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太宰師大伴卿の、酒を誉めし歌(1)
太宰師大伴卿の、酒を誉めし歌
験なき ものを思はずは 一杯の 濁れる酒を 飲むべくあるらし
(巻3-338)
あてにならない霊験などを待ち思っても仕方がない、濁り酒を一杯飲むほうが、よほどよいに違いない。
「験」を神仏の霊験ととらえてみた。
一般的な解説書では「何もならない物思い」が主流。
こんな歌を読まれては、神仏も笑ってしまうかもしれない。
高価な献金、お布施、真面目な御祈祷、読経などは、あてにならない。
安あがりの濁り酒の方が、効果があるというのだから。
百薬の長は、あてにならない神仏よりも、よほどよい。
酒好きな人には、まさに金言と思う。
※太宰師
だざいのそち
大伴卿:大宰府長官大伴旅人。
※しばらく酒賛歌を続けます。面白いので(笑)