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第10話 特殊スキル

「あら? 自前のダイスを用意してるなんて。準備がいいじゃない。ちょっと見せてちょうだい」


 俺は、自分のダイスを黒川詩音に手渡した。2個の普通の6面体のダイスだ。


「これは、昔の友人からもらったダイスだ。俺のお守りみたいなものさ」


「ふうん。あなたに友人がいたなんて知らなかったわ。どれどれ……? 別になんてことはない普通のダイスね。いいわよ。そのダイスを使うことを許可してあげる」


 黒川詩音は、俺の2つ目の要望も受諾した。俺は内心ほくそ笑む。


「じゃあ、キャラクターの作り直しから始めましょうか」


「ああ。種族は『人間』のままで、名前も『ショウ』でいい」


「そう。『職業』はどれにするのかしら?」


 どの職業にするかは、既に心に決めていた。


「職業は『盗賊』にするよ」


 そう。俺は選んだ職業は『盗賊』だった。盗賊は、敏捷と器用の能力値が高い。しかし、HPや腕力は低く戦闘向きの職業ではなかった。罠の解除などを行うサポート的な職業だ。


 黒川詩音は、クスクスと笑う。


「盗賊ですって? うふふふ。そんな職業を選んでこのシナリオをクリアできると思っているの?」


「ああ。ちょっと考えがあってね……」


 職業を決めるとダイスを振って能力値を決定した。そして、俺の新たなキャラクターが完成する。


 名前:ショウ

 種族:人間

 年齢:16

 職業:盗賊

 レベル:1

 HP:15

 MP: 0

 腕力:10

 敏捷:24

 器用:22

 知力:11

 幸運:19


 前回の戦士ショウに比べると、HPと腕力が下がっている。初期装備も短剣となるため。普通のゴブリン1匹と戦うのも苦戦するだろう。


 だが、これでいいのだ。俺には、ある思惑があった。


「それじゃあ、ゲームを始めましょう。あなたは街の酒場に仕事を求めてやって来たわ」


 いよいよ、俺の最後の挑戦が始まる。例によって街の酒場から冒険はスタートした。


 まず、酒場の主人に話しかけて仕事をもらう。教会に住み着いたゴブリン退治の仕事である。


「じゃあ、さっそく廃墟となった教会に向かうぜ」


 盗賊ショウは、ゴブリンが住み着いた廃墟となった教会に直行した。ここには、スナイパーライフルを持ったゴブリンが1匹と拳銃を持ったゴブリンが2匹いる。


 まず、教会の入口にたどり着くまでだが……


「よし! 教会の入口まで全力でダッシュする」


「OK。うふふふ。じゃあ、教会の2階にいるゴブリンがスナイパーライフルで狙撃するわ」


 スナイパーライフルを持ったゴブリンが狙撃してくる。黒川詩音が命中判定のためにダイスを振った。俺は固唾を飲んでそれを見守る。


 ゴブリンの狙撃の腕は大したことがない。移動する標的相手だと、ほとんど命中することはない。


 しかし、ここで6ゾロが出ると命中になってしまう。このゲームは6ゾロが出ると絶対成功やクリティカルヒットなどの恩恵があるのだ。それだけは避けたい。


「チッ! 外したわ。銃弾は、あなたには命中しない。あなたは無事に教会の入口までたどり着くことができたわ」


 俺はホッと胸を撫で下ろす。ここさえクリアできたら後はこっちのものだ。


「じゃあ、教会の中に入るぞ!」


「うふふふ。教会の中には2匹のゴブリンがいて拳銃をかまえているわ。戦闘開始ね。敏捷の能力値は、あなたの方が高いから、あなたの先行からよ。どうぞ」


 2匹のゴブリンとの戦闘。ここが最大の課題である。2匹のゴブリンは拳銃を持っている。イタリア製の自動拳銃。ベレッタM92Aだ。


 運よく1匹目のゴブリンを一撃で倒したとしても2匹目のゴブリンに撃たれてしまう。


 しかし、俺にはある考えがあった。ゲームマスターである黒川詩音に向かって高らかに宣言する。


「じゃあ、俺のターン。盗賊ショウは、1匹目のゴブリンに対して特殊スキル『盗む』を発動する!」


 その言葉を聞いて、黒川詩音は目を見開いた。


「えッ? 特殊スキル? 『盗む』ですって……?」


 俺の行動は、彼女の予想外だったようだ。俺は『ウォーリアー&ウィザード』のルールブックを開いて黒川詩音に見せた。


「ああ。盗賊の職業には、3つの特殊スキルが存在する。『罠感知』『罠解除』。そして、この『盗む』というスキルだ。ルールブックにちゃんと書いてあるぜ!」


 黒川詩音は、俺からルールブックを奪い取り慌てながら確認する。俺は説明を続けた。


「この『盗む』というスキルは、文字通り対象から所持品を盗む事ができる。それは、対象が装備している武器も例外ではない! 俺は、ゴブリンが持っているベレッタM92Aを盗むぜ!」


「何ですって!? ま、待ちなさい! 確かに相手が装備している所持品を盗むことが可能だけど。難易度は高いわよ。『盗む』が成功するかどうか判定が必要よ! あなたは、レベル1の盗賊。ダイスを振って6と6のゾロ目が出ないと『盗む』は成功しないわ!」


 一瞬、焦りを見せた黒川詩音だったが。すぐに落ち着きを取り戻した。俺は、お守りのダイスを握りしめた。


「じゃあ、『盗む』の判定を行うぜ!」


「ふん! そう簡単に6ゾロなんか出せないわよ! 無駄なあがきだったわね!」


「それはどうかな?」


 俺は、不敵な笑みを浮かべてダイスを振った。運命の瞬間である。



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