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「なあ、ディーン。卒業旅行ったって、こんな辺鄙な外国じゃなぁ」
「まぁ、そういうなって、ガー」
二人の青年が異国の地を歩いていた。
「向こうで美人コンテストやってるぞ!」
ばたばたと何人かがかけていった。
ディーンとガーは顔を見合わせて、脱兎のごとく後を追った。
現地の少女らが衣装に工夫を凝らして、化粧もバッチリ決めてコンテストに臨んでいた。
「12番の娘いいよな?」
「12番…」
ガーに言われてディーンは12番の娘を見た。
色白の豊満な身体。異彩を放つ雰囲気。飛び抜けて良く思われた。
「12番、ロン。このコンテストに出たのは、おばあちゃんが若い頃にできなかったことを私がやって、どんなだったかおばあちゃんに話すためです」
ロンがそう言った。すると司会が、
「この国では、女性は顔半分を薄布で隠して生活しています。このコンテストではそういう女性たちに開放感とチャンスを与える目的で開かれています」と言った。
普段見られない顔を晒しているのか…。
ディーンとガーは他の観客に混じってことの行方を見守った。
水着審査にスピーチ、質疑応答。そして、
「優勝者は12番、ロンさんです!」
「まあ、当然っちゃ当然だな」
「ああ」
「ディーン、ちょっとこっちへ」
「なんだ?」
ガーは街角の花売りから花束を買うと、ロンのインタビューが終わる頃を見計らって花束を手渡した。
「ありがとう!嬉しいわ。あなた達は誰?」
「ディーンとガー」
「外国人?」
「卒業旅行で短期滞在の予定」
「じゃあ、近いうちにお礼に行くわ」
「ホワイトビーチホテルに泊まってるよ」
「お金持ちなのね?」
「そんなことない」
ロンは雑誌の記事に載せる宣材用の写真を撮りに行ってしまった。
「彼女ほんとに来るかな?」
「さあね?」
ディーンとガーは夕方の村をのんびり散策した。