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山部赤人 高座の三笠の山に
高座の 三笠の山に 鳴く鳥の やめば継がるる 恋もするかな
(巻3-373)
※高座の:三笠山にかかる枕詞。
三笠の山で鳴きやんだと思うと、また鳴きだす鳥と同じように、私の恋も絶え間がない。
これも、おそらく春日山での宴席での、戯れ歌。
なかなか成就しない恋を、自ら歌にする。
「それは私も同じこと」と、大笑いで唱和する古の都人たち。
「そんな簡単には、なびきませんよ」と、呆れて給仕する女性たち。
春日野なので、鹿も遠巻きにして見ていたのだろうか。
いずれにせよ、楽しい宴会歌と思う。