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藤原朝臣八束の梅の歌
藤原朝臣八束の梅の歌
妹が家に 咲きたる梅の いつもいつもなりなむ時に 事は定めむ
(巻3-398)
あなたのお家に咲く梅の花が、いつでもよいから実になった時に、事を決めよう。
※この場合、「梅」は娘、「なりなむ時」は娘が成長して結婚できるようになった時。
成長した娘との結婚を母親に申し出る歌。
自己の感情は表面に出さず、ものにたとえて思いを述べる「比喩歌」という表現様式の典型的なもの。
尚、藤原朝臣八束は、藤原不比等の孫で藤原房前の第三子。
従兄の藤原仲麻呂(後に官僚筆頭にまで昇り詰めるが、乱を起こし失脚)の妬みを受け、病と称して家に居て、書物三昧の生活を送ったと言われている。




