57ー3
「公園でのんびりするのもいいものですね。」
パンッ
「そうだなミーシェル。」
パンッ
俺たちは現在公園でバトミントンをしている。と言っても本格的なモノではなくネット無しのただのラリーの打ち合い。
それだけである。
しかし、これがどうにも楽しくてたまらない。恋人と一緒だからということもあるだろうがそれ以上に自分が動き、出来るということが楽しくてたまらないのだ。
人間、大人になると子供の時と比べて身体は重くなり食欲、代謝がともに落ちるため鈍重になったように感じることがある。だが今の身体はそれを吹き飛ばすくらいに軽いのだ。
肉体と操縦者が一致して初めて発揮するパフォーマンスが正にそれにあたる。人間の脳は怠けようとする方向に特化している。
だから今世紀に至るまで科学文明は発達したしロボット工学、人工知能というモノも創りあげられた。
その人間という種にとって怠けるために考えるという行為は宿命染みているものがある。
考えない怠け者は何かと理由をつけて自分がやらなくていいように仕向ける。故に会社という組織に馴染むことができずに引きこもりが増える理由の一つとなる。会社は人手不足というけれど実際は人材不足、人手ではなく育った人材が足りないのだ。人材を育てるには真面目で尚且つある程度の不正を見逃す柔軟性を持ち会社の言うことを聞く存在、即ち都合の良い肉人形が欲しいに過ぎない。そんな社会科で育った真面目系学級委員長の一歩手前のような形で育ってしまっていたアレンは肉体と精神がイマイチ結びつかない状態となっている。
だが異世界転生したことで自分の精神、即ち操縦技術が伴う肉体を用意されハードウェアの要領は無限にしてその場で即アップデートされるOSまでついてくる超高性能のPCとなったのだ。思い通りに身体が動かない筈がない。
…
「いやあ汗をかいた後の紅茶は最高だな。」
「お気に召したようで何よりです。」
外出用のティーセットを持ってきたミーシェルは俺にアイスティーを振るまってくれた。
程よい具合で蒸らされた茶葉をミーシェルの氷の魔術でアイスティーにしたものは茶葉の渋み、苦み、甘みが程よい具合で混ざり合い紅茶の風味をとても引き立てていた。
ほんとにミーシェルはできる女であると思いつつここまで育てるのは放任主義の反面教師型のナセル業のなのかと思うと子育ての点ではそうするかというとハイリスクハイリターン過ぎて不安なところである。
反面教師は悪いところを見習ってしまう可能性もあるからだ。
そう思いながらもデートタイムを大いに楽しんだアレンなのでった。




