人と歪みと
「はぁー、疲れた。」っと、独り言を言う。
...詩を紡ごうと思ったけど、なんも思い浮かばない。これもあのアホ男のせいだ。優しくすることが、全てにおいて救いになるわけないのに。その上、顔がいいから女子にモテる。だから、迂闊に突き放せない。
(そうだよな。綺麗事だけで済ませるなんて、フィクションもいいとこだ。)
なんて、フィクションの権化が話かけてくるけど。私は騙されない。イライラしている時に同情されると、依存しやすくなるのは、女子の基本心理だ。そのぐらい、分かっている。
(...そんなことは初めて聞いたんだが。)
そんな感じで、彼に対して愚痴を言ったり。今日の部活での反省をしたりしてた。彼は、戦闘の時に体の一部を剣にするため、剣道もある程度できるらしい。
とはいえ、人にできない動きを平然とするので、ほとんど(今のところ、役に立ったのは剣筋の見方だけ)参考にならないが。
ちなみに、彼は晩餐会のメンバーと話しているらしい。そのため、こっち側に意識を残せないみたい。(相変わらず、原理は謎だ。)
ぶらぶらと、ぶらぶらと、路地裏の中へ。
ぶらぶらと、ぶらぶらと、誘い込まれるように。
テケリリと、テケリリと、歪みが__って歪み⁉︎
やばいよね!とってもやばいよね!
おそらくだけど、知性を感じないから『純名』。
んで、対処法は、「それを歪みだと認識しない」って、ダメじゃん!
落ち着こう。落ち着こうワタシ。|いつものように感情を殺せ《・・・・・・・・・》。
そうだ。そうだよ。殺せ。目の前の敵を。それがベターだ。
奴が押し潰そうと飛んでくる。いや、取り込もうとか?どちらにしても、認識を間違えてはいけない。本能的に奴の名が分かった以上、強さの絶対値は高いはず。
そう考えながら、アスファルトを蹴り、そばに置いてあった鉄パイプを拾う。
「テケリ・リ!テケリ・リ!」
「ふっ、面!」
鞭のように、変化させた体を使って、攻撃してくる。幸いにも、二本までしか扱えないようだ。
そのくらいなら、剣道の技術の応用と、彼に見せてもらった人外の動きのおかけで、なんとか反撃できる。
だが、
「テケリ__リ‼︎」
「ッチ!__グゥァッ!」
そうやすやすと、歪みは殺せるものではない。
二本の鞭が、挟み込む世に襲いかかる。それをベリーロールの応用で回避するが、受け身をミスった。
その後、振り下ろされたナタのような体で、両足を切られた。
このまま転がって逃げるのは無理。倒すのも、無r、厳しい。
彼が助けに来る可能性は、ゼロではないが、命を預けるにしては確率が低い。
...彼?もしも私の予想が正しければ、あるいは。
「テェケリ・リ♪テェケリ・リ♪」
奴は油断している。なら、間に合う。
体を転がし、霧を取られた脚を掴む。その断面は...予想通り少し腐っている。
「テケリ・リ?__テケリ・リ!」
気づいたか。でも、時間切れ。
ワタシは、切り落とされた脚と自分の体の断面を合わせ、自己暗示をかける。
ワタシの中の、歪みに向けて。
ワタシは、人と歪みの混血種だと。
ワタシは、神の巫女たる、食屍鬼であると。
「っアハハ!」
狂ったよに笑う(実際は感情を殺しているので面白いとは感じてないが)。
脚ががくっつき、そしてより禍々しい姿になる。人に擬態もできるから、今後の生活も問題ない。
「来なさい!神に愛されないものよ!」
それでいい、これがいい。
少しやりすぎた気もしなくはないが、この発言により、ショゴスと私の上下関係が変わった。
「テケリ・リ!テケリ・リ!」
目の前のショゴズの体が肥大化している。
...どうやら名持ちではなかったらしい。
一方そのころ
「...ならあまり問題はない〜?」
「いえ、弱くとも、数があります。私たちだけで対応できない数がきた場合、人の目に触れる可能性が高いです。彼らは、名前をつけたがりますから。」
「となると、こちら側も会員を増やしt...っ!」
「何があった⁉︎」
「いいことかな〜?悪いことかな〜?」
「一旦落ち着きなさい。歪み関係であれば、落
ち着いて認識するのです。」
そう言いながら、イタカァは冷たい結晶の槍を作り。トゥールステは、食卓全体を覆うようにその身を燃やし。クティルラは、その目を閉じた。
「麗華が、人と歪みの混血種となった。」
「...危害は?」
「俺の霧を媒体にしている上、俺の巫女であると名乗っているため、死体安置所の神のお言葉となれば、従わざるをおえないはずだ。」
その言葉を聞き、奴らは警戒を解いた。それと同時に、なんとも言えない感情を抱いた。
「生活への影響は?」
「人に擬態できるから、表面上は問題ない。内面的な変化は不明。」
「その他重要事項。」
「現在、歪みと戦闘中。麗華の方が劣勢。」
「なら、念のためモルディギス君は、援護に行った方がいいのでないか?」
「レイちゃんには〜あt...」
「霧島麗華に関しては、死体安置所の神の恩寵を与え、従者として晩餐会に出席させると言うことでよろしいでしょうか。」
クティルラがそう話し終え、そして、今出席しているクティルラ以外の三柱が、ナプキンを一枚破いた。
「では、過半数が同意したので、私の提案は決定とします。」
その言葉と共に、モルディギスは退席したのであった。
なお、今回のメニューは白米、手作りキムチ、麻婆豆腐、ワンタンスープの4品である。
勿論、作ったのはモルディギスだ。
次は来週の6時だよー