64/1385
太宰師大伴卿の、酒を誉めし歌(8)
価なき 宝といふとも 一杯の 濁れる酒に あにまさめやも
(巻3-344)
値段がつけられないようなお宝などという物があるようだけれど、一杯の濁り酒に勝るはずはない。
値段がつけられない超お宝より、低価格の濁り酒のほうが、手に入れることも簡単で心身を喜ばす力もある。
となれば、今飲んでいる濁り酒のほうが、勝っている。
ここにきて、大伴氏は、濁り酒最強説に至ってしまったようだ。
また、大伴旅人氏の時代は、澄んだ酒よりも、濁り酒のほうが安かったらしい。