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プロローグ2

本日2話目基本的に亀のごとく遅い足取りで執筆していく予定でございます

「すみませんでした!」


キルトを着た女性に土下座されていた。見事な空中スタイリッシュ土下座である。ここまで地に頭を打ちつけるかというくらいに顔面をこすりつけ一体何をやらかしたらそうなるのかが不思議なくらいに懇願していた。


ここまでやってのけると思わず許してやりたくなるがこれが常習犯だった場合はどうするべきかと考えながら率直な疑問をぶつけてみる。


「アンタ誰?」


人の印象は会って3秒で8割決まるというが俺は違う。情報を吟味しながら自分と相容れない存在かどうかを確認する必要がある。


対人スキルが皆無に等しい陰キャ俺は社会生活で失敗したことから趣味の合う人間としかつるめなくなっていた。学校が社会の縮図というように学校でハブられやすいノリの悪い陰キャの俺は体育会系企業の社会の油の津波に呑まれこんだ俺は自然と疑心暗鬼になり今目の前に居る人物も信用するにあたって吟味していた。


「申し遅れました私世界境界線管理局担当の女神ラインと申します。此度は高校生たちの異世界召喚の魔法陣に巻き込まれてしまった貴方様を本来生きて異世界に生かせる筈だったのですが肉体の保存に失敗してしまい、ご迷惑をおかけしました。」


自称女神は土下座状態を解除し正座をしながら目をまっすぐ見て名刺でも渡すかのようなしぐさで俺に自己紹介と今回の土下座をするにあたっての経緯を述べていた。


一瞬目が泳いだのは名前の部分のみで役職や経緯については真剣な目で話していたため名を明かせない、もしくは名前が無いという状態であると解釈した。よってこの女神はミスしたのは初めてでテンパりつつも何とかマニュアル通りに事を進められるようにしているという評価を俺の中で下した。


「うんとりあえずミスは誰にでもある。新入社員だろうとクソパワハラ社員だろうとな、だから大丈夫だ。」


誰にでもミスはある、しかし上からモノを言うように指摘するのはナンセンスだ。それで幾多の新入社員が自宅に引きこもるようになったことか。


一年間、上からモノを言われ続ければ誰だってイラつく。それを解消できることが重要なのだが、初めはどうしても緊張感が走ってしまっていけない。良い人間関係を築く上では誰だって対等で無ければ。


「あのう言葉と表情が一致していないんですが大丈夫ですか?」


どうやら眉間にしわが寄っていたらしい。最近ストレス発散ができていなくて笑顔の仕方を忘れてしまったようだ。精一杯の笑顔でこの女神さまに怒っておらず結果も納得しているということを伝えなくては。


「ああ、大丈夫だ。合法的に会社辞められたしな。」


サムズアップ!


笑顔が作れていない俺はこの渾身のサムズアップで答えるしかない。眉間にしわが寄った顔でサムズアップするのは少々無理があるかもしれないが笑顔を忘れてしまった俺には抗するしかないのだ。やはり奇妙だと思われたのか変な注文する客を接待する店員のように引きつった顔を女神はしていた。それでも、今は仕事中という意識があるのか何とか顔を戻そうとしている。


そこが闇への道標に成りうる可能性もあるのだがそれは言わぬが人生の経験だろう。下手に言うのはアレら、年功序列出しまくりの人と同じになってしまう。


「と、とにかくこのままだと輪廻の輪に戻れなくなるので手短に話します。貴方には召喚される筈だった世界に転生して頂き、そちらの輪廻に乗っていただきます。元いた世界の輪廻はもう戻れないので諦めてください。ただ今回の私めのミスがございますのでなんらかの措置を取らなければ成りません。一応世界に関しての説明を致しますのでそれから再考ください。時間は地球の周期だと後500年程ございますがあっという間に経ってしまうので早々やりますね。」


ザーッと長ったらしい説明を聞くと要するに魔法とスキル有りきのファンタジー世界に転生しろってことらしい。高校の生徒及び教職員たちは異世界転移という形で勝手に呼び出されたためこちらとは別の形で特典が貰えるらしい。


ちなみに俺への最初の応急処置として絶対に18までの間は殺されず飢えることのない生活と前世の記憶保持を約束してくれるとのことだ。これは高卒で働いてたからだそうだ。大卒だともっと長いらしい。クソッ異世界転生も学力社会か。


「んで、要望って何でも通るの?」


「ええ、何でも通ります!」


この時だけは声のトーンとハリが違った。今までのがマニュアル機械音声だったとするならオペラ歌手並みだ。そして表情もかなり良くなってきていた。いい傾向だ。まず、世界の説明で聞いた中でも重要な情報から転生者、ひいては地球発知的生命体として必要な要望を言う。


「じゃあ取り敢えず魔力は0にして。」


「え、何でですか?」


異世界の説明では魔力無しは居ないわけではないが不利な側面が大きいと話した女神は意外といった感じで大きく目を見開いていた。いい感じに砕けてきている素が出るということはこちらを信用しているということだ。もしくはめんどくさくなったのかもしれないがこちらも楽しく進めやすい。


「俺そもそも地球人だし魔力感じたことないから神経余計に使うじゃん。めんどくさい。」


これは事実だ。人間は五感でさえ満足に使えていない。そう思うようになったのは意識下でのこと。人間がすべての五感を意識し続けられる時間のことを考えるとあまりにも短すぎる。ほとんどが反射的に使われる信号程度の認識しかない。もし何らかの毒に対する意識を味覚で持ったとしても一口食べただけで二口目は鈍感になりやすい。子どもに嫌いなモノを食べさせるときに使う手法によく似ており簡単に人殺しをする世界で生きるには他の感覚に回すだけのことは俺には無理だ。


「分かりました。確かに貴方までの年齢まで行きますと新しいことを感じて動かすのも難しいですしね。後はどうしますか?」


女神が思ったのは違う理由らしいがそれももっともだ。慣れ親しんだ感覚に異物が入るのだ。問題が生じないわけがない。これは俺の予測だが今回異世界召喚で学生が狙われたのは身体ができて間もない、身体の感覚に慣れきっていないから魔力も多く流用できるであろう学生だったからではないかと俺は睨んでいる。まあ俺にはもう関係のない話だが。


「うーん。努力をサボればサボる程努力したことになるスキルって無い?」


完全なる私欲を交えたお願いであるが金でもよかったのだがそうしないのには理由がある。金は厄になるという大黒天様のことわざがあるように金を持ちすぎるとロクなことがないのである。必死子いて貯金してもそれをよく思わない年寄りどもは金のかかる趣味を勧める。それ以外は遊び心は皆無といった感じでパワハラをしてくる。そんなことが会社時代に有ったの相まって金に関してはある意味で恐ろしく思っているのだ。


「ありませんがこちらで作る事は可能です。貴方だけのオンリースキルとなりますがよろしいですか。」


「オンリースキルって?」


「その人だけが持てるスキルでカテゴリー的にはスキル→ユニークスキル→オンリースキルと言った感じになりましてユニークは希少で歴史書で見れるくらいには存在するスキル。オンリーは本当にオンリー、歴史では貴方だけが持てるスキルとなるので効果は本人にしかわからないので不信がられることが持たせてた人の何件か存在します。といっても100人に1人くらいの割合ですが。」


「別にいいや。」


「じゃあスキル名を決めてください。一応オンリースキルなので命名するにあたって被りの内容にユニークスキル惰力以外でお願いします。」


「なんで惰力はあるの?」


「惰力は一応リスクがあるのスキルため貴方様の思い浮かべるスキルとは別物となる為です。」


おそらく相当面倒な制約か何かがあるのだろう。


「了解、じゃあ怠力とでも付けといて。」


努力の真逆、サボることに注力を置いた造語となると怠惰から取りたくなるのが自然だ。怠る力、実にいい響きだ。


「はいわかりました。後はいいですか?」


「うん別に要らないからさっさと転生させちゃって。」


早速怠ろう、人生はいつも辛いままなのだから。


「はい、では転生していただきます。」


そして俺は眠くなりそれに身を任せた。


『怠力』

このオンリースキルが一つ目の大地震を引き起こすプレートになる事を俺はまだ知らない。

どうか星の御恵みをください。


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