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第99話 ローベのお祭り3日目

「な、なんだろう…今日、ものすごくお客さん多いですよね??」


 ローベのお祭り3日目のお昼過ぎ、やたらと張り切っているジェニーや本日の出店要員となったメンバーたちと一緒に、マリーは出店の店頭に立っていた。


 昨夜は公館から戻るなり疲れ果てて寝てしまったけれど、朝まで1度も目が覚めずにしっかり熟睡できたおかげかすっかり疲れは取れ、朝から絶好調だった。

 さすがは12歳。子供は回復も早いらしい。


(それに午後からの半分は遊んで過ごしたみたいなものだったもんね!)


 侯爵夫人の事故現場に遭遇して事情聴取を受けるという思いがけない出来事はあったものの、思い返せばお昼過ぎまで呼び込み隊で各出店に親切にもてなされながら通りを何度か往復して、祭りを見学して、事故を目撃しただけだ。


(あれ…なんだか昨夜はぐったり疲れ果てちゃったと思ってたけど…今よく思い返してみたら、半分は遊んで過ごしたっていうか、わたしほぼほぼ働いてない気がするよ…うわあ、なんかゴメンナサイだよ! よし!今日は昨日の分もしっかり働くのだ!!)


 正確に言うならば、聖女の力で侯爵夫人の命を救ったのだが、そうとは自覚の無いマリーは心の中でそう気合いを入れると、ぎゅっと両手で拳を握ったのだった。




 そんな気合いも十分に3日目の出店がオープンして数時間。

 事前情報では、祭り3日目は主に商会などの商談が行われるため、観光客や個人の人では前2日間と比べると落ち着くと聞いていたにもかかわらず、なぜか、やどり木亭の出店には朝から行列ができていた。


 猫の手も借りたいほどの忙しさの中、急遽作業場から手伝いの子供たちを増やして順番に休憩に行ってもらったり、スタッフが交代で小休憩とるなどして、ようやくお昼過ぎのこの時間に一段落ついたのである。



「な、なんだろう…今日、ものすごくお客さんが多いですよね??」


 全く途切れなかった行列がようやく途切れて、マリーが「ふうっ」と息を吐きながらそう言うと、隣にいたメリナとジェニーが口を揃えて答えた。


「まあ、そうなるわよね」

「ふふっ、そうなりますよね!」


 ジェニーは、昨夜公館から戻ってきたセルジュとオリバーから、マリーが関わった事故の一件を聞いていた。

 侯爵夫人から他言無用と言い渡されているとはいえ、ジェニーはマリーの事情をおおむね推察しているし、オリバー支配人もそれは知っている。それにあらかたの事情を把握しておいたほうが良いだろうとのセルジュとオリバーの考えだった。


 何故ならば、すでに事故現場では祭りを訪れていた街の人々、観光客たちなど、多くの人々が目撃してるのだ。

 直接目にした人たちはその中の一部だったとはいえ、その周りにいた人たち、さらにその周りにいた人たちにまで、話はあっという間に広がった。当然の事である。


 それは、『ピンク色のドレスを着た少女が事故にあった侯爵夫人を不思議な力で助けたらしい』という噂から、『やどり木亭のラベンダーという商品がすごいらしい』などのほか、『お仕着せ(メイド服)は最高』、『お仕着せ(メイド服)の少女が可愛い』、『ピンクの聖女の奇跡』『ピンクちゃんの奇跡』など、瞬く間に様々な噂が広がったのだった。

 公館から戻るなりベッドに倒れみ、朝まで熟睡していただけのマリーは知らないが、宿のみんなはそれぞれ自分の家に帰っていたので、今朝出勤してくるまでの途中、色々な噂話を耳にしていたのである。

 噂の後半部分はマリーが聞いたら卒倒しそうな噂である。


 そのため、今日の繁盛ぶりはある程度想定はしていた。想定を軽く上回る人出だったけれど。

 マリーは昨夜以降家から出ていなかったため、そんな噂話は耳に入っていなかった。

 まあ、例え耳に入ったとしても、侯爵夫人のあの事故の怪我の治癒を自分の聖女の力で治したなどとと露ほども思っていないマリーにとっては寝耳に水だっただろう。



「それに、なんだか、うちの宿に向かってお祈りしてる感じの人、結構いませんでしたか?」


「まあ、そうなるわよね」

「ふふっ、そうなりますよね!」


 正確に言うならば、宿に向かって祈っていたのではなく、一夜にして『ピンクの聖女』などと呼ばれることになったマリーに対して祈りを捧げていたのだが、「う〜〜ん?」と首を捻るマリーに、ジェニーとメリナが口を揃えて答えた。



「それに、気のせいか、今日は品物渡した後にぎゅって手を握られすよね? 買ってもらってお礼を言うのはこっちなのに、『ありがとう!』って逆に感謝されちゃったりするんですよね。」


「まあ、そうなるわよね」

「ふふ!そうなりますよね!」


「わかってますよ!これってあれですよね! もしかして、もしかしてのリピーターさんだったりするかもですよね! おそらく、以前に買ってすでに使ってくださっていて、商品の効能がしっかり発揮されて、ご満足いただいたからかもしれないですね!!」


「…そうかもしれないわね…」

「…そうかもしれないですね…」


(いやいや、誰が考えても『奇跡』とか 『聖女』とかのヤツでしょ!)とちょっぴり呆れたように思いつつもそう答える二人を前に、「うふふ! やったあ!!」とその場で飛び跳ねて喜ぶマリーだった。


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