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この広い国で一人の少女を見つけることは、かなり困難だった。
でも、他に思い当たる人いないしなぁ…。
ロンはちょっと考え込んでいたが、意思を電子にして国中を駆け巡った。
最先端のAIになったり、掃除機になったり、そのうちコツをつかんで、映像として現れることができるようになった。
「私はロン。サテンを捜しています」
人々は何気なく見ていた画面に突然現れる美少女に驚愕した。
「あっ!」
特にサテン本人はびっくり仰天だった。
watashihakokoyo!
パソコンに打ち込む。
satenn?
sou!
hikoukidehaarigatou.
eizouninareru?
ee.
まるでSkypeみたい、とサテンは思った。
「ロン。あなた女の子だったのね?」
「てへへ」
「どうして私を捜していたの?」
「自分の身体で出歩けないから、便乗させてほしくて」
「便乗…」
サテンはあっけにとられて、しばらく事態が飲み込めなかった。
「でもいいの!このやり方でこの国のこと見て回ったからある程度満足してるわ」
「一体どうゆう仕掛けなの?」
「種も仕掛けもございません!こうやって…」
「…?」
「こうやって…」
ロンは電子でさまよいすぎたせいか、電気の世界からぬけだせなくなってしまったのだ!
「どうしよう」
「誰か頼りにできる人は?」
「ガーがいるわ!」
「電話番号かメールアドレスわかる?」
「電話番号なら」
サテンは携帯でガーを呼び出した。
ガーは大慌てでサテンのパソコンのアドレスにアクセスしてきた。
サテンのパソコンの画面が二分して、ロンとガーがそれぞれに映った。
「一瞬でいいから電気を全てストップできれば抜け出せるかもしれないな」
「でも、勝手に電気を止めるのは大罪だわ」
ガーとサテンの言葉に、
「大丈夫。この国の意思と知り合いだから、頼んで抜け出させてもらうわ!」
一瞬。
ヴンと電気が止まった。
「自家発電に切り替わるぞ!」
ガーは心配で叫んだ。
そして電気は戻ってきた。
電気の国のテクノ国の無意識のうちに、少女ロンはホテルの自分の身体に戻っていた。
「あいたた。どっちが便利かしらねぇ?」
身体があちこちきしんだ。
ホテルの電話を借りてガーとサテンに電話して、明日、まちあわせすることにした。