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太宰師大伴卿の、酒を誉めし歌(9)
夜光る 玉といふとも 酒飲みて 心を遣るに あにしかめやも
(巻3-346)
たとえ、夜に光る珠玉であったとしても、酒を飲んで思いを晴らすことの素晴らしさには、及ぶことなどはありえない。
「夜光玉」は、古代中国において、天下の至宝とされたお宝。
大伴旅人氏は、そんな天下の至宝だって、心の憂さは晴らせない。
その意味において、酒のほうが価値が高いと、詠んでしまった。
ここまで来ると、本当にシラフで詠んだのだろうか。
酔った勢いで、詠んでしまったような気もする。
また、それを記録する人は、どんな顔をして、記録したのだろうか。
そんな、想像も、なかなか面白い。