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出国の日。
空港でディーンとガーはロンを待っていたが、なかなかロンが現れない。
「なにかあったのかな?連絡先聞いてる?」
「いや。聞きそびれた」
二人のそばに青いジーンズと白いシャツ、赤いキャップ帽を目深にかぶった少年が近づいてきた。
「ロンの連絡先教えようか?」
「えっ?」
なんで?と戸惑う二人。ディーンが先に気づいた。
「ロン!」
長かったプラチナブロンドの髪をバッサリ切って、本当に男の子みたいだった。
「どうして髪切ったの?」
「このほうが面倒にまきこまれないでしょ?」
「それはその…」
「携帯の番号」
「あり…がと。ロン」
「どういたしまして」
「急がないと搭乗手続き間に合わんぞ」
「やっべ」
「遅れてごめんなさい」
「いいからいいから。それ急げ!」
3人はばたばたと手続きを済まして機上の人になった。
「飛行機は初めて?」
「ええ。できれば窓際の席で景色みてたい」
「あのう、席代わりましょうか?」
話を聞いていたのか、窓際の席の女の子が声をかけてきた。
「本当?助かる」
「あの、あの、お名前は?」
「ロン。君は?」
「サテン」
「ありがとうサテン」
サテンはぽうっと赤くなっていた。
「彼女にロンが女だって教えたほうがいいかな?」
ディーンがガーに耳打ちした。
「やめとこう。人の気持ち壊すのは」
ガーが肩をすくめた。