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第31話 前世ぶりの!

「マリーちゃん!それはもしかして薬草じゃないか?!そんなに貴重なものをどうしたんだい?」

「俺、生の薬草はじめて見たっス!」

「私も、あちこちの森で採取したことがありますが、ここにあるものはどれも、その辺りでは採れないようなものばかりですね!」


 マリーが、お料理に使えるハーブを持って食堂へ向かうと厨房の皆が驚いていた。どうやら大変高価なものらしい。


「ふっふっふ。とある筋から手に入れたんですよ!この薬草をお料理に使って欲しくて、持ってきました!」

「おお!高級食材キターーー!!」


 相変わらずのニコルだ。


「おお!!それはすごいな!」

「ええ、薬草は煎じたり薬にはしても、料理に使うことはないですからね!」

「薬草って、どうやって使うんっすか?」



 こんなに驚かれるなんて思わなかったけれど、なるほど薬の材料ならば高価なのかもしれない。

 それにしても皆が乗り気でよかった、と一安心のマリーだ。



「ええとね、お肉や魚を料理する時に使ったり、焼く時に使うと香りがついてアクセントになったり、臭みを消したりできるの。それに煮込み料理に入れると味わいに深みが出たりするんだって!」


「「「なるほど」」」


「どれくらいの分量をどうやって使うのでしょう?貴重なものですし」

「持ってきたのは一部だから、安心して使ってください!それに寮のお庭に挿木を植えたんです!だからちゃんと育ったら使い放題ですよ!」


「「「おお〜!!!」」」


 気にせず使えるとわかって安心したのか、それぞれがハーブの香りを嗅いで確認し始める。


「これはいい香りですね!肉類に合いそうだし、食欲が増しそうだ」

「これは煮込み料理にも合いそうですね!」

「ニコル、薬草はパンに練り込んだり、上に飾って焼いても合うと思うよ!」

「お、確かに、これなんか良さそうっすね!」



 早速、香りを確かめて、どれをどのように使ってみようかとミーティングがはじまった。



「どの薬草がどの食材に合うかはお肉料理とかお魚料理とか、スープや煮込み料理とか、薬草と食材の相性もあるそうです!教えてもらったので、紙に書いてお渡ししますね!」


ハーブを使った料理などについては、マリーが詳しいのもおかしく思われるかもしれないと思い、お客様に教えてもらったことにすることにした。


「「ありがとうございます!!!」」

「あざーーーっす!!!」


「それで…実は、早速食べてみたいお料理があるんですけど…」



 マリーは思い出したらどうしても食べたくなってしまった、バジルソースのパスタを作ることにしたのである。

 食堂はちょうど夕食のお客様も落ち着いた頃合いだ。

 今からなら厨房で作業をしても迷惑にならないだろうし、ソースを作って口に合えば、みんなの賄いにできるかもしれない。



「このバジルの葉を使ってるソースを作って、パスタに和えるお料理です!」


「「「「「「おおーーー!!」」」」」」


 厨房が落ち着いてきたからか、いつのまにか見習い君たちも集合していた。


「葉はもう洗っていますので、茎から葉をちぎってまとめたら、細かい微塵切りにします!」



「俺がやろう」

「私がやりましょう」

「俺やるっす」


 こちらの作業は古株の3人だ。



「みじん切りをしてる間に、チーズを削る人とニンニクをおろす人、それと、パスタを人数分を茹でる人が必要です!


「「「俺やります!!」」」


 こちらは、見習い君たちが名乗りを上げた。


「うわぁ、これは絶対、めちゃくちゃ美味しいやつっすよね!」

「ああ、そうだな!」


 バジルの爽やかな香りとニンニクが、暴力的なまでに食欲をそそる。

 見習い君たちも待ちきれないようで、ソワソワしながら準備だ。


 賄い用には他の料理もあるので、そんなにたくさんは食べないかもしれないけれど、バジルソースは色々と使えるので沢山作ることにする。


 バジルソースは、バジルの葉、削ったチーズ、にんにく、塩と松の実を入れてミキサーやフードプロセッサーで撹拌するだけという簡単さからは信じられないくらい、手作りしたものが抜群に美味しい。

 一度手作りのものを食べてしまったら、マリーはその後、市販のバジルソースでは代用が効かなくなってしまったほどだった。

 チーズや松の実は入れても入れなくても良いし、塩加減なども自分の好みに合わせられるところもいいだろう。



 トーマス料理長、レオンさん、ニコルのみじん切りは、さすがプロだけあってあっという間にできた。

 チーズも、ニンニクも用意ができたので、全てをよく混ぜ合わせたら完成だ。

 茹でたパスタに絡めてお皿に持って、後は好みでチーズをかけても良い。


 あっという間に完成したバジルソースをパスタと絡めて、早速みんなで試食である。


「っっうま!!!!!」

「うまいな!!!」

「美味しいですね!!」

「「「美味しいです!!!」」」


 香りが強いからお口に合うかどうか少し心配していたマリーだったが、無事にみんなにも好評のようで一安心だ。

 最初こそ、感動したようにしみじみと味わっていた面々だったが、次第にすごい勢いで食べ始めた。


「ん〜〜〜〜〜、美味しい!この味だよ!!」


 マリーも、前世ぶりの大好きなメニューに大満足である。


「後からのみんな(給仕や宿泊部門、セルジュとマリアンヌ)の分は、また後で茹でればいいから、好きなだけ食べてくださいね!」


「「「「「「はい!!!!」」」」」」


「マリーさん、寮の庭の薬草が育ったら、これは食堂のメニューになりますか?」


 よほど気に入ったのか、見習い君たちが瞳をキラキラさせながら聞いてきた。


「メニューに載せるかどうかはトーマス料理長がお決めになるけど、庭に出来なくても薬草はまた取りに行くつもりだから、賄いでは食べられると思うよ!」


「「「やった!!」」」


「あ、料理長。バジルソースは、パスタだけじゃなくて、お野菜でもお魚でもお肉でも、色々と合わせられると思いますよ!」

「そうだな!これなら肉をソースにつけておいてもいいかもしれないな」

「ああ、それにポテトと和えてもうまそうだ」

「パリッと焼いた鶏肉にかけても良いかもしれませんね」

「そうだな。それなら白身魚にも合いそうだ。魚も皮目をパリッと焼いたらうまそうだぞ」

「よし!試してみるか!」



 さすが料理人だ。見習い君たちも一緒にアイデアを出し合って、さっそく試してみるらしい。


「ふふふ、この調子だと、また看板メニューができちゃうかも!」


 美味しいものがたくさん食べられると思うと、わくわくが止まらないマリーだった。



 今日のところは大満足であるマリーの心はすでに、次に向かう。

 マリーは、早くにラベンダーのポプリを作って、サシェを作りたいのだ!

 ラベンダーの香りは、前世では心と体をリラックスさせる効果があったり、心を落ち着かせてくれるといわれていたし、さらに殺菌・抗菌作用や虫除け効果もある“万能ハーブ”などと呼ばれるほどだった。

 そのラベンダーの異世界版である。しかも、異世界パワスポ産だ。あの聖なる山から採取したラベンダーだったら、きっと確実に効果があるに違いないのである。


(客室に備品としておいても良いし、お客様に記念品としてプレゼントしてもいいよね…!)


 香りは記憶と結びついていると言われているし、「ラベンダーの香りを嗅ぐとやどり木亭を思い出す」、そしてやがては、「ラベンダーの香りを嗅ぐと、やどり木亭に行きたくなる」とかなったらいいのに!!と、密かな野望を抱きながら、ニンマリと笑うマリーだった。


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