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「実は、二人にお願いがあるの」
朝食のあと、ホテルのロビーから見える海の蒼さを背景に、ロンが口火を切った。
「可能な限り協力するよ」
「良かった。…二人はテクノ国から来たのよね?」
「ああ。そうだよ」
「コンテストで賞金が出たんだけど、おばあちゃんが海外に行ってみなさいっていうから、もしよかったらテクノ国を二人に案内してほしいの」
「いいよ。でも、どんなところか知ってるの?ビックリしてどうにかなるかもだよ」
「ビックリするくらいがちょうどいいわ」
「そうかい?じゃあ…俺が案内役になろうかな」
とガーが言った。
「俺は?」
「お前、彼女どうすんの?絶対ごたごたするって」
ガーに言われて、ディーンはしぶしぶ承知した。
実際に一緒にいればいるほどロンが魅力的で、ディーンはぼうっとなっていた。きっと置いてきた彼女とひと悶着起こすだろうと、傍でみていたガーが思ったのだ。
「ロンってなんか、見るだけで電撃ビリビリって感じ」
ディーンが言った。
「それはそうでしょうね。私の一族は昔から雷竜が守護神だから」
雷竜?テクノ国は電気の世界だけど大丈夫かな?ガーは眉をひそめた。
「海外旅行初めて?」
「ええ。だからとっても楽しみよ!」
白い帽子を弄びながらロンがいたずらっぽく微笑んだ。