表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
万葉恋歌  作者: 舞夢
35/1385

柿本人麻呂 石の中の死人に哀しむ(2)

反歌二首

妻もあらば 摘みて食げまし 沙弥の山 野の上のうわぎ 過ぎにけらずや

                             (巻2-221)

沖つ波 来寄る荒磯を しきたへの 枕とまきて 寝せる君かも

                             (巻2-222)


あなたが妻と一緒であったなら、お二人で摘んで食べたでしょうけれど、沙弥(狭岑)の山の野の上のうはぎ(嫁菜)は、盛りも過ぎてしまいましたね。


沖からの波が押し寄せ、叩きつけて来る荒磯を、枕にして あなたは眠っておられるのです。


いずれも、妻に看取られることがなく、孤独に死を迎えた死者を哀しむ歌。


あなたは、もう、愛する妻と一緒に、うはぎ(嫁菜)を摘んで食べること(時期)も、過ぎてしまいましたね(そんなことが出来なくなってしまいましたね)。


こんなゴツゴツとした荒磯を枕にして眠っている(死んでいる)あなたに聞こえるのは、沖から押し寄せ、たたきつける波の音だけ(あなたの愛する、あなたを愛する妻の声ではない)。



誰にも看取られず、誰からも放置されたままの、行き倒れの死体。

いろんな想いを抱えて、死んでいっただろう。


せめて、言葉をかけてあげよう、語り掛けてあげよう。

それを、この哀しい死者の、死出の旅への手向けとしよう。


人麻呂の哀悼は深い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ