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あをによし 奈良の都は
太宰少弐小野老朝臣の歌
あをによし 奈良の都は 咲く花の 薫ふがごとく 今盛りなり
(巻3-328)
奈良の都は 咲く花が美しく照り映えるように 今は盛りである。
奈良の代名詞のような歌。
太宰少弐は大宰府の次官。
地方に赴任した中央官僚にとっては、大和は限りなく望郷の想いの地。
遠く太宰府から光あふれる奈良の都を賛美し、奈良の神に、自分を戻してもらおうと願ったのだろうか。
地方だけが望郷の地ではなく、大都会で育った人には、大都会も望郷の地なのだと思う。
優劣の議論には、馴染まないけれど。