表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人類と魔王の野望  作者: heke
第一章 異世界順応編
4/7

いざ、冒険者に

 扉を開けると、目の前には喧騒が広がっていた。

 真っ昼間だというのに飲んだくれている奴や、何やら受付でもめている奴、楽しそうに話している大人数のグループなど。


「おー・・・なんか凄い雰囲気あるな」


「僕たちの方全く気にしてないね・・・」


「まあ、とりあえず受付行ってみるか」


「そうだね」


 受付にはこれもテンプレいわゆる受付嬢といわれる女性が座っていた。


「こんにちは!なんの御用でしょうか?」


 とりあえずここに関する情報を聞いてみることにする。


「すみません、ここって、何ができる施設なんですか?」


「おや、冒険者ギルドを知らないとは、もしかして旅の方ですか?」


「まあ、そんなところです」


「わかりました!それでは説明させていただきますね!」


 そう言うと、お姉さんは説明用と思われる紙を取り出した。

 そうしてお姉さんがしてくれた説明によると、ここは想像していたギルドの通り、冒険者の登録や仕事の受付、回収した素材の換金なんかを行っているようだ。

 

「じゃあ、冒険者登録をお願いしてもいいですか?」


「はい、了解しました! 一応確認しておきますが、15歳以上ですよね?」


「はい、二人とも大丈夫です」


「では、こちらに登録に必要な情報をご記入ください」


 そう言って渡された紙には名前、年齢などの記入欄があった。


「これ、変に嘘とかつかなくていいよな?」


「まあ、大丈夫なんじゃないかな」


というやり取りののち、すべての欄を埋めた紙を提出した。


「ありがとうございました! しばらくお待ちください」


 そういうとお姉さんは後ろに引っ込んでいった。


「ふいー、なんとか無事に冒険者になれそうだな」


「そうだね。まあ、今後の方が大変な気がするけど」


「それは確かに・・・」


 苦笑しながらそんなやり取りをしていると、水晶玉らしきものを持ったお姉さんが帰ってきた。


「では、お二人の魔法の適性を調べさせていただきますね」


 おお! 例にもれずこの世界にも魔法が存在するのか!

 適正ってことは、使える人と使えない人がいるのかな。

 あ、でもそういえばヴァレリ氏が能力を与えるとか言ってたな。

 ってことは俺たちは使えるようになってるのかな?


「では、これに手をかざしてみてください」


「・・・俺からでいいか?」


「ああ、いいよ」


 うわー、なんか緊張してきたな。

 大丈夫かな? 変な事故とか起こらないよね?

 まあ、展開的にはここで前例のないことが起こってくれたらそれはそれで面白いんだけど・・・

 そんなことを考えながら水晶に手をかざしてみる。


「おお・・・」


 手をかざすと、赤と青の光が水晶から放たれた。

 おお、なんかきれいだね。

 なんて呑気なことを思っていると、建物の中にいた人の目がこちらに釘付けになっていた。


「2、2色使い!?」


「こんな辺境の地で!?」


「すげえ、俺初めて見た!」


 な、なんだなんだ何が起こったんだ!?

 混乱していると、お姉さんが話しかけてきた。


「お兄さん、何者ですか!? 二種類も魔法が使えるなんて、凄いじゃないですか!」


「は、はあ、ありがとうございます」


 何が何やらさっぱりだが、珍しいことが起こったらしい。それもいいこと。

 よかった、これでなんの変哲もない普通の結果が出たら俺は来て即座に挫折するところだった。


「なんだか、珍しい結果だったみたいだね」


「そうみたいだな、よくわからんけど」


「じゃあ、僕もやってみるね」


 そう言って怜雄が水晶に手をかざした瞬間、


「うわっ!?」


「ま、眩しい・・・!」


 俺の時なんかよりも圧倒的に強い光が建物の中を包み込み、それが赤、青、緑、黄色の4つの色に分かれた。

 しばらくして、光が収まると、全員がこちらを見て唖然としていた。

 しかしそれも一瞬のことで、すぐに建物の中は大騒ぎになった。


「よ、4色使いぃ!?」


「おい、今までそんな奴いたか!?」


「いや、俺が知る限りではこの国どころか世界にもいないと思う・・・」


「すげえ、新たな勇者誕生だああああ!」


 一瞬にして周囲の冒険者に囲まれた怜雄を見ながら、俺は全然状況についていけていなかった。

 なんか、これはもしかして一緒に来た仲間だと思ってた奴が凄い才能持っててどん底まで落ちた後に復習を誓うタイプの物語だったのか?

 いや、まあ俺は一般人よりも劣るってわけではないし怜雄はどんな人にでも優しくしてくれるタイプだと思うけど・・・。

 そんな感じで呆然としながら未来の想像をしていると


「うっ」


 首筋に鋭い痛みを覚え、即座に強い眠気に襲われた。

 周りは皆怜雄に夢中で、こちらに気づく様子はない。

 なんだこれ、名探偵にでもやられたか・・・?

 だとしたら立場が逆じゃ・・・

 最後にそんな益体もない思考をして、俺は意識を手放した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ