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長屋王の馬を寧楽山に駐めて作りし歌(1)
佐保過ぎて 奈良のたむけに 置く弊は 妹を目離れず 相見しめとそ
(巻3-300)
佐保を過ぎて、奈良山の手向けとして置く弊は、妻と長く離れず無事に戻り、再び逢えるようにと祈るためのもの。
長屋王は平城京東北部佐保川の畔に「佐保宅」と呼ばれる屋敷を持っていた。
妻のいるその屋敷を出て、山城方面に向かった時の歌とされる。
旅行中の無事を道を司る神に、布などを奉り祈ることは、当時の風習。
しかし、その本当の目的は、再び、愛する妻に逢いたいがため。
単なる旅行中の無事を祈るだけではない、純な妻への愛情が込められていると思う。