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第13話 金色に輝く脅威

「さて、そろそろね。あなたが街をブラブラしていると……」


 黒川詩音が話し始める。何かイベントでも起きたのだろうか?


 俺は、その話に耳を傾けた。


「突然、空から巨大なモンスターが舞い降りてくるわ」


「何ッ!? モンスターだと?」


 予想の斜め上をいく事態が起きた。突然のモンスターの襲来。


「街の人たちは、悲鳴を上げて逃げだすわ。そう。空から現れたのは、上位種のドラゴン。その身は黄金に光り輝く。そう、ゴールドドラゴンよ!」


「ゴールドドラゴンッ!?」


 思わず聞き返した。なぜ、ドラゴンがいきなり現れるのか?


 いや、何かのイベントの前ぶれかもしれない。まだ、ドラゴンと戦うと決まった訳ではない。


 このゲームの設定では、ドラゴンは人語を解する高い知能を持ったモンスターだ。


 しかし、黒川詩音は不敵な笑みを浮かべた。


「ふふふ。ゴールドドラゴンは、あなたを殺意のこもった目で睨みつける。さあ、戦闘開始よ!」


 相手は、戦う気満々のようだ。俺は唖然として、黒川詩音に尋ねた。


「いきなり戦闘だと? ちょっと待ってくれ! このルールブックには、ゴールドドラゴンなんてモンスターは載ってないぞ。どういうことだ?」


 つい先ほど彼女はこう言ったはずだ。『ウォーリアー&ウィザード』のルールに従ってゲームをすると。


 しかし、このルールブックにはゴールドドラゴンなんてモンスターは記載されていない。


 俺の問いに、黒川詩音はニヤニヤしながら答えた。


「いいえ。ちゃんと載ってるわ。この『ウォーリアー&ウィザード』のエキスパートルールにね!」


「エキスパートルールだとッ!?」


 黒川詩音は、一冊の本を取り出して俺に見せた。


「これは、高レベルのプレイヤーを対象にした追加ルールよ。でも正式なルールだわ。何もおかしくないのよ」


「高レベルって…… 俺のキャラクターは、まだレベル2だぞ! ドラゴンと戦って勝てる訳がない!」


「あら? でも、あなたのキャラクターは銃を持っているじゃない? 戦ってみないと分からないわよ」


 どうしても黒川詩音は、俺をドラゴンと戦わせたいらしい。


「素早さは、ゴールドドラゴンの方が上ね。あたしの先行よ。でも最初のターンは、攻撃はしないわ。あなたに譲ってあげる」


 徐々に本性を現してきた黒川詩音。やはり、この女は前回と何も変わってはいなかった。


 こうなれば、仕方ない。


「くそッ! ならば、スナイパーライフルでゴールドドラゴンを攻撃する!」


 前回の冒険でゴブリンから手に入れたスナイパーライフル。それを使って攻撃を宣言した。


 今、俺のキャラクターが持っている武器の中で一番攻撃力が高い。


 俺は、2個のダイスを振って命中判定を行う。


「よし! 命中判定は成功だ! 次はダメージ判定だ……」


 ゴールドドラゴンは、その巨体故に攻撃を当てるのは難しくなかった。


「ダメージは68点だ! どうだ!?」


 スナイパーライフルの威力は大したものだ。これなら、ドラゴンといえども致命的なダメージを与えれたはず。


 しかし、黒川詩音は鼻で笑った。


「ふッ! 甘いわね。ダメージは6点しか受けないわ。ゴールドドラゴンは、ピンピンしてるわよ」


「何だとッ!?」


 どうして、68点のダメージが6点になるのか。状況が理解できない。


 黒川詩音は、ニヤニヤしながら俺にルールブックを見せてくる。先ほどのエキスパートルールの方だ。


「残念ね。ルールブックには、こう書いてあるわ。ゴールドドラゴンは、風の精霊の加護を受けている。射撃武器によるダメージは、全て10分の1に減少されると」


「な、何だと!?」


 確かに、その内容のことが書いてあった。見るのは初めてだが。


「銃による攻撃は、射撃武器と見なされる。だから、ゴールドドラゴンには通用しないのよ! さあ、次はあたしの番ね!」


 ゴールドドラゴンは大きな口を開ける。そこから放たれる灼熱の吐息ブレス


 回避することもできず。一撃で盗賊ショウは焼け死んだ。


「おほほ! おーほっほっ! ゲームオーバーね! あたしの勝ちよ!」


 高笑いをする黒川詩音。


 また、とんでもないクソみたいなシナリオを用意してきやがった。


 いや、こんなものシナリオとも呼べやしない。小学生が1分で考えられる内容だ。


 黒川詩音は、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべる。


「さあ、灰谷。服を一枚脱いでもらうわよ。そして、また酒場から再挑戦コンティニューよ!」


 また、あの脱衣システム再挑戦コンティニューか!?


「冗談じゃない! こんな茶番に付き合ってられるかッ!」


 怒声を上げて立ち上がろうとした俺に、彼女はスマホの画面を見せる。


 白崎麗奈のハンカチを持っている俺の姿が映っていた。


「逆らえば…… どうなるか分かっているわよね?」


 悪魔だ…… この女。


 そう。俺は、彼女に弱みを握られているのだ。


「くそッ!」


 俺は、座り込むと靴下を脱いだ。


 黒川詩音は、ニコリと笑う。


「そうよ。いい子ね。うふふふ。今日こそ全部脱がしてあげる」


 この女…… 本気マジで俺を全裸にさせる気だ。


「さあ、ゲームを続けましょう。あなたが酒場にいるところから、ゲームを再開するわよ」


 このまま街にいると、またゴールドドラゴンが襲ってくる。


 銃撃すら通じない。現時点で最強最悪のモンスターだ。



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