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朝に日に見まく欲りするその玉を
大伴宿祢家持の、同じ坂上家の大嬢に贈りし歌一首
朝に日に 見まく欲りする その玉を いかにせばかも 手ゆ離れずあらむ
(巻3-403)
朝も昼も、いつも見ていたいと思うその玉は、どうしたらこの手から離さずにおくことができるのだろうか。
※万葉集の最も主要な編者とされる大伴家持の作歌の初出。
恋する坂上家の「大嬢(長女)」を、玉にたとえている。
後に、二人は結婚した。
恋する女性と結ばれる前の、微妙な心理が表現されている。
「あなたは私の宝石」、そんなことを名門大伴家の御曹司から言われた坂上家の長女は、どんな顔をしていたのだろうか。
やがては結婚するのだから、この歌が決め手だったのだろうか。
これ以上書くと、野暮になるので、この歌はここまで。