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コロナの時こそ小説を!
突然だが象の習性はご存知だろうか?
彼らは雄と雌で別れて群れを成し、雌は子供と旅をし雄は単独か雄同士で群れを作り上げる。そして繁殖期になると集まり子をなす。男子は成人したら群れからは離れて他の雄の群れに合うまで一人で生きていく。
そして彼らは必ず死んだ仲間がいる道を通る。
彼もまたそうだった。繁殖期に初めて番になり最期まで同じ番でいてくれた妻の骸、ライオン、トラたちに狩られた子たちの骸、人間に狩られた仲間の骸、それらを旅路の目的として歩き続ける者。
・おや、迷える魂が感じられる。ふむふむ、妻は彼をこちらに引き留めたいようだね。しかし人里か、困ったな・
妻の骸に水をかける一頭の象がいた。彼のほかには誰も居ない。もう仲間は彼を残して絶滅してしまったのだから。
故に彼は皆の墓参りをする為に世界中を回っている。そして最期に妻の骸のあるこの地で生涯を終えることを望んだ。
「霊象よ。古よりこの世界を旅する者よ。頼みがあります。」
悩んでいた彼に話しかけるものが居た。
家畜の起源と同時に恵みの象徴とされる山羊のツノと耳を生やした言葉は言い表せないくらい清く美しいスーパープラチナブロンドの絶世の美女。
・アナタはこの世界のどの魂よりも形が違う。そう彼にとても近しいものがあるけれどほんの少しだけ、転生者の親元かな。要件はもしかして彼のことでかな・
「私の名はアルティマ、此度の転生者の死は私達の想定外の事象です。故に貴方の力をお借りしたい。」
・そうしたいのは山々だがこの姿では彼のいる人里に出向くことは難しい。私たちの牙は人間たちには高く売れる。それに私のような巨躯ではこっそりと入ることもままならないだろう・
「それも含めて私が貴方を人型にすることで何とかします。貴方の命尽きる前に貴方方、この世界の生物、知的生命体として彼を助けて欲しいのです。」
・わかった、この死に損ないがキッカケを作れるのなら喜んでヒトの姿となろう。思えば久しぶりだね、人型になるのは私がまだ幼かった頃にエルフから教えて貰ったたった一度の秘術。妻の薬を買う為に使ってしまってもう二度と人型になることは無いと思っていたのだけどね・
「今からその秘術をもう一度使えるようにします。」
アルティマはそう言い極光と共に彼の身体を包み込んだ。
そして変化した彼の身体はタイに伝わるカラリパヤトゥのように光沢を持ちながらも練磨され尽くした大男の歴戦の猛者を思わせる老練な立ち姿をした語られることの無い英雄がそこに居た。
作者からのお願い
できればお星様を塗り潰して




