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松陰の 浅茅が上の 白雪を
大伴坂上郎女の雪の歌一首
松陰の 浅茅が上の 白雪を 消たずて置かむ ことはかもなき
(巻8-1654)
※ことはかもなき:万葉仮名の原文は「言者可聞奈吉」で古来、意味が難解とされている。一般的には「こと」を「事:方法」とする。しかし「こと」を「由」の誤りとする説もある。ここでは一般的な「事:方法」をとる。
松陰の浅茅の上に残った白雪を消さないで、そのまま置く手段など、実にあやふやなのです。
松陰にわずかに残る白雪も、それは美しい。
はかなく消えてしまうのを、惜しむ歌。
淡泊ではあるけれど、味わいがある歌と思う。




