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宇治間山朝風寒し
宇治間山 朝風寒し 旅にして 衣貸すべき 妹もあらなくに
長屋王(巻1-75)
宇治間山の、朝の風が寒い。
旅の空では 衣を貸してくれる わが妻もいないのに。
長屋王が吉野離宮と飛鳥との旅の途中、宇治間山(現在では未詳)を通過した時の歌。
肌を突き刺すような、朝の冷たい風だったのだろうか。
都に待つ妻、長屋王は、その温かい肌を焦がれている。
※長屋王は、天武天皇の孫。壬申の乱で活躍した高市皇子の子。
絶大な権力、広大な富と屋敷を有するようになるけれど、やがては謀反の冤罪を課せられ、聖武天皇と藤原氏により、自害に追い込まれてしまう。