15話 うちとわちきの大発見!
「お~も~いこんだぁらぁ~……」
俺の名前は山形次郎、41歳。ってな訳で、俺だ。おれ俺!俺だぞ!な、なぁ、覚えているよな?俺だぞ?
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よっ!元気だったか?暫く話さない内にあれから2ヶ月経ったぜ。じゃあ、手っ取り早くこの2ヶ月の間に何があったのか説明しちまうとしよう。
——ってな訳だ。な?こっちも色々とあっただろ?えっ?何も伝わって来ない?おいおい、大丈夫か?
じゃあ、耳の穴かっぽじってちゃあんと聞いてくれよ。
——ってな訳だ。……あ、あのさ。やっぱり……手抜きは、駄目だよな?
あれは丁度2ヶ月前の事だ。丁度1年前なら歌詞にもあるから歌になるんだが、丁度2ヶ月前じゃ、歌にはなんねぇな。
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「まま、大発見大発見!!」 / 「ママ、凄いの発見したッ」
「豚骨に白湯お帰り。二人で腕試しはどうだった?ってか、そんなに慌てて二人共どうしたんだ?」
「ママ、これ見て!わちきが発見したんだよ」
普段は冷静な白湯なんだが、その日は違っていた。まぁ、冷製白湯じゃ無ぇから、そこんトコは勘違いしないでくれよ?
ところで冷たい白湯って旨いのかな?いやいや、そういう意味じゃ無ぇからな?コイツは幼女に冷たくされるのが好きなんだって勝手な妄想は止めてくれよ?
んでもって話しは戻すが、そんな白湯の手のひらの中には一粒の種があった。
「種……だな?それが大発見なのか?」
「この種、アウラウネの種だよ!」
「あ、あうら……うね?洗う畝?合う羅宇……ね?」
いやぁ、俺としては白湯が「羅宇」なんてマイノリティの塊のような専門用語を知ってる方が驚きだったんだが、まぁ、農家やってりゃ畝は分かるだろうけど、俺は農家じゃ無ぇ。
ん?ところで何言ってんだろうな?
「まま、アウラウネだよ。ア・ウ・ラ・ウ・ネッ!」
「んで、その畝がどうしたんだ?その種が、その畝なのか?」
「うちがレッドオークみたいに、アウラウネはアウラウネだよ」
「んー?よく言ってる事が分から無ぇが、要するに、その種からお前達みたいなのが産まれるって事か?」
まったくもってさ、驚きの進化論だよな。種から人間が産まれたら、人は猿から進化したって言う進化論は手っ取り早く覆されちまうだろ?
進化論ってダーウィンだっけか?その、おっさんがもしこの世界に来たら、腰が抜けるだろうな。もしも入れ歯なら、外れてフガフガしちまうだろうし、飯喰ったのも忘れて「飯はまだかのぅ?」とか言っちまうかもしんねぇ。
‒‒いや、それじゃ、おっさんじゃなくて、爺さんだな……。すまねぇ、ダーウィンのおっさん。
でもまそれくらい驚くかもしんねぇだろ?だって豚も鶏も進化すりゃ人間になんだからさ。
んでもって、次は種から人間が産まれるときたモンだ。
もう鶏が先か卵が先かなんて以前に、植物の種から人間なんて考えもした事が無ぇ事実だったぜ!世界ってのは広いって言うけどよ、流石にビックリ人間が居過ぎて世界が広いって言葉じゃ説明が付かねぇ……ってか、俺は何を言ってんだ?
で……結局、俺はその種を植える事にした。
ってか、凄く見てぇって思ったんだ。鉢から生える人間ってヤツを……。だってカオス過ぎだろ?植物人間だぜ?
いや、まぁ……その、トラック運転手やってた時に事故ってそうなっちまったヤツは見た事あっから、笑い話しじゃ無ぇし興味本位でそんな事を言ったら悪いってのは思ってる。
思ってはいるんだが、それを地で行く植物人間ってヤツだから、それとは違う。そもそも、この世界にトラックは無ぇ。
だからこそ、そんな植物人間に関しては興味しか湧かねぇし、そもそもダンジョンの中に家が出来るまで、特に何もする事が無ぇ俺の楽しみが出来たって訳だ。
なんかこんな事を言ってると、盆栽弄りが趣味な爺さんみてぇだよな?それじゃあダーウィンよりも俺の方が爺さんだったって事かな?
まぁ、そんな事はどうでもいいか。
ちなみに、この種は25階の課長部屋で変な臭いに気付いた白湯が、隠し通路ってヤツの先に見付けたらしいぜ。
なんかこれ、既視感ってヤツだよな?まぁ、それ以前に、二人の腕試しで30階までは行けたらしいから、本当に俺はお払い箱なのかもしんねぇけど……それとこれとは話しが別だ。
適材適所ってヤツだから、俺は気にしねぇ……多分な。俺が戦力外通告されても、俺はきっ、気になんて……してねぇ……よ。
ってな訳で、俺は鉢に植えた種の発芽を気長に待つ事にした。まぁ、その間に切り身から「節」を作る方法を色々と考えていた訳なんだが、どうやって「節」を作るのかはサッパリだった。
切り身節って一体どうやったら造れんのかね?でもなんか、切り身節って言うと、躍り出せそうな気もするよ……な?えっ……ならない……の?
やーれんそーらん的な感じとか、えらやっちゃえらやっちゃ的な感じ……しねぇ?
「お~も~いこんだぁらぁ~、一気に駆ける~♪誰が呼んだか、誰が呼んだか~、山形次郎ぉぉぉ~♪っとくらあ。あぁ、それにしても、鰹節って本当に作り方分からねぇな」
俺は鉢に水を遣りながら考えに耽っていた。流石に作り方を感じる事は出来なかったからだ。
そして種を蒔いてから2日経ったが変化は無ぇ。なんかこれじゃ、小学生の観察日記みてぇだよな?
「そう言えば、鰹節って乾物だよな?乾物って事は保存食って事になるよな?」
それは鉢を見ながらある時閃いた事だった。「そうだ、乾物なのだ」と。いや、だからなんだ?とか言わないでくれよ?
だって乾物っていやぁ保存食だ。保存食っていやぁ、カンパンだ。銃の弾切れはカンバンだ。いや、カンバンってなんだろうな?
ま……まぁ、カンバンは置いといて、カンパンも作り方は分から無ぇが、ようするにボソボソするって事だろ?鰹節がボソボソしてたかなんて覚えて無ぇが、ボソボソするって事は乾燥させるって事だ。
水分抜けば大抵はボソボソすっからな。
「あとはどうやって乾燥させるか……だな。この家にいるんなら天日干しで乾燥させられるが、ダンジョンの中に家が出来たら天日干しは流石に無理だ。ダンジョンの中には太陽なんてなかったからな」
こうして俺はまた悩みの種の堂々巡りに頭を支配されていった訳さ。そして、俺が悩みの種に頭を抱えている頃、本物の種は蒔いてから5日目に漸く発芽した。
「違う。これじゃない。俺が見たかったのは、鉢から生えた人間だろ?なんで……なんで、普通に葉っぱなんだよ……。これじゃ、普通の植物と変わら無ぇじゃんかッ!」
俺は正直な話しになるが、鉢に蒔いた種がどうでもよくなっていた。なんて言うか……まぁ、観察日記なんて初日と2日目だけ書いて後は最終日に纏めて書くお決まりのパターンだったし、それよりも何よりも、ダンジョン内でどうやって切り身を乾燥させるかについて考えるのに頭を使っていたからだ。
でもま、芽吹いた以上、枯らす事はしたくねぇから水だけは遣っていたが、鉢を眺めてる時間が極端に短くなっていたのは事実だろう。
でもな、普通に小さい鉢から人間が生えるのを楽しみにしていた俺のがっかり感は分かってくれよな……。
「まま、起きて朝だよ。うちも、ぱいたんもお腹空いたよ」
「ママ起きてくれないから、二人で食べちゃお?」
これは俺にとってのいつも通りの朝だ。二人にとってはいつも通りの朝飯であって、コイツの身体にとっては調教と同じ意味合いだ。
まぁ、それが処女で婚約者がいるコイツにとって、本当にいいかどうかは言わなくても分かるだろ?相手が男じゃねぇから浮気とか不倫にはならねぇと思うけど……さ。
でもま、俺としてはそんな事は知ったこっちゃない。見た事も無ぇし、俺としては俺自身が結婚する気もサラサラ無ぇ婚約者なんてどうだっていい。
だから俺的には身体を気持ち良くしてくれるコイツらの方が何倍も大切だし、俺を母親と慕って危険なダンジョンで頑張ってくれてるコイツらの腹の虫に対して、無碍な扱いは出来無ぇからな。
そんなこんなで二人の腹ごしらえが終わり、俺はあまりの気持ちの良さと眠気にボーッとしてた訳だが、着替えていた白湯に変なモノを見た気がした。
「な、なぁ、白湯……?」
「ママ、どうしたの?」
「お前のお尻になんか生えてねぇか?」
「わちきのおしり?わちきのおしりが気に入ったの?」
「いや、そぉじゃねぇ。白湯のお尻からピンクの何かが生え掛かってねぇか?」
「まま、ぱいたんはコカトリスだから、尻尾じゃないかな?コカトリスの尻尾は……蛇だっけ?」
「うん、そうだよ。わちきはまだ幼体だから、尻尾がまだ生えてないんだけど、尻尾が生えて来たなら……成体になる準備が出来たって事かな?」
俺はなんか末恐ろしい話しを聞いた気がした。尻尾が生えてるだけで違和感しかないんだが、その尻尾が蛇と聞いたからには、違和感しかないのは当然だよな?
ハーフオークの俺には尻尾は無ぇし、レッドオークの豚骨にも尻尾は無ぇ。だから、その辺りは普通の人間と変わりないと思ってたのに、白湯には尻尾が生えるって言うんだからさ。
いや、待てよ?豚には尻尾があるから、そのうち豚骨にも生えて来るんだろうか?コイツは前におっさんが、人間の血が濃いって言ってたから尻尾は生えねぇと思うが……。
でも、尻尾が生えたら生えたで、尻尾の感覚とかを確かめてみてぇ気はすっけどさ。だって日本人の時に経験した事無ぇモンよ。
俺は何回も言ってるが幼女に興味は無ぇから、白湯の小さいケツを見ても、豚骨の裸を見ても、ホルスタインも真っ青な胸を見ても平常心を保ててはいる。
だいたい、41歳のおっさんが若い女に欲情すんのは可怪しいだろ?だけどコイツの身体は15歳だからな……だから二人に調教されまくられた身体は実に正直な反応をしてるってだけだ!
俺が好き好んで自分を調教させてる訳じゃ無ぇから、勘違いはしないでくれよな!で、俺としても二人の成長は嬉しいから、たまに二人の裸をチラっと見てるだけだ。それだけだ!決して疾しい気持ちで見てる訳じゃねぇからなッ!
要するに、尻尾が生えても生えてなくても、俺は何も変わらねぇって事だ。分かってくれよ……頼むから。
俺は変態じゃねぇんだ。まぁ、見た目からもう既に、豚骨は幼女には見えねぇけどな。
そして、その日を境に豚骨が急成長したように、白湯もまた急成長していったのさ。
成長期ってのは産まれてから数カ月でやって来るんだって事を俺は知らなかったよ。やっぱり子育てってラクなんだな。
正直な感想なんだが、白湯は豚骨並には成長しなかった。いや、身長は俺を超したが……って、俺の言ってる成長はそっちじゃねぇ。
俺としては白湯も、豚骨ホルスタイン並になるのかと期待しなかったと言えば嘘になる。
だが、女の価値は胸じゃ無ぇと思ってはいるが、前例がある以上、見モノっちゃ見モノだった訳だ。でもやっぱり鶏でもハト胸って言うのかな?なんて思ったりもした。
そして、白湯もそれを気にしている様子だったから、まぁ、触れないようにするべきだとは感じたね。触れちゃならねぇモンってのは、どんな人間でも必ず1つや2つあるモンだ。「親しき仲にも礼儀あり」とか言うだろ?
なんせ俺は空気を読む事が出来る男だからな。




