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長屋王の馬を寧楽山に駐めて作りし歌(2)
岩が根の こごしき山を 越えかねて 音には泣くとも 色に出でめやも
(巻3-301)
岩だらけの山を越えるのは、声を出して泣くほどの困難。
しかし、妻への想いなどは、出さない。
涙が出るほどの辛い岩山を越えようとするけれど、妻を心配させたくない、だから弱音は吐かないという意味なのだろうか。
苦労が伴う旅をする、それに耐えきる覚悟も全て、家で待つ愛する妻のため。
妻への強い愛が、気持の強い支え。
ただ、それだけではない。
様々な困難に遭遇した時にも、心の支えとなる歌と思う。