386/1385
羇旅にして作りき(21)
玉くしげ みもろと山を 行きしかば おもしろくして 古思ほゆ
(巻7-1240)
※玉くしげ:くしげの蓋、身ということから、みむろの山にかかる。
※三諸戸山:所在未詳。三輪山説。「みもろ」は神の来臨する神聖な場所の意味。
みもろと山を歩いていると、その山が素晴らしいので、昔のことが思い出されてならなかった。
所在は未詳になっているけれど、素晴らしい山、古来からを思い出すとなると、三輪山説をとりたい。
ぬばたまの 黒髪山を 朝越えて 山下露に 濡れにけるかも
(巻7-1241)
※ぬばたま:黒、夜などにかかる。
※黒髪山:所在未詳。
黒髪の山を朝に越えて来て、山の下露に濡れてしまった。
おそらく妻の家からの朝帰りの歌。
とにかく愛している妻なのか、一時でも別れが辛く、山の下で女性を偲んで泣いてしまう。
古代のエロスを感じさせる歌。




