないと思うわ。——ぱくっ。あぁん、トロけちゃうぅん。やっぱり、最高よぉん」


「お袋!それ、あたいが貰っていいか?」


 なんだろうな、相変わらずのこの絵面……。昼飯の時と似たような光景過ぎるんだが……。

 恍惚としながら貪ってる2人。黙々と一心不乱に食べてる1人。そして、黙々と食べてる2人。マシマシ(マシマッシ)は今日はこの場で一緒に食べないって言ってたが、蔓だけは食卓に付いてる。

 でも何も話さねぇから蔓がいるだけって感じだ。まぁ、昼飯の時はマシマシ(マシマッシ)はいなかったけどな。


 いつ見ても恍惚としてる2人はラリってんのか?って思える感じだし、それは娘達では見られなかった現象だから新鮮って言えば新鮮なんだが……毎度毎度食べるたんびにラリっちまうのはどうかと思うぜ?

 まぁ、女神さんが来る前からアリスはこんな感じだから、これがデフォルトなのかもしれねぇけど、それにしてもアリスはどんな大人に成長すんのかね?先が思いやられるぜ……。


 まぁそれでも、いつもの食卓が更に賑やかになったと思えばいいか。ってな感じで、次は風呂にGOだ。



 女神さんは裸の付き合いに抵抗があるらしかったが、豚骨(トンコッツ)達の物理的説得で服を強制的に脱がされると、そのまま湯船に向かって自発的にダイブしてた。

 俺としては嫌がってたんじゃねぇのかよ……みたいなツッコミはするのをやめておいた。まぁ、裸の付き合いに無粋な真似は良くねぇからな。

 その後はいつも繰り広げられるアリスの痴態を見ながら微笑んでいたが、それ抜きにしても女神さんも風呂を満喫してたみてぇだったわ。




「ねぇ、山形次郎……。貴方って不思議な人ですね……」


「女神さん、どうした?のぼせたのか?」


「アテクシは貴方にのぼせてますよ?」


「俺は女だぜ?口説いても何も出ねぇよ……でもま、本来なら何も出ねぇが、今日は女神さんがこの家に来た居候記念って事で特別な一杯を出してやるよ」


マシマシ(マシマッシ)いるか?」


「なぁに、母さん?」


「ちょっと手伝ってくれないか?」


「ぶぅ……。全く、無粋な男……。でも……」


 こうして俺はマシマシ(マシマッシ)と一緒に作った塩ラーメンを女神さんにご馳走する事にした。

 それは俺がゼロから作り上げていったモノ達……切り身節と乾燥椎茸からとった出汁、ネギの風味を凝縮させたネギ油、色々と試行錯誤して作った塩ダレ、そして散々悩みに悩んだ挙句に偶然出来た生地を一日寝かせた中華麺。


 それらを手早く調理して出来上がったのは、この世界に初めて降臨した塩ラーメン。器の中には他の具材はなく、スープと麺しか入ってねぇ素ラーメンだが、それでも今の俺が出せる唯一のラーメンだ。

 そしてそれの作り方をマシマシ(マシマッシ)に教えた訳さ。



「待たせたな。これが今の俺が出せる至高の一杯だ。ちゃんとマシマシ(マシマッシ)の分もある。さぁ、2人共……喰ってくれ!!」


ずるッ


「「ッ?!」」


ずるッずるッずるずるずるずるずるるるるるる、ずる

ずずずずずずずずずずずーーーーッ、ずるずるずるずるるるッ


「「ぷはぁッ」」


「いい喰いっぷりだったな」


「母さん……これが、ラーメンなんだね?」


「あぁ、そうだ。俺が求めた最高の一杯には程遠いが、これがラーメンだ」


 俺は今にも泣きそうだった。テレビで見た番組の企画から始まった俺のラーメン造り。


 家族も、日本人である事も、性別も、生活も何もかもが変わっちまった俺が、この世界でゼロから創り上げる事が出来た一杯……。


 それを2人は声にも出さず、無言のまま愛し合う夫婦のように……ただただお互いを求め合う恋人のように……そして純然と惹かれ合う宇宙に漂う星々のように、口の中が麺とスープで満たされていくのが、さも当然であるかのように…………最後まで無言のまま、スープの一滴、麺の一欠片を残す事なく完食してくれたんだ。


 正直なところ、俺の心は感動で満ち溢れ、今にも零れ落ちそうな程に大粒の涙を(たた)えて涙目になっていた……と思う。



「感想はいいぜ。2人が完食してくれた事が、俺にとっての最大の褒め言葉だからな。でもこれじゃあ……まだまだ俺が求める至高には程遠い……。それじゃあ、俺は寝る。おやすみ、2人とも。そうだ、女神さん、部屋はどこでも好きな部屋を使ってくれ」


 俺はその言葉を残して部屋に戻って行ったのさ。どうだ?キマってるだろ?カッコいいだろ?俺に惚れんなよ?




「食べ物は美味しいし、お風呂は最高だし、仕事はしなくていいし、あぁ、ここでの居候も悪くないですね……。でも、1つだけ足りないわ」


「女神様、食器はわーが片付けておくので、女神様もお休みになって下さい」


「そぉ?ありがと、マシマシ(マシマッシ)ちゃん。おやすみなさいね」


「はぁい、おやすみなさいませ」




「ねぇ、山形次郎……アテクシは物足りないの。だから、特別に貴方を今だけ男にしてあげる。それも若々しくて精力に溢れていたあの頃に」




「んあ?あぁ、今……何時だ?って、そうだったな、この世界には時計が無いんだっけか……。いつもより早起きしちまったな。みんなはまだ寝てる時間だよな?それなら水飲んでもう一眠りすっか」


「まま……?ふわぁ……」


豚骨(トンコッツ)?起こしちまったか、悪りぃ」


「まま……食べる……」


ずりゅ


「お、おいおい、豚骨(トンコッツ)……俺を食べる時はみんなで一緒にだろ?って……えっ?なんで、俺のムスコが?」


ぱくッ

 じゅるッ


「や、やめ……豚骨(トンコッツ)……それは食べ物じゃねぇ……そんなに激しくしたら……我慢が……」




「はぁ……はぁ……はぁ……まま……気持ち……いいよ」




「はっ!?夢……か?まさかだよな?俺が男に戻った夢なんて……」


ずりゅ


「ママ、足りない……」


「えっ?白湯(パイタン)?どうした、寝ぼけてるのか?」


ぱくッ

 じゅんッ


「な、これは俺のムスコの感覚……白湯(パイタン)、咥えたらダメだッ!我慢が出来な……く」




「らめぇ……ママ……はぁ……はぁ……イッ」




「はっ?!夢……か?そんな訳ねぇよな?俺は女だぜ?俺のムスコはもう無ぇんだよ」


ずりゅ


「お袋……あたい、腹減った」


「ねぇジロウ……ジロウが悪いんだからね?私……」


「おいおい、またか……今度は誰だよ?って、アリス……?それにワンタン?」


「母さん、わーもいるよ?」


マシマシ(マシマッシ)まで?一体、どうしたんだ?」


「男に戻った母さんの味をみんな求めているんだよ?だから、いつもみたいに気持ち良くしてあげるから……そうしたら、わー達を今度は気持ち良くしてね」


「お、おい、マシマシ(マシマッシ)、ワンタン、アリス……お前達、や、やめ……」




「お袋……ダメッダメッダメッ、それ以上は、あたいがあたいじゃなくなッ……イッくぅッ」


「母さん、らめぇ……わーの頭の中が真っ白になっちゃうぅぅ」


「ジロウ……これが……あぁ……誰よりも何よりも……ハァ……ハァ……ハァ……これが、私が生前味わえなかったモノ……こんな……に気持ち……イイッ」




「はっ!!夢……だったのか?俺は一体、どうしちまったんだ?なんで、娘達やアリスにあんな事を?これじゃ俺が幼女趣味みてぇじゃねぇか!」


「待ってましたよ、山形次郎……」


「女神……さん。そうか、これもアレもそれも全部、夢なんだな?夢の中で見てる夢だから、俺の記憶が残ってるんだな?」


「えぇ、夢よ。起きたら貴方は忘れてしまう全ては夢。そして、貴方の娘達もアリスシードも処女のまま。だけど、忘れてしまう夢でも、今のこの時だけは全て現実。さぁ、山形次郎……アテクシをあの()達と同じように気持ち良くして?」


 俺はこの時、何を考えていたか分からねぇ。ただ、無我夢中で女神さんの求めるままに求められた行為をする為に腰を振っていた。

 女神さんの豊満なバストを鷲掴みにしながらも、俺の頭はボーッとしていて何も考えられず、俺はそんな状態だったけどお互い、快楽に身を委ねてる様子で、俺の耳には何回も何回も女神さんが絶頂を迎えた声が入って来ていた。


 こうして求められるまま俺は何回も何回も女神さんの中に果てて、何回目かの絶頂を二人で迎えた後に俺は、女神さんの豊満な胸に顔を包まれ、その温かさによって……俺の意識はゆっくりと堕ちていった。



「なぁ、女神さん……俺の望みを……聞いて……くれ」




「ねぇ、あなた。あなた起きて。こんな所で寝てたら、風邪をひきますよ?ねぇ、あなた!——もうッ!一度寝たらホンっとにテコでも起きないんだからッ!——こうなったら仕方ない、最後の手段を…………次郎さん、ラーメン伸びますよ?」


「うわッ?!ラーメン?どこどこ?」


「うっそぴょーん。てへッ」


「へぁ?あぁ、なんだ……嘘か」


「もうッ!コタツでテレビ付けたまま寝たらダメっていつも言ってるでしょ?」


「あぁ、なんか、毎度毎度申し訳無ぇ」


「あなた、お仕事いつも大変なの分かってるけど、風邪をひいたらみんなが困るんですからね!」


「あぁ、悪りぃ、綾乃。そうだ、琴音はどうした?布団蹴っ飛ばしてねぇか?」


「あの()はあなたに似て直ぐに布団を蹴っ飛ばすから、2時間起きに布団を掛けに行ってますよ〜だッ!」


「そっか、いつも世話掛けてすまねぇな」


「ねぇ……どうしたの、あなた……?」


「何がだ?」


「何がって……あなたらしくないじゃない!あなたって、テレビばっかり見てて、いつも話し掛けても上の空だったし、テレビ見てなくても興味ある事以外、一切話さなかったのに!ねぇ……一体どうしたの?」


「そうか?俺は何も変わってねぇと思うぜ?」


「もう、ホントにどうしちゃったのかしら?今日は雪になったらどうしましょうね?ちゃんと昨日の内にスタッドレスタイヤに替えておけば良かったわ」


「そん時はそん時だろ?でも、ホントに雪が降っても、俺のせいじゃねぇからな?」


「へへへ。そういう事にしといてあげる」


 俺はコタツから這い出て立ち上がると、窓に近付いていった。窓から見える空はまだ暗い。月も星も空には輝いている様子は無ぇ。

 壁に掛かる時計が指している短針は5時だった。あと数十分もすれば薄らぼんやりと空は明るくなってくるだろう。



 豆から挽いたブラックコーヒーのいい香りが、リビングに充満して来ていた。妻の綾乃が鼻歌交じりにコーヒーを淹れてくれてるみてぇだ。何かいい事があったんだろうか?



「はい、目覚めのブラックよ」


「さんきゅー。でも、珍しいな?綾乃がコーヒー淹れてくれるなんてさ」


「何を言ってるの?いつもはあなたが起きて来ないからでしょ?」


 俺の寝起きの頭はぼんやりとしていたが、口に含んだ熱めのブラックは舌と喉を少しだけヒリつかせながら、胃の中に染み渡っていく。



ぽたッ

 ぽたたッ


「あぁ、早く起きたから、朝ラーも悪くねぇな」




挿絵(By みてみん)

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